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ジャブローで散ったジムとゾゴックを“リユース” 「再利用の概念は公式にもあったはず」

『謎の連邦機』 制作・画像提供/ テング氏 (C)創通・サンライズ

『謎の連邦機』 制作・画像提供/ テング氏 (C)創通・サンライズ

 一年戦争時、連邦軍の本拠であり、シャア専用ズゴックがジムを撃破する名シーンで知られるジャブローでの激戦。そこで“散った”モビルスーツ(MS)のその後をイメージした、ガンプラモデラー・テングさん(@tengugundam)の作品がSNSで話題となった。ゾゴックのボディに、ジムの頭を持ち、全身を白で塗装され、湾岸警備にあたっているというこの不思議なモビルスーツは、いったいどんな経緯で誕生したのか?

ジャブロー“不参加”のゾゴックを連邦軍がまさかの“魔改造”

――ジムとゾゴックを合体させるというユニークな発想で制作された『謎の連邦機』がSNSで話題となりました。本作はどんなきっかけで制作を始めたのですか?
テングHGUCの新型ゾゴックに旧体型ゾゴックの皮をかぶせる。またあの体型に首をつけたらかなり異質なMSが出来るかな、と思ったのがきっかけでした。ですが、他のモデラーさんの美しいゾゴックを見て、創作意欲を失い2年ほど放置しました(笑)。

――放置されたゾゴックが『謎の連邦機』として完成に至ったのは?
テングさすがにこのままじゃいけないと、アイデアを練り直しました。その際、ゾゴックは「ジャブローに投入された公式記録はない」という解説を思い出しました。そこで、「戦闘入る前に砲撃でセンサーをやられて動けなくなり、連邦に捕まって魔改造された。だから記録がない(多分)。ジャブローにはやられたジムの残骸もごろごろしているのでリサイクルされる」という強引な設定が思い浮かびました。

――戦闘でやられたMSを連邦軍が回収し、魔改造とは大胆な発想です。ツイッターに発表された際「ジャブローでセンサーを破壊、連邦に回収されたゾゴック。研究の後、同じくジャブローで散ったジムの頭を移植されて湾岸警備用に配備される。自分達の兵器の恐ろしさを知っているジオン兵は姿を見ただけで慄き恐怖したとかなんとか」とコメントを添えられました。背景にはどのような物語をイメージしたんですか?
テングこれはあくまで正規配備ではない現地改修のジャンクなMS。なので、ジム頭のセンサーを調整して使える様にしただけの見かけ倒しの性能のMSである可能性が高い。ということで、平和な地域での警備に使用する“案山子的ポジション”が適しているのではないかと思いました。見かけ倒しとはいえ、ゾゴックを改修しているので、「いざとなると意外と強い」的な。
 また連邦色である白を纏わされた自分たちの巨大兵器を見せつけられるのは、ジオン軍にとっても、心理的に怖いものだと思います。自身の武器を見せつけられる恐怖をより誇張させるために、巨体に見せるマッシブな体型とダイオラマの残骸を用意し、佇むようなポーズをとりました。

ジオン軍が連邦軍MSを利用も…意外と多い(?)リサイクルMS

――ジオン軍のMSが連邦軍として働いているというのは非常に新鮮ですね。
テングそうですね。でも、再利用という概念は公式にもあったはずなので、私にとってはごく自然な考えでした。たしか『機動戦士ガンダム戦場写真集』だったと思いますが、連邦の兵器がジオン軍に利用されるという、割とショッキングな場面のイラストがあったりします。『機動戦士ガンダムZZ』ではジャンクで造られたMSなんかも登場しますので。

――なるほど。制作の際、どんなところにこだわったのですか?
テング「体型」ですね。体のフォルムを自分好みにする事を第一と考え、腕、足のみ1/100ゾゴックを残し、リーチ延長、肩のブーメランの排除、腹部の短尺化などを行いました。自分の思うバランスがとれたと思います。
 一番のお気に入りガンプラはBB戦士・SDガンダムなのですが、極端なあのディフォルメ体型を作っているうちに、SDであっても自分の好みの体型バランスが見えてきます。リアルタイプのガンプラを作る際も、おのずと作りたい体型が見えてくる事が多々あります。今回もその感覚であの体型を調整しました。

――本作発表後の反応はいかがでしょうか?
テング大勢の方に好意的に見て、受け止めていただけたようで素直にうれしいです。あと、ジムとゾゴックなので「ジゴック」と言われる方が何名かおられて「なるほど」と(笑)。

――本作に限らず、ガンプラを制作する際の信念お教えください。
テング「自分の好きなものを好きな時に作るのが一番」とも思いますが、ガンプラは今、品薄状態。欲しいガンプラも再販待ちです。だから逆に、お店をのぞいて売れ残っているガンプラを手にして、作ってみるとそれがまたかなり楽しい。知らなかったキットに触れてみると、意外な発見があったりアイデアが浮かんできたりするもので「楽しんで作る」のが根本的な衝動なのかと思います。

――テングさんにとって「ガンプラ」とは?
テング武道では「礼に始まり礼に終わる」という言葉がありますが、模型は「ガンプラに始まりガンプラに終わる」。もちろん人によると思いますが、私はそうなる可能性が高いです(笑)。ガンプラは、「模型の楽しさを伝える入り口のひとつ」であってほしいと思っています。

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