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パンクブーブー佐藤、ガンプラは「自分育てロールプレイングゲーム」 “根気”が必要なのはお笑い賞レースと同じ
プラモデルはいくつになってもやればやるほど成長できる
佐藤4歳くらいからガンプラを作り始めて、子どもの頃はお小遣いをもらったら、全部、その日にプラモデルに使っていました。それまでおもちゃというのは、買って遊んで飽きて終わりだったのが、自分で作って、自分で色を塗ってというのがもう衝撃的で、楽しくて。
━━その後、本格的にのめりこんだきっかけは?
佐藤高校卒業して芸人になってからは、電気代とかガス代を払うのがまず先でしたから(笑)、プラモデルから一時的に離れていました。その後、息子が2歳半になって、プラモデルに興味を持ち始めて、一緒に作るようになったんです。
僕くらいの年齢になると、どんな趣味をやってもだいたい能力が下がっていくんです。例えば、僕はバスケットボールも好きなんですが、今やろうとしたら、筋力がつく前に膝が壊れるのは目に見えている。同じ時期に始めた若い人はグングンうまくなるけど、こっちはすべての能力において落ちてきているから、若い人との差がどんどん開いてしまう。ところが、プラモデルというのは、今の年齢からスタートしても、やればやるほど成長できるんです。歳とともにダメになっていくことばかりのなかで、自分が成長できるのってすごい魅力だし、喜びじゃないですか。それでハマっていったというのが大きいですね。
ガンプラとお笑い、“賞レース”で勝つために必要なのは「ずっとやり続ける根気」
佐藤ありがとうございます。準優勝をいただいた作品『リサイクルズゴック〜エコだよ!それは!〜』は、今までで最長の9ヵ月かけました。完成した時は、すごいモデラーがいっぱいいる中で戦える作品を作れたと思いました。
━━のぞき穴が付いた大きな箱の中で、ズゴックが海中で朽ちたザクを回収し、最新のモビルスーツの部品として再利用するという設定の作品ですね。
佐藤雑貨屋さんで買ったミラーボールのミラーの部分を外して光に利用して、水の中の景色を表現したりとか、創意工夫で技術を補いながら作ったので、思い入れも強い作品です。お金をそんなにかけられるわけではないので、雑貨屋さんや100均で使えそうなものを買ってきたり、試作品みたいなものを作って、何度も失敗しては直すというトライアンドエラーの繰り返しでした。家族も協力してくれて、息子がおやつに食べた容器を、「コレ使えるんじゃない?」ってとっておいてくれたり。塗料をこぼして絨毯一枚ダメにしちゃったり、かなり迷惑もかけました(笑)。
━━佐藤さんは、パンクブーブーとして『M-1グランプリ2009』『THE MANZAI 2011』で優勝されています。ガンプラでも実績を残されていますが、“賞レースで結果を出す”という点で、お笑いとガンプラ、何か共通点はあるのですか?
佐藤『M-1』は、才能の面もあるんでしょうけど、何より、1年間、賞レースのためにモチベーションを持続できた人でなければ上位に残れないんです。自分の中でしっかりゴールをイメージして、1年間、形が見えない中でも根気よくずっとやり続けるというのは、本当に難しい。プラモデルもそれは同じですよね。僕が子どもたちにプラモデルを勧めたい理由のひとつもそこで、受験でも仕事でもこれから大人になるにしたがって、短期間ではなく、1年、2年、3年という長いスパンでモチベーションを保つということが非常に大事になると思うんです。プラモデルはそれを養えると思いますね。
━━長期的な集中力が身につくんですね。
佐藤プラモデルって手先が器用じゃないとできない、というイメージでとらえられがちですが、実はそんなことないんです。1個1個の作業は、そんなに難しくないし、要は単純な作業の積み重ね。だから正しい知識さえつけていけば、上手にもなる。プラモデルに必要なのは、センスでも器用さでもなく、知識と根気と家族の理解(笑)。この3つがあれば絶対できます。