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「砂埃すごっ」“静止描写”の限界に迫るカーモデラーによる“動描写”へのこだわり
小学校の用務員のおじさんが作る「箱庭」に感銘
kunnyプラモデルに目覚めたのは小学生の時です。親が模型店を営んでいる同級生がいて影響を受けました。ジオラマも小学生の頃です。校舎の中庭にある観察池の周りに素敵な箱庭がいくつも並んでいて、それはすべて学校の用務員のおじさんが制作した物でした。私は昼休み、友達とドッジボールをするでもなく毎日その箱庭を眺めていたのですが、ある日用務員のおじさんが「そんなに好きなら作り方を教えてあげる」と言ってきてくれたんです。
――熱量が伝わったんですね(笑)。
kunnyそうですね。つまようじ・割りばし・粘土など身近にある材料を使って作り方を教えてもらいましたが、そのリアルさ凄かったんです。その箱庭にあるA3サイズの田んぼでは田植えが出来て、秋にはちゃんとお米が実って、稲刈りして精米して…そういう一連の流れが体験できました。それをその田んぼに撒くとスズメが食べに来る。大きなスイカほどの池には金魚が泳ぎ、トンボが卵を産み付けていました。私のジオラマに土・砂・水・雪などの自然の表現が多いのは、その時に教わった箱庭作りの影響なんです。
kunnyもちろん普通の乗用車を作るときは静止描写なのですが、競技車両、特にラリーカーは、レースカーのように人工のサーキットではなく、大自然のフィールドで戦う獰猛な野生動物のようなイメージが私の中にあるんです。“野性味あふれる表現で作りたい”というのが動描写の制作を始めた大きな理由です。
――こういった作品を作ろうと思った運命的なキットはございますか?
kunny「タミヤ・1/24 モーリスミニクーパーラリー」ですね。1967年のラリー・モンテカルロでポルシェをぶっちぎって優勝した車なんですけど、その武勇伝を知った時に、小さい車だけど、雪上を果敢に走る偉大な姿を再現してみたくなりました。