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『シン・エヴァ』の“衝動”をガンプラで表現 「エヴァ、ガンダム双方のファンから高評価だったのが一番嬉しかった」

 25年続いた『エヴァンゲリオン』シリーズの完結作として、3月の公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を劇場で鑑賞。大きな衝撃を受けたモデラーのオブライトさん(@tromboy141)は、その熱気と興奮のままにガンプラを制作。さまざまな機体を組み合わせ、8号機を作り上げた。双方のファンが喜んだという本作はどのような思いから生まれたのか?

『8号機』のプラモを買いに行くも売り切れ「なければ作ればいい」

――4月に発表された『汎用MS型決戦兵器 エヴァンドートレス8号機』が注目を集めました。「シン・エヴァを見た後の感情をそのままぶつけて作成した」と一文添えられていましたが、本作の制作の経緯を教えてください。
オブライト『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』がとにかく凄まじかったんです。劇場で観たんですが、その熱気が冷めやらぬまま、すぐに行きつけの模型店さんへ『RGエヴァ8号機』を買いに行ったんです。そしたら、みんな考えは同じだったのか見事に売り切れていて。その時に「売り切れて手に入らないなら、作ればいいじゃないか」という発想に至り、制作を始めました。

――衝動を形にしたんですね。昔から『エヴァンゲリオン』のファンだったんですか?
オブライトリアルタイムではないのですが、高校生くらいの時に初めて見て、独特の世界観に引き込まれました。惹かれた理由は「ロボット作品としてのカッコよさ」です。使途の迎撃の為に迎撃態勢に移行する第3新東京市、緊迫感の伝わるエヴァの発進シーン、活動限界を超えて絶体絶命のピンチに覚醒する初号機など、特撮もロボット作品も好きな自分としては「こういうシーンが見たかった」という欲求を満たしてくれる作品ですね。

――熱い思いをお持ちですね。本作を制作しようと決めたとき、どんな物語をイメージして制作されたのですか?
オブライト制作したのは8号機ですが、イメージしたのは『シン・エヴァ』の後半、ヤマト作戦での弐号機の活躍シーンです。ボディのベースとして使用した『ガンダムアストレイノーネーム』が左右非対称のガンプラだったこともあり、そのまま仕上げると違和感が生まれると思いました。そこで、パリで手に入れた予備部品で応急処置をした急造の機体で、マリが大量のエヴァMark.7に突撃する姿をイメージしました。「武器はこれだけ?なかなか無茶言うねー」って言われそうなので、もう少し重武装にしてあげればよかったです(笑)。

ガンプラは、自分の思いを自由に表現できるキャンパス

――当然のことながら、『ガンダム』のモビルスーツと、『エヴァンゲリオン』は似て非なるものです。ガンプラで表現する際に、どのようにして近づけていったのでしょうか?
オブライト元ネタのあるミキシング作品を作る時、一番意識しているのは「その元ネタでどこの部分を再現すれば一番それらしく見えるか」というところです。『8号機』で言えば頭部。頭部とカラーリングさえ気をつければ、エヴァっぽく見せることができる、と考えました。8号機は目が8つあり、ヘルメットを被ったような独特の形状で、王道の「かっこいい」というよりは「かわいい」寄りのデザイン。手持ちのガンプラの中で一番ヘルメットっぽいデザインのものを工夫すれば、8つの目が再現できると思い、頭部は『ドートレス』を選びました。

――形もさることながら、本機は特徴的なピンクが非常に印象的です。
オブライト実は、一番苦労した部分は独特のカラーリングです。8号機はピンクと白が主体ですが、差し色として黒とオレンジ、一部に蛍光グリーンも入り、複雑。胴体だけ見てもエヴァとガンダムでは体型が違うので、配色バランスも自分で調整しながら考える必要がありました。ピンクが多すぎてもメリハリなくなるし、かと言って減らすと8号機に見えない。なので何度も8号機の画像を見ながら色の配分を確認し、まずはピンクと白だけ塗装してそこから引き算する形でオレンジや黒を塗装していきました。オレンジや黒の方が、ピンクや白より隠蔽力が高いからこそ出来た力技ですね。

――時間をかけて丁寧に仕上げた力作ですね。本作を発表され、反響はいかがでしたか?
オブライト『エヴァ』ファンの方からは「8号機らしい」「ドートレスの頭部がよく似合ってる」、『ガンダム』ファンからは、「力強いドートレス」「ドートレスがかっこよくなった」など嬉しいお言葉を多くいただきました。双方のファンから高評価だったのが一番嬉しかったですね。

――まさに「#ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ」を地でいく、素晴らしい作品だと思います。このように、ガンプラと他の作品をミックスした作品を制作することについてはどのようにお考えですか?
オブライトガンプラって公式でも、プロ野球やハローキティとコラボしていたりして、元々コラボに寛容な下地が作られてきていたのかなと思うんです。このハッシュタグを付け、多くのモデラーさんが独創的な作品を制作・発表されていますが、みんな自分の「好き」という気持ちを作品として表現している。他作品との“コラボガンプラ”も長い年月を掛けて多くの人が積み重ねてきたガンプラの楽しみ方の一つ、今後も大いに盛り上がって欲しいと思いますし、自分もまだまだ作りたい作品は山ほどあるので今後も作り続けていきたいです。

――オブライトさんにとって「ガンプラ」とは?
オブライト自分の思いを自由に表現できるキャンパス、って感じですね。同じガンプラでも作る人によって千差万別で、無限大の可能性を秘めた魅力あるホビーだと思います。かっこよく作ってもよし。かわいく作ってもよし。好きなキャラクターを再現するもよし、とここまで懐の広い趣味もなかなかないですよね。子どもの頃から当たり前に身近にあり、大人になるにつれ、蓄積された知識や技術でより高度な改造に挑める。これだからガンプラは面白いです。

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