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アムロ声優・古谷徹も絶賛 “等身大”モビルスーツを制作したコスプレイヤーの気概 「ガンダムファンの創作活動はガンプラだけじゃない」

 これまでガンプラを使ったさまざまな作品を紹介してきたが、“ガンダムを作る”のはモデラーだけではない。コスプレイヤーのくろぼうし(@zgokzogok)さんは、これまで実に8体もの“等身大”モビルスーツ(MS)を、すべて手作りで制作。その最新作『ガンダム(RX78-2)』は、7.3万いいねを獲得するほどSNSで話題となった。「ガンダムファンの創作活動はガンプラだけじゃない」と話す同氏が、本作に込めた想いとは?

MSコスプレは、制作期間半年以上、1体8万円の大作

――SNSで等身大の『ガンダム(RX78-2)』がバズりました。ご自身はこの反響をどのようにご覧になっていますか?
くろぼうしこれまでにも完成したMSコスプレの写真を投稿してきたのですが、今回は非常に多くの反応をいただき驚いております。850件のコメントや、複数のネットメディア、テレビ局からの取材をいただいたり、制作中に試着した際の記事をご覧になったアムロ・レイの声優である古谷徹さんからもお褒めの言葉をいただきました。あらためてガンダムの知名度と影響力を感じました。

――それはすごい! そもそも、なぜ等身大サイズのMSのコスプレしようと思われたのですか?
くろぼうしきっかけはコミックマーケットで、MSのコスプレをされている方を見かけたことでした。突如現れたMSには驚きましたが、精巧な作りからその人のガンダムへの愛が伝わってきましたし、体全体で好きなことを表現していることに非常に魅力を感じ、MSのコスプレをやってみたくなったのが始まりです。
 “ガンダムを作る”というとガンプラが有名ですが、私はガンプラだけがガンダムファンの創作活動であるとは思っておりません。イラストや小説、自作の映像作品などでガンダムが好きな思いを表現されている方もたくさんおります。ものづくりとガンダムのMSが好きな私が、コスプレというものに魅力を感じた結果、モビルスーツをフルスクラッチした衣装を制作したという感じです。

――やってみたいと思っても、1からすべてを作るのは、なかなかハードルが高いように思えます。
くろぼうしそうですね。でも、なんとか完成させた処女作の『ヅダ』の衣装の写真がネットに上がったことをきっかけに、すでに活動されているたくさんの造形コスプレイヤーさんたちにお声がけいただきました。お褒めの言葉や、衣装作成のアドバイスをいただいたり、一緒にイベントにも参加して、コスプレの魅力をさらに知り、活動を続けております。

――素晴らしいコミュニティですね。その後もこの『ガンダム(RX78-2)』を含め、全部で8体ものMSを制作されたと伺いました。
くろぼうしはい。アニメやゲーム、そのモビルスーツの設定から有名無名関係なく、私が魅力的に感じた機体のコスプレをしています。そのため、主役機の『ガンダム』から、マイナーな機体である『イフリート・シュナイド』まで、幅広いラインアップです。

――ちなみに、一体当たりどのくらいの制作期間、費用がかかるものですか?
くろぼうし平均して1体あたり半年以上、制作費用は8万円前後です。平日は会社員として仕事をしているため、休日や長期休暇を利用して制作を進めています。作品ごとに制作期間は異なりまして、1ヵ月半で製作したものもあれば、完成までに9ヵ月以上かかったものもあります。非常に長い期間の作業となりますので、一度制作の手を止めてしまうと、完成させることに対するモチベーションが切れてしまいます。そのため、あまりやる気がない日も、線を一本引くだけでもよいので、作業をすることを心がけています。

小顔・足長の“ガンダムスタイル”を人間が表現する難しさ

――素人質問で恐縮なのですが、どういった素材でどのようにして制作するのですか?
くろぼうし今回の『ガンダム(RX78-2)』を例に挙げて説明すると、主な素材は模型などで使用される紙貼りスチレンボードです。その上にカッティングシートを貼って、彩色しています。そのほかに、強度が必要なパーツはボール紙で、肩など可動させたい部分には回転盤や蝶番を仕込み、センサー部分には自転車用の小さなライトを取り付けるなど、さまざまな素材を使用しています。特殊で高価な素材は使用しておりません。どれもホームセンターや100円ショップで購入できる素材で制作しています。

――特別な素材は使っていないんですね。
くろぼうしはい。パーツは、着用時には頭、胴体、両腕、両足、スカート部、バックパックに分かれますが、プラモデルと同じく、さらに細かいパーツで構成されています。例えば、バックパックは10個のパーツで構成されますし、手も関節ごとに部品がありますので、片手で15個のパーツで構成されます。さらにそれらを構成する部品...となりますと、パーツ数は全体で数百は超えます。

――数百!しかも1つ1つのパーツのサイズ感、バランスが非常に難しいですよね?
くろぼうしそうですね。ガンダムは人型をしていますが、実際の人間と比べると全く異なります。非常に小顔で、足が長く、肩からは腕が直角に出ています。このバランスの再現が非常に難しく、人間の体を使いガンダムのバランスをそのまま再現することは、少なくとも私の体では不可能でした。そのため、ガンダムのバランスにできるだけ近づけるために、さまざまな工夫を施しました。

――工夫というと?
くろぼうしガンダムの長い足には、靴部分はスタイロフォームという建築素材にも使われる材料で高さ23センチメートルの足下駄を制作し、その上に立つことで長い足を表現しました。
 さらに首を短く、足長効果を高めるために、肩をかさ上げしました。これにより、胴体全体を上に押し上げ、自分の実際の肩の位置よりも高く見せることができました。頭のパーツも、ガンダムの顔を再現できる範囲で、自分の頭が入るギリギリの大きさにするために、何度も作り直しました。

――お話を伺うだけで苦労が伝わってきます。これまで制作されたMSコスプレはすべて、驚くほど細部まで丁寧に作られていますが、制作する上で、心がけていることを教えてください。
くろぼうしMSの魅力が表現できるように全力で取り組むようにしています。コスプレ活動をしていく以上、コスプレイベントにて、不特定多数の人の前で披露することもあるため、中途半端なものは出したくないですし、作品に対しても罪悪感を覚えてしまいます。元の作品をお借りしている以上、作品へのリスペクトは常に持つようにしています。

――素晴らしい信念ですね。最後に、くろぼうしさんにとって「ガンダム」とは?
くろぼうし子どもの頃からガンダムが好きで、アニメを見たり、資料集を読みあさったり、たくさんのガンプラを作ったりと、常に身近にガンダムがありました。現在はコスプレイヤーとして活動していますが、コスプレ活動を始めたきっかけなのも、現在、コスプレ活動を楽しめているのも、魅力的なガンダムという作品があってこそです。そう考えると、ガンダムはもはや、人生の一部です。

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