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最短で効率よく筋肥大をさせるための方法【プロが教える筋トレ】

最短で効率よく筋肥大をさせるための方法【プロが教える筋トレ】

たくましい太い腕、厚い胸板、割れた腹筋に憧れる人は多いだろう。しかし、自分なりに頑張っても、筋肉がなかなか肥大せず悩む人も多い。筆者も過去にそんな悩みを持っていた。学生時代ゴールドジムに通いながら、思うように肥大しない筋肉に悩んでいたのだ。
この記事では筋肥大させるため、エビデンスに基づいた理論を中心に解説しつつ、筆者の体験談も紹介する。

筋トレを始めて筋肥大を目指す人や、頑張っても筋肉がなかなか肥大しなくて悩んでいる人、さらに筋肥大を目指す人にはぜひ最後まで読んでいただきたい。

特に初心者は中上級者よりも筋肥大しやすいので、短期間で筋肥大を実感できるはずだ。
著者・監修者プロフィール

林本直
元アスレティックトレーナー|サプリメントインストラクター保有
了徳寺大学健康科学部卒 元日本体育協会公認アスレティックトレーナー&NSCA-CSCS。大学日本代表選手(ゴルフ、ビーチバレー)のトレーニングコーチや、ラグビーチームのトレーナーを経験。現在はサプリメントインストラクターを取得し、ライターをしながらオンラインでボディメイクを指導している。

ブログ
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筋肥大のメカニズム

最初に筋肥大のメカニズムを解説する。筋肥大のメカニズムは以下の3つだ。
筋肥大は筋損傷後の超回復によるものというのが長い間常識だったが、現在は機械的張力後の化学反応が主に作用すると考えられている。

■機械的張力
主に筋肥大に作用するのはこの「機械的張力」だ。筋肉にかかる強い張力を機械受容器(※)が感知することで、筋肉の成長につながる化学反応が連鎖的に起こり、筋肉が肥大する。
※体内で常に受け続ける刺激(機械刺激)に対して、その刺激を受入れて最初に応答する細胞あるいは細胞の特定部位

■代謝ストレス
もう一つの要因は「代謝ストレス」だ。トレーニングにより、乳酸や水素などの代謝産物が蓄積される。これらの代謝産物が蓄積することで筋肉内部の圧力が増し、より筋肉に張力が発生して筋肉が肥大する。(※パンプアップとは異なる)

他にも代謝ストレスによって、化学物質量の変化やホルモン分泌の増加などが起こることも筋肥大の要因だ。

■筋損傷
これまで筋肥大の主な要因と考えられてきたのが、筋損傷後の超回復だ。トレーニングの負荷によって軽微に損傷した筋肉が、回復時に以前より大きくなることを超回復という。これも筋肥大が起こる1つの要因だが、現在は機械的張力が主因と考えられている。

また、強すぎる負荷によって筋損傷しすぎると、回復に時間がかかりすぎてトレーニング頻度が落ちてしまい、結果的に成長が妨げられる。そのため、筋肥大には適度な負荷設定が重要である。

最短で筋肥大をさせるために大切なこととは

筋肥大のメカニズムがわかったところで、筋肥大をさせるために知っておくべき理論と、トレーニングスケジュール設定の仕方を紹介する。
結論からいうと初心者は1種目あたり、10〜12回ほど挙げられる重量を8〜10回×3セット行う。できるだけ可動域を大きく使い、1回を8秒以内に終わらせる。週2回行えるなら全身を週2回、週4回行えるなら下半身・上半身をそれぞれ2回ずつ行おう。

【ポイント】
1. 総負荷量を高める
2. 筋力向上も狙える重量設定
3. セット間の休憩は2分前後
4. 可動域を大きく使う
5. 8秒以内に反復する
6. できれば週4回(初心者の場合
■総負荷量を高める
筋肥大をさせるためには、総負荷量が重要だ。
総負荷量とは、重量×回数×セット数で現される。50kgを10回3セットであれば、50×10×3=総負荷量1500kgとなる。この総負荷量を高めることで、より筋タンパク質の合成が活発になるのだ。(*1)

総負荷量を高めるためには、複数セットを行うことが重要だ。1セットだけなら、50kg×10回、総負荷量500kgで終わってしまう。

しかし休憩を挟むことで筋肉にエネルギーが補給され、2セット、3セットとこなすことができる。1セット目が50kg10回、2セット目が50kg9回、3セット目が50kg8回であれば、50kg×27回で総負荷量は1350kgとなる。

