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「砂埃すごっ」“静止描写”の限界に迫るカーモデラーによる“動描写”へのこだわり

信念としていることはそれぞれの車の持ち味を出すこと

――その後、車を使った数々の“動描写ジオラマ”を制作されていますが、なかでも「日産240RS 1983ニュージーランドラリー」はすごい迫力です。今作は、どのようなストーリーをイメージし制作されましたか?
kunnyこれはラリーカーの歴史の中で最も過激で危険なカテゴリーだった80年代半ばの“グループB”の車両です。「BEEMAXアオシマ 1/24日産240RS 1983ニュージーランドラリー」というキットを使用しているのですが、これが日本のメーカーではなくマカオの新規メーカー「BEEMAX」から発売されたと聞き、驚いたのと同時にうれしかったのがきっかけですね。パーツの造形も良く、有り余るパワーでモンスターのように駆け抜ける姿を作りたいと思いました。

――この作品において一番のこだわりは?
kunny「1983ニュージーランドラリー」はナイトステージがカッコいいのでヘッドライトやフォグランプをLEDで電飾していることですね。夜の雰囲気を感じていただけたらうれしいです。あとジオラマ素材にはなるべくお金をかけないということ。ジオラマのベースとなる雪、植物、土などの材料はほとんど100円ショップの商品を使っています。
――100円ショップのものでこれだけの表現ができるのですね。臨場感を演出する「砂塵」が見事ですが、表現に苦労したのでは?
kunny撒きあがる砂塵の表現は、一番苦労しました(笑)。ナイロン、レーヨン、ポリエステルとそれぞれ柔らかさの違う3種類の綿を着色して表現しています。
 また、ほぼ全てのキットにドライバーとなる人は付いていません。走っている情景作品には、ドライバーは必須ですのでこれが苦労します。最近はメーカーのカスタマーサービスさんにお願いして同サイズのドライバーのフィギュアを10人分とかまとめ買いしてストックしています。ドライバーの着ているシーツはYouTubeなどで調べてできるだけ忠実に再現しています。

――制作後の反響はいかがでしたか?
kunny模型だと知ってみんなびっくりしていました。実車だと思ったそうです。「ここまで再現されているのは見たことない」と喜んでくれました。
――本作も含め、静止描写であるカーモデルを使って、動描写を作る際、どんなこだわりをもって制作されていますか?
kunny静の姿勢は基本「水平」ですが、動は「傾斜」だと思います、なので車に走っているような姿勢を与えることですね。めいっぱいハンドルを切ってタイヤを沈み込ませ本物の車のような姿勢を与える改造が大変です。
 こだわりは、タイヤとボディの汚しに使う塗料と塗装の技法です、長時間走ったことによる排気ガスやタイヤカスの汚れを表現するために、あえてきれいに噴霧しないダマが出てしまう壊れたエアブラシを使い、大きい汚れの粒を表現したりしています。

――カーモデルというと、旧車も含め、ピカピカの新車のような状態のものが多いですよね?
kunnyそうなんです。カタログから飛び出したようなツヤピカの作例が多く、今でもそれが王道ですが、私の作品は中古車の“ヤレ感”を表現することが多いです。ボディはきれいでもタイヤはすり減って日焼けしているとか、マフラーはすすで黒くなっているとか、見えませんが裏返すとシャシーは必ず汚れています、タイヤは紙やすりで削ってすり減らし、エイジングして日焼けして白っぽくなったタイヤを表現しています。
 車やバイクは人が使う道具です。買ったばかりの新車、10年使われた中古車、レストアされた旧車、ラリーカー…それぞれの持ち味をしっかり引き出すことを信念に制作しています。

文/中山洋平

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