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目立ち過ぎで戦闘での実用性ゼロ? “ド派手”キュベレイ100体制作のモデラー 「ガンプラはアイデアを自由に表現できるキャンバス」
“艶あり”塗装は作例少なく失敗の連続 木工ニスでギトギトのガンプラも
Kシェパード小学生の時におもちゃ屋さんでたまたまコンテストの参加要項を見かけました。自分の作品を色んな人に見てもらえるのだと知り、感激し、参加しました。お店のショーケースに並ぶ自分の作品を見て嬉しくなり、根拠のない自信を勝手に持っていたのですが、結果は惨敗。それがとても悔しかった記憶があります。これをきっかけにガンプラ作りに没頭し始めました。ガンプラ歴は20数年で、詳細な数は覚えていませんがこれまでに500体くらいは作ってるかなと思います。
――悔しい思いをきっかけに、すごいハマりようだったんですね。今、ツイッターなどで発表されている作品を拝見すると、“塗装”へのこだわりを感じます。
Kシェパードもともとは他の人の作品と被らない作品を作りたいと思ったのがきっかけです。ガンプラは艶消しの作例が多いと思い、その逆を作り始めました。単純にツヤを求めても思うように塗れず、その為にラッカー系・エナメル系・アクリル系、いろいろ調べて塗装を試しているうちにどんどんのめり込んでいきました。ツヤを求めるあまり、木工ニスの刷毛塗りでガンプラをギトギトにした、なんてこともありました(笑)。
――さまざまなモビルスーツが、実にカラフルにときに模様をまといながら、自由に表現されています。このカラーリングのイメージは、どのようにして思いつくのでしょうか?
Kシェパード直感的に浮かんだイメージで塗りはじめ、そのまま計画性なく行き当たりばったりで最後まで進めることが大半です。最初に浮かんだイメージと完成が違うことも多いですね。
「塗装」を自在に扱えると、作品の幅が大きく広がり楽しくなる
Kシェパードそうですね。数えてないので曖昧ですが100体弱くらいはあるかと。
――えっ、キュベレイだけで100体ですか?そこまで「キュベレイ」に魅せられる理由は?
Kシェパード昔から機体デザインが好きで愛着もあり、広く優雅な曲面は塗装を魅せる作品に仕上げやすいので自然と作る機会が多くなっていました。
――キュベレイのなかでも「究極レインボー」のキュベレイは、艶やかかつ見る角度で色の出方が異なり、非常にインパクトがありました。本作制作のきっかけは?
Kシェパード虹色に反射する新作塗料が発売すると聞き、これを使って何か面白い作品を作りたいと思いました。ただ塗料をそのまま塗るのではなく、いかに自分色を加えて他にはない作品を作り出すか…考えたときにパッと浮かんだイメージを形にしています。これも直感的で背景のストーリーは持たせていません。
――制作の際、苦労したところは?
Kシェパード扱ったことのない未知の塗料で、ぶっつけ本番だったのでとにかく慎重に進めました。ラッカー系塗料やウレタン系塗料の重ね塗りは、思わぬトラブルの原因になります。塗装がうまくいっても乾燥の際にボロボロに割れたり…なんてトラブルもあり過去何度も泣かされてきたもので…。
Kシェパードツヤを美しく仕上げることです。クリアの薄め方やスプレーの吹き方などわずかな違いでツヤの仕上がりが左右されます。作品の最終工程なので、どれだけ手をかけた作品でもここで油断するとすべて台無しになります。なので毎回、最も丁寧に、こだわる部分になります。
――そこまでこだわる「塗装」は、Kシェパードさんにとって単なる制作の一工程ではないようですね。
Kシェパード自分にとっての「塗装」は無限の表現ができる手段です。色・質感・組み合わせ、少しの違いでさまざまなアピールができる。「塗装」という手段を自在に扱えると、作品の幅が大きく広がり模型作りが楽しくなります。「こうしたらこうなる、この組み合わせならどうなる」と、塗装だけでも次々にアイデアが出てきて尽きないです。
――素晴らしいですね。では、最後にKシェパードさんにとって「ガンプラ」とは?
Kシェパードアイデアを自由に表現できるキャンバス。どう仕上げるも人それぞれあって、作る側だけでなく見る側に立っても同じで楽しいものです。