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“それにしか見えない”特殊能力? ガンプラからマリオ・エヴァを創作「ザクのボディがマリオのオーバーオールに」
ガンプラは、作り手も見る側も笑顔になれる一つのツール
「ザクのスパイクアーマーを見たときに、マリオシリーズに登場するトゲゾーに見えたんです。私は、一度そう思うと、それにしか見えなくなってしまうもので…。『ザクでマリオを作る!』と決めたのも、ザクのボディの特徴が、見事にマリオのオーバーオールの形になっていたから。そう見えてしまったんですよね(笑)。
もちろん、普通の設定通りに作るときもありますが、自分にはプロモデラーほどの技術はない。だから『リアルもいいけど、ふざけた作品も楽しいかな?』と思いました。作品を見てくださる皆さんが笑顔になってもらえるような作品を…と考えています」
作り手本意ではなく、見てくれる人ファーストで作品を生み出す。それゆえ「テレビでアニメを観ていても『これならガンプラで作れる』など、自然に閃いてしまいますね。(観てくれる)皆さんに喜んでもらうことが第一ですので、誰もが知っているキャラをモチーフにすることも大切だと思っています」と、さまざまなことが自然とガンプラに結び付いて、ユニークな発想が生まれるようだ。ここから生み出された作品は、SNSで発表され、海外からも賞賛された。
「特にマリオシリーズの作品は、海外の方からもたくさんコメントを頂きました。マリオもガンダムも全世界の方々に本当に愛されている作品だと、あらためて実感しています」
海を越え、会ったことのない人も作品を通じて笑顔にする。マサトさんはそこにガンプラの可能性を感じているという。
「ガンプラは、笑顔になれる一つのツールだと思っています。手に入れた時、完成した時、作品を見て頂いた時、その方々が浮かべる笑顔。それぞれに嬉しさがこみ上げてきます。キャラもののガンプラも、また閃くと思うので、作ると思います(笑)」
『エヴァ』と『ガンダム』双方のファンから高評価だったのが一番嬉しかった
「劇場で観た後、その熱気も冷めやらぬまま、すぐに行きつけの模型店さんへ『RGエヴァ8号機』を買いに行ったんです。そしたら、みんな考えは同じだったのか見事に売り切れていて。『売り切れて手に入らないなら、作ればいいじゃないか』という発想に至り、制作を始めました」
簡単に「作ればいい」とオブライトさんは笑うが、当然『ガンダム』のモビルスーツと、『エヴァンゲリオン』は似て非なるもの。だが、そこを造作もなく近づけていくのがモデラーとしての本懐。オブライトさんは言う。
「元ネタのあるミキシング作品を作る時、一番意識しているのは『その元ネタでどこの部分を再現すれば一番それらしく見えるか』というところです。『8号機』で言えば頭部。頭部とカラーリングさえ気をつければ、エヴァっぽく見せることができる、と考えました」
本作のポイントが、頭部とカラーリングであると分析したオブライトさんは、さまざまな考えをめぐらしながら制作に取り掛かった。
「頭部に関しては、8号機は目が8つあり、ヘルメットを被ったような独特の形状で、王道の『かっこいい』というよりは「かわいい」寄りのデザイン。手持ちのガンプラの中で一番ヘルメットっぽいデザインのものを工夫すれば、8つの目が再現できると思い、頭部は『ドートレス』を選びました。
カラーリングは苦労しましたね。8号機はピンクと白が主体ですが、差し色として黒とオレンジ、一部に蛍光グリーンも入り、複雑。胴体だけ見てもエヴァとガンダムでは体型が違うので、配色バランスも自分で調整しながら考える必要がありました。何度も8号機の画像を見ながら色の配分を確認し、まずはピンクと白だけ塗装してそこから引き算する形でオレンジや黒を塗装していきました」
こうして時間をかけて作り出した作品は、SNSで絶賛。オブライトさんも「『エヴァ』と『ガンダム』双方のファンから高評価だったのが一番嬉しかったですね」と顔を綻ばせる。こうしたガンプラの楽しみ方について、「今後も盛り上がってほしい」と話す。
「ガンプラって公式でも、プロ野球やハローキティとコラボしていたりして、元々コラボに寛容な下地が作られてきていたのかなと思うんです。『#ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ』を付け、多くのモデラーさんが独創的な作品を制作・発表されていますが、みんな自分の『好き』という気持ちを作品として表現することは素晴らしいと思います。
私にとってガンプラは、自分の思いを自由に表現できるキャンパス、って感じですね。同じガンプラでも作る人によって千差万別で、無限大の可能性を秘めた魅力あるホビーだと思います」