なお、初心者がいきなり総負荷量を高めるために限界まで複数セットを行うのは、負荷が強すぎる。筋肉痛から回復するのに1週間かかることもあり、トレーニング頻度が落ちてしまったり、筋肉痛がひどすぎてトレーニングが怖くなってしまったりするリスクがある。

最初は各種目1セットでもいい。徐々にセット数を増やしていこう。

■筋力向上も狙える重量設定
扱う重量が違っても、総負荷量が同じなら筋肥大作用は同じだ。しかし、総負荷量を効率よく伸ばしていくためには、筋力を向上させて扱える重量を伸ばすことも重要である。そのため総負荷量を高めつつ、筋力も伸ばせる重量設定が重要だ。

10〜12回が限界の重量に設定し、8〜10回を目安に3セットほど行うのがおすすめだ。毎回できるだけ限界まで追い込むことが重要である。

■セット間の休憩は2分前後
セット間の休憩は、2分前後が最適だ。筋肥大が進むほど高強度になるため、1セットあたりの負荷量が高まり、必要な休憩時間も長くなる。一方で低強度の初心者は、回復時間は短くてしていい。

2分を目安に次のセットを全力で行える休憩時間を、経験を重ねながら設定していこう。

■可動域を大きく使う
可動域を大きく使うことも重要だ。可動域を小さく使った方が高重量を扱えるため、あえてそうしているトレーニーもいる。しかし、可動域を大きく使った方がより筋力が向上して、筋肥大したと報告されている。(*2)

可動域は大きく使おう。

■8秒以内に反復する
1回の反復に関する複数の研究を分析した結果、0.5秒から8秒で反復であれば筋肥大の効果はほぼ一緒と結論づけられた。(*3)
逆に8秒を超えると効果が下がるため、1回の反復は8秒以内に行おう。

■できれば週4回(初心者の場合)
総負荷量を高めることが重要と先ほど解説したが、1回あたりの総負荷量だけでなく、週あたりの総負荷量を高めることが重要だ。そのため、できる限り頻繁に筋トレを行いたい。

一方で筋タンパク質の合成は、筋トレ後2〜3日続く。この間は休養をとらなければならないため、同じ部位の筋トレは週2〜3回が限界だ。例えば月曜日に胸の筋トレをした場合、次に胸の筋トレを行うのは木曜日か金曜日以降になる。

そのため、1回のトレーニングで全身を鍛える場合は、週2〜3回が限度だ。とはいえ1回のトレーニングで全身を追い込むのは、種目数や強度が低い初心者でも厳しい。疲労から集中力が続かなくなり、後半の種目を追い込みきれなくなる可能性が高いだろう。

これらの理由から、初心者でも下半身・上半身に分けた週4回をおすすめする。例えば、以下のようなスケジュールだ。

● 月曜日:下半身
● 火曜日:上半身
● 水曜日:休養
● 木曜日:下半身
● 金曜日:上半身
● 土日:休養

これなら同じ部位を週2回鍛えられる上に、1回のトレーニングで行う種目も減るので、集中力を維持できる。
*1 Resistance exercise volume affects myofibrillar protein synthesis and anabolic signalling molecule phosphorylation in young men ー J Physiol. 2010 Aug 15;588(Pt 16):3119-30. doi: 10.1113/jphysiol.2010.192856. Epub 2010 Jun 25.(外部サイト)

*2 Effect of range of motion on muscle strength and thickness ー J Strength Cond Res. 2012 Aug;26(8):2140-5. doi: 10.1519/JSC.0b013e31823a3b15.(外部サイト)

*3 Effect of repetition duration during resistance training on muscle hypertrophy: a systematic review and meta-analysis ー Sports Med. 2015 Apr;45(4):577-85. doi: 10.1007/s40279-015-0304-0.(外部サイト)


最短で筋肥大をさせるために大切なこと(食事面、栄養面)

筋肥大に重要な食事は高タンパク・高カロリーの食事だ。タンパク質は筋肉の材料になる栄養素であり、筋肥大に必須。1日の摂取量は、体重1kgあたり1.6〜2.2g。体重65kgなら1日130gほどを毎日摂取しよう。

