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ガンプラ×雪が好相性…大雪の日に「寒冷地ジム」が大バズり「大人にとってネガティブな雪もこんな楽しみ方がある」

 久しぶりに関東に雪が降った2月5日。SNSは、「これだけ雪が降った」「雪とたわむれる子どもやペット」など、雪にまつわる写真や動画であふれかえった。そんななか、異彩を放っていたのが、モデラーのmuさん(@H_63)が投稿した、吹雪のなか哀愁を漂わせてたたずむ1機の寒冷地仕様のジムの動画。深々と降り積もる雪の絶妙なコントラストが受け、1.4万いいねを獲得した。なぜこの動画をこのタイミングで投稿したのか? 同氏に本作制作と投稿の背景を聞いた。

雪が降るとテンションが上がる作者「久々の積雪にうれしくなり投稿」

――関東に雪が積もった2月5日に投稿した寒冷地ジムの動画が、大バズりしました。この反応を今、どのように受け止めていますか?
mu情景作品は本物らしく作るのが大変です。でも、これは天然の雪をそのまま舞台にしていて、舞う雪で動きを演出したところに関心を持っていただけたのかなと思っています。ポジティブな反応の中に、パイロットの心情やこの後の展開など、想像を広げたコメントを書いてくれている方も何人かいらっしゃって、うれしかったですね。皆さん想像力豊かだなと(笑)。

――そもそも、この投稿をしようと思われたのはなぜですか?
mu私は関東在住なのですが、子どもの頃から雪が積もると周りの景色が一変するのが好きで、未だにワクワクしてしまいます。なので、雪が降ると未だにテンションが上がる性分で、ひさびさの積雪にうれしくなり投稿した次第です。

――“たまに降る雪”にテンションが上がるのはわかります。ちょうどいいタイミングで寒冷地仕様のジムが完成したんですか?
muいえ、実はあの動画も過去のものなんです。『ジム寒冷地仕様/先進技術実証機』は10年くらい前に制作していて、それを6年前に23区で大雪警報が発令された日(2018年1月22日)にベランダで撮影。今回、再投稿しました。雪のニュースは大人にとってはネガティブな印象も強いですが、「模型と雪でこんな楽しみ方もあるよ」という気持ちで投稿しました。

ガンダムの世界観を下支えする“量産機”の重要性「バリエーションが無数にあるのも面白い」

――雪とガンプラの相性がこんなにいいとは思いませんでした。ご自身はジムについて、何か特別な思い入れがあるのですか?
mu昔から「量産型」こそガンダムの世界観の下支えと思っているので、ザクやジムが好きです。機体バリエーションが無数にあるのも面白いですね。また、数多あるガンダムのエピソードの中でも『0080 ポケットの中の戦争』の第1話は緊迫感があって特に好きです。あの雪に閉ざされた環境下で、もし新しいビームライフルの開発がされていたら…などと妄想しながら制作しました。

――やはり、ジム寒冷地仕様が登場するOVA『0080 ポケットの中の戦争』が好きなんですね。
muはい、ジムってとにかく“弱そう”ですよね。『0080 ポケットの中の戦争』の劇中でも見事なヤラレっぷりでした。あれでこそジムです(笑)。寒冷地仕様は旧式っぽい機銃と、連邦の標準的な盾を装備しているところが、「いかにも安価」な感じがして好きです。

――本作をよく拝見すると、白×黒(グレー)が基本色の“寒冷地仕様”をカスタムされています。本機をどのように解釈し、具体的にどこをカスタムされたのでしょうか?
muプロトタイプのビームライフルを試験運用しているイメージで作っていたので、それを表現するバックパックを自作。ライフルはシステムウェポンキットを組み合わせて作りました。塗装は、オリジナルよりも全体的にロービジ化して、雪景色に溶け込むイメージで配色しました。アクセントに差し色(黄色)を入れ、フェイスのレンズは思い切ってグロスブラックで塗装し引締めました。マーキングも現用戦闘機のように控えめにしています。

――細かいところまで考えられた設定ですね。
muありがとうございます。北極基地で、モビルスーツ(MS)単機でも携行できる長距離射程のビームライフルの試作機が秘密裏に行われていた、という妄想で制作しました。重たいパワーユニットとライフルはケーブルで繋がれていて、なんとか持ち運べるレベルの代物という設定です。

「なぜ雪国にジムがいるのか?」本作の背景にある詳細まで考えられた物語

――本作制作時にはどのような物語をイメージされていたのでしょうか?
mu一年戦争で実戦投入されたビームライフルでしたが、地上での運用は大気中の塵や煙の影響を受けやすく、特に長距離での狙撃に有効な弾道の直進性を十分活かしきれずにいました。この短所を解消するため先進技術実証チームが発足。開発環境として秘匿性が高く遮蔽物の少ない北極基地が選ばれ、ビームスナイパーライフルの開発が進められました。
 高出力のパワーユニットの排熱と小型化に難航しつつも、バックパックとライフルを分離しケーブルでつなぐ形で、MS単機でもどうにか携行できる目処を付けていました。
 そんな矢先の12月9日、北極基地はジオン軍“サイクロプス隊”により強襲を受けます。この時、HLV打ち上げの攻防戦の裏で、別動隊によって試作ライフルの予備部品一式が奪取されたことはあまり知られていません。奪われた部品はユーコン級によってキャリフォルニアベースへ送られ、ジオン軍で同様に開発が進められていたビームライフルにそのまま転用されました。その後、ザクIによりビームスナイパーライフルが運用され、皮肉なことにトリントン基地の甚大な損害という形でその真価が発揮されたのです。…みたいな妄想です(笑)。

――ストーリーもめっちゃしっかりと考えられていますね。本作制作時にどのようなところに苦労されましたか?
muキット自体は、可動もプロポーションも良好なのでほぼそのままです。バックパックはプラ板を箱組したものにバイクの模型の空冷エンジンのフィンや剃刀の取っ手など、さまざまな素材をミキシングして“プロトタイプ”感を感じさせるよう作りました。バックパック背面には、僚機からもパワーユニットのステータスが視認できるという設定で電飾を施したのですが、まだ電飾に不慣れだったので配線に苦労しました。あとはライフルにつながるケーブルの素材と接続方法を試行錯誤した結果、ネオジム磁石を使うことで、自然な垂れ下がりと可動を両立させることが出来ました。

――本作を含め、「ガンプラ」制作の際、一番気を付けていることはどんなことですか?
muスケール感ですね。ガンダムは架空の物語ですが、登場するMSやメカそれぞれに説得力を持たせたところが世界観の要だと思っています。もし実在したらどこから乗るか、どんなふうに動くか、汚れるならどこだろう、みたいに想像をしながら作っています。

――たしかに、架空にしては考察・考証が多いですね。それでは、最後にご自身にとってガンプラとは?
mu実在しないのに考証があるのも面白いですよね(笑)。「ガンプラ」は、気楽に作ることも徹底的に取組むことも出来て、オリジナリティも出せる、包容力のあるものだと思います。これからも、自分の価値観を人には押し付けずに、肩肘張らず好きなように作っていきたいと思います。
 また、ガンダムの物語自体は、懐かしさと新しさの両方を見せ続けてくれる貴重なエンタメだと思います。今後の新作にも期待しています。

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