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映画『SEED FREEDOM』で大活躍のデスティニーガンダム…『GBWC』優勝の天才モデラーが仕上げた“その後”
デスティニーガンダムに魅せられた理由「悲しい過去を持つシン・アスカにぴったりの機体」
morish最高でした。公開前に福田監督が「ファンの見たいものがすべて詰まっている」とおっしゃっていましたがその通りの内容でした。特に私はシン・アスカ推しなので、彼の『SEED DESTINY』時代の不遇を全て返上するかのような大活躍を見ることができ、大満足でした。特に終盤のデスティニーガンダムが母艦から発進するシーンや戦闘シーンでは、『SEED DESTINY』放送当時のBGMが流れ、当時のワクワクした思い出がよみがってきて感極まりました。
――そもそも本作はどんなきっかけから制作しようと思われたのですか?
morish映画でのデスティニーガンダムの大活躍を見て、デスティニーを作りたくなったこと。そして、ちょうど手元に作りかけのHGCEデスティニーがあったのがきっかけです。劇中では、デスティニーガンダムは「旧式」という認識だったので、最新・最強のデスティニーを作りたくなりました。1月末から、毎日子どもを寝かしつけてからの2時間、早朝に早起きして1時間作業し、6日間で完成しました。
――好きでないとなかなか夜なべ & 早朝の制作はできないと思うのですが、デスティニーガンダムに何か特別な思い入れがあったのですか?
morishはい。『SEED DESTINY』放送時の私の推し機体でした。最終話でインフィニットジャスティスに完膚なきまでボコボコにされ、擱座(かくざ)した姿を見ても私のデスティニー愛は変わりませんでした。
――素晴らしい愛ですね。どんなところが魅力ですか?
morishデザインに「悪鬼」イメージが入っているだけあって悪そうなところ。さらに頭部にある涙の意匠が、悲しい過去を持つシン・アスカのイメージぴったりで素晴らしいです。インパルスガンダムの後継機なのに角が4本から2本に減っていること、顔面のへの字がないので主役機のイメージが減っている分、ダークヒーロー感が前面に出ているところも好きです。
余談ですが、私がガンプラにハマるきっかけになったのが、14歳の時に当時放送されていた『SEED』を観たことでした。コレクションシリーズのストライクガンダムを皮切りにおこづかいをもらうたびに買いに行っていました。なので、『SEED』は私のガンプラ原体験と重なるシリーズです。
“発展機”は、超高機動で敵機を蹂躙「覚醒したシン・アスカならなんとかしてくれそう」
morish映画ではストライクフリーダム、インフィニットジャスティスともにデザインが部分的に変更されていましたが、デスティニーはカラーリングの変更だけだったのでデザインも変えた発展機としてミキシングしたら面白いと思いました。また、その出自からより悪魔感を強めたいと思ってグレモリーとミキシングすることを思いつき、また最新機であるイモータルジャスティスもシン・アスカ搭乗機という共通点があるので使用しました。
――制作時、特にこだわったポイント、苦労したポイントをそれぞれ教えてください。
morish別々の機体を組み合わせるとき、どうしても個々のパーツの配置や接続方法の調整をしないと不自然なスタイルになってしまいます。頭部は首のジョイントを一度切断再接着して短縮したり、フロントアーマーの位置を数ミリ下げるなど自然なスタイルになるような調整をしました。また、イモータルジャスティスをベースにしているので、変形機能はそのまま残したかった。そこで、バックパックの変形用パーツがデスティニーの頭部をきっちり覆えるようにしたり、変形後のスタイルを崩さないようバックパックの接続位置を調整するなど苦心しました。
――細かな調節までバランスよく、見事に施されていますね。ちなみに本作を発表された際「映画後の更なる強化型デスティニーを妄想して制作しました」とコメントされていますが、ご自身のイメージでは、本機はどのような活躍を見せるのでしょうか?
morishデスティニーガンダムspec2は、劇中で高速戦闘中に無数の分身を作り出していました。このイモータル・デスティニーガンダムspecV3は、さらに多数の実体を伴う分身と光の翼による超高機動、瞬間移動と見紛うような動きで敵機を蹂躙する妄想をしています。そんな動きをすれば当然、中のパイロットの負担がとんでもないことになりますが、覚醒したシン・アスカならなんとかしてくれそうです。
ガンプラのカスタムは、万人受けするデザインに「オリジナリティを出しすぎると自己満足になる」
morish作品そのもののだけでなく『SEED』という作品が好きな人たちや、私のようなデスティニーガンダム推しに刺さったこと。さらに、映画公開直後だったことで世間の『SEED』熱が高まっていたこと。デスティニーガンダムが20年越しに不遇を跳ねのけて大活躍したことに世間がざわついていたことなど、さまざまな要素が合わさって大きな反響につながったのだと思っています。また先述の通り、デスティニーガンダムspec2のデザイン変更点が少なかったので、ifとして、さらなる発展機を見たいという方が多くいたからではないかと思います。私と同じ思いの人がこんなにたくさんいるんだとうれしくなりました。
――深い考察によって原作の世界観を踏襲した発展機だったからこそ、多くの人に共感されたんですね。ご自身は、コンテストでも上位進出するほどの腕を持つモデラーですが、本作を含め、ガンプラを制作する際、どんなことを心がけていますか?
morishミキシングで組み合わせるパーツの設定や世界観に矛盾がない程度にオリジナリティを出すこと。そして、誰が見てもかっこいいと思ってもらえるようなデザインやカラーリングを意識しています。制作する以上はたくさんの人にも見てもらいたいので、万人受けするようなデザインも意識しています。こだわろうと思えばとことん手を加えられる部分もありますが、オリジナリティを出しすぎると自己満足になるのであえて手を加えず分かりやすいデザインで構築することが多いです。
――だからこそ、多くの人が共感できる作品になっているのですね。では最後に、ご自身にとって「ガンプラ」とは?
morishガンダムというコンテンツは私の人生の大半を占めています。なので、ガンプラはガンダムを楽しむためのツールのひとつですね。私はもともとアクションフィギュアのコレクターなので、これからもフィギュアのコレクションを楽しんだり、アニメの視聴、プラモデル制作など、さまざまな方法でガンダムを最大限楽しんでいきたいと思います。