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“戦争の恐ろしさを伝える象徴”として今も残るウイングガンダムゼロEW モデラー「平和だからこそ大切にしなければならないもの」

 SNSの発達によって、ガンプラ制作におけるさまざまな“技術”が、どんどん広がっている。特にウェザリング(汚し、風化加工)は、「難しそう」と敬遠していたモデラーも、動画などを参考に挑戦する人が増えている。真夏のプラタイムさん(@bVSMD1JpKuaRnhc)も、そんなウェザリングへの興味から、ジオラマ作品を発表しているひとり。近作の『ウイングガンダムゼロEW 戦いの果てに』では、“戦争の恐ろしさを後世に伝える象徴”として、ガンダムのウェザリング作品を作り上げた。この背景にある物語と、作品に込めた想いとは?

“ウェザリング”や“ジオラマ”に「物語」「作り手の思い」が凝縮された

――これまでさまざまなウェザリング作品を発表されていますが、ウェザリングにハマったのはどういったきっかけだったのでしょうか?
真夏のプラタイムガンプラをただ作っているだけじゃ物足りないと思い、全塗装をはじめ、さまざまなカスタムの技法について調べたり、YouTubeを観たりしたんです。そのなかで、ウェザリングを施したジオラマが1番「やってみたい」「知りたい」と思えたんですよね。一つの台座のなかに「戦場」「風景」「物語」「作り手の思い」など全てが凝縮されて、一つの作品になっている。感動しました。そこからですね。

――近作の『ウイングガンダムゼロEW 戦いの果てに』もボロボロに朽ちたガンダムが印象的です。この発想はどこから生まれたのですか?
真夏のプラタイムウェザリングの作品を制作する際、いつも組み始める前に、この背景にはどんな物語があるのか、その結果どう朽ちていったのか、イメージを決めてから制作に入ります。ところが、本作制作前に、『ウイングガンダムゼロEW』を制作しているモデラーさんたちの動画や資料を見たりしたんですが、やりたいことがありすぎて、1つにまとめることができませんでした。

――作品はこのように完成していますが、どのようにまとめていったのですか?
真夏のプラタイム家で考えていてもだめだと思い、気分転換をしに出かけたんです。その際たまたま寄った場所が、古風な建物が今もそのまま残っている場所でした。そこから一気にイメージが湧いてきました。長い歴史のなかで昔の文化が、現代にも受け継がれ、残っている。そんな美しさ、尊さを見た経験が今作の発想の原点になりました。

“白き希望の翼”と呼ばれたガンダム活躍の背景にある戦争への想い

――具体的、本作の背景にはどのような物語が浮かんだのですか?
真夏のプラタイムお互いの目的を達するため、戦争をやめない国々が戦いを続けるなか、
本当の平和を取り戻すべく、ある一機のガンダムが立ち上がりました。そのガンダムは、どこの国にも味方せず、ただただ戦争を止めるために現れ、圧倒的な力で戦場を制圧。次々と戦争を止めていきます。人々はその一機のモビルスーツを「白き希望の翼」と呼びました。やがて戦争は終わりを迎え、平和が訪れました。戦争を止め続けたこの「白き希望の翼」は、戦争が終わったことにより役割を終え、永い眠りについた…というような物語をイメージしました。

――ガンダム史をベースにするのではなく、ガンダムを使ったオリジナルの「if設定」の物語で戦争について描かれたのですね。
真夏のプラタイムそうですね。永い眠りについてから50年、今も平和な争いのない世界が続いています。戦争を止めるべくとはいっても、戦いの道具となっていたウイングガンダムゼロEWがそこにあることで、戦争の悲惨さや、激しい戦いの痕跡を残し、時代が変わって、平和に慣れた時代になっても、争いの恐ろしさを忘れさせない。だから今もそこにい続けています。

――なるほど。今回、ガンプラで表現されたことは現代の日本にも言えることかもしれませんね。
真夏のプラタイム戦争については、さまざまな考え方があり、正直答えが分からないです。今戦争がないこの国はすごく平和だと思います。でも、だからこそ70年以上前の戦争の爪痕はもちろん、その経験からの伝承などは大切にしていかなければならないと思います。これからも争いのない平和な日常が続けばと思います。

――ジオラマ制作において苦労したところは、どんなところですか?
真夏のプラタイム全体のビームサーベルでの傷やビームライフルの穴が、全体的にバランス良く変にならないようリアルに仕上げるのには苦労しました。また、ガンダムの配置やポージングには1番こだわりました。

――完成作を発表した際、フォロワーの方々はどのような反応でしたか?
真夏のプラタイムいろんな方々に観ていただけたのですが、モデラーとしてまだまだなので、もっと作品を知っていただけるように、成長していければと思います。

――本作に限らずガンプラを制作する上での信念をお教えください。
真夏のプラタイム制作する楽しさを忘れないことですね。それを無くしてしまったら良い作品ができないと思います。ガンプラは私にとって、子どもの頃からの「憧れ」。これからも制作を続けていきたいと思います。

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