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曇れば曇るほど美味そうに…実用性度外視“ラーメンマスク”制作の理由「世の中をマスクでひと笑いさせられないか」
実用性よりも、人々の心に向けて“無駄なもの”を制作
しばた僕は「実用的でない物がいい」というこだわりから、これまで“無駄なもの”だけを作ってきました。実用的な物は世の中にあふれかえっているし、それより“心に向けて作る”ことのほうが、デザインの可能性を広げられるのではないかと考えています。
━━アニメーションの制作も同じスタンスですか?
しばたアニメーションの活動は、世の中のちょっと落ち込んでいる人たちの物語や、社会問題を扱うような真面目なテイストなので、そちらを知っている人たちには、立体造形作品との違いにビックリされます。ただ、アニメも真面目なテーマを扱いつつ、扱われた人が救われるように描いているので、根底は同じ。僕が作品を作る理由はそこにあると思います。
━━最近は、ラーメンマスクをはじめ、粘土以外の素材の作品も発表されています。
しばた今年に入ってから、素材にこだわらずにいろいろ作りたいなと思って、そういう路線にちょっとずつ変えています。
━━作品数はどのくらいに?
しばた小麦粘土は何百も作っていますが、それ以外の立体造形作品は月1で作れているかいないかという状況なので、まだ両手で数えられるくらいですね。どうアウトプットしたら面白くなるかを考えるのに時間がかかり、作るのにも時間がかかるので、一つの作品に1カ月くらい要してしまうんです。
しばた妹に「めちゃくちゃテンションが上がるおやつが食べたいよ」と言われて作った「人間サイズのひまわりの種」という名前で発表したクッキーですね。想像を上回る反響で、だいぶ拡散もしていただきました(笑)。なかなか上手に焼けなくて、ひまわりの種みたいに噛んだ時にカリッと割れなかったりと試行錯誤があったので、今までで一番思い入れ深い作品でもあります。
━━ユーモアいっぱいのご家庭ですね。
しばたいいえ、両親はすごくまじめな人。その反動で子どもたちはふざけちゃってるのかもしれません(笑)。
しばたまだ具体的には固まっていないのですが、遊園地の乗り物と日用品を絡めて、可愛い物が作れたらいいなって構想しています。
━━今後の野望は?
しばた作品がまとまったら個展を開いて、実際に多くの方に直接、見ていただきたいですね。できれば海外でも。100個作ったら実現したいと思います。それから、今やっている一つひとつのことがお金につながって、作家としてお金持ちになれたらうれしいです(笑)。いずれにしても、僕のアイデアが売りになるような活動をしたいので、作品自体は統一感を出すことなく、いろいろなものをこれからもどんどん作っていくと思います。
文/河上いつ子