魚や肉には、100gあたり20gほどのタンパク質が含まれている。1日に130gのタンパク質を摂る場合、肉なら650gになるが、難しい場合はプロテインを活用しよう。

プロテインは消化の負担が少ないため、トレーニング前後での摂取や睡眠前、起床時の摂取がおすすめである。

また、高カロリーの食事も重要だ。人間の身体には、「摂取カロリー<消費カロリー」となると脂肪も筋肉も分解しやすくなり、「摂取カロリー>消費カロリー」となると脂肪も筋肉も合成しやすくなる性質がある。

トレーニングで消費カロリーが増えるが、それを上回るカロリーを摂取しなければならない。

冒頭で筆者も筋肉が太くならずに悩んだことがあると書いたが、原因はカロリー不足であった。筆者は当時健康科学部に通学しており、同じゴールドジムに通っていた大学の講師に相談したところ、カロリー不足を指摘された。
それまで私は、自分がたくさん食べる方で「食べても太らない」と悩んでいたのだが、足りないと言われたためさらに食事を増やした。(例えばラーメンなら、大盛り+ライス+餃子を食べていた)

1人暮らしの学生であまりお金がなかったので、プロテインは買えない。そのため2kg400円の冷凍のささみを湯がいて1日1kgと、ご飯を1日4合食べた。
その結果、体重が半年で60kgから73kgまで13kg増えて、ベンチプレスのMAXも70kgほどから90kg以上と、挙上重量も一気に増えたのだ。

もちろん、このような食事は他の栄養素が不足しているためおすすめしないが、どうしても体重や筋肉が増えないと悩んでいる場合は、タンパク質とカロリーが不足しているかもしれない。
体重や筋肉量、基礎代謝によるため一概にはいえないが、2500〜3000kcal以上の摂取を目標にしよう。

なお、もしサプリメントを買えるなら、トレーニング直前からトレーニング中はEAAとマルトデキストリン、食事とともにクレアチン+HMBの摂取がおすすめだ。

最短で筋肥大をさせるために大切なこと(休養)

トレーニングの負荷が増せば増すほど、睡眠時間も長時間必要になる。アスリートの多くは8時間以上眠っており、厳しいトレーニングをこなすトップアスリートの中には1日12時間眠る人もいる。

入浴後に静的ストレッチをして副交感神経を優位にしてから寝ると、寝付きがよくなり睡眠の質が高まる。初心者もできれば8時間以上眠ろう。トレーニング負荷が上がるにつれて、さらに睡眠時間をのばしてほしい。

最短で筋肥大をさせるためにNGなこと

筋肥大をさせるためには避けた方がいいことはアルコールの摂取だ。アルコールの摂取は運動後の筋タンパク質合成を減少させると報告されている。(*4)

アルコールの摂取はせっかく努力した筋トレの効果を減らしてしまう。お酒が飲みたくなっても、筋肥大を目指すときはできるだけ我慢しよう。

*4 Alcohol ingestion impairs maximal post-exercise rates of myofibrillar protein synthesis following a single bout of concurrent training ー PLoS One. 2014 Feb 12;9(2):e88384. doi: 10.1371/journal.pone.0088384. eCollection 2014.(外部サイト)

まとめ

筋肥大のメカニズムは、機械的張力、代謝ストレス、筋損傷の3つだ。筋肥大させるために知っておくべき理論は以下の6つ。

1. 総負荷量を高める
2. 筋力向上も狙える重量設定
3. セット間の休憩は2分前後
4. 可動域を大きく使う
5. 8秒以内に反復する
6. できれば週4回(初心者の場合)

スクワット・デッドリフト・ベンチプレスの筋トレビッグ3など、大きな筋肉を鍛えられる種目を中心にメニューを組もう。

食事は、高タンパク質、高カロリーが重要だ。タンパク質は体重1kgあたり1.6〜2.2g、カロリーは消費カロリーを上回るように(2500〜3000kcal以上が目安)、それぞれ毎日摂取しよう。

睡眠は、入浴後にストレッチをして副交感神経を優位にしてから、できれば8時間以上寝たい。なお、筋肥大させるためにアルコールはできるだけ控えよう。
【参考文献】
・筋トレの科学:オースティンカレント(著)石井直方(監修)、西東社
・科学的に正しい筋トレ 最強の教科書:庵野拓将(著)、 KADOKAWA
⇒【プロが教える筋トレの基礎知識・コツ】TOPページ

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