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ガンプラに爆竹…究極のウェザリング“爆破表現”モデラーが進化、新境地“水没ジオラマ”とは?
“花火”で物を壊しているのは事実、それを不快に思うのであれば「ごめんなさい」としか言えない
akakishiガンプラを作ったことがなかったり、そもそもガンダムを知らない方からの反響を今までよりもいただけるようになったように感じます。そういった方々にも興味を持ってもらえる作品を作れていることをうれしく思いますし、幅広い層の目に触れる機会をいただいたことに感謝しております。
――前回取材以降、「爆破表現」という手法は、ご自身のなかでどのように進化させていったのでしょうか?
akakishiいい意味で変わっていないと思います。いい焦げやダメージがつくかは爆発してみないとわからないので(笑)。毎回変わらずとてもいい焦げ跡や煤を付けてくれます。ただ、爆竹の量を調整して、一ヵ所にだけダメージを付けたりはしています。爆竹前の制作や塗装は、爆竹加工の魅力をより生かせるような仕上がりになるように変化していってると思います。
――実際に“爆破表現”をやり続けて感じる、この手法の魅力を改めて教えてください。
akakishi魅力はなんといっても、本物の爆発によってつく焦げ、ダメージ、汚れを付けられるところです。「本物のダメージっぽい塗装」よりも「本物のダメージ」のほうが“本物”ですからね(笑)。スケール感を考えた繊細な汚し塗装などでは手も足も出ませんが、単純な焦げやダメージ表現なら、右に出るものはないと思っています。一方で、これをやると短くても1ヵ月は、部屋中火薬のにおいでいっぱいになります。毎回掃除も大変です(笑)。
――まさに「ガンプラは自由」を体現していて素晴らしいと思います。一方で、過激なやり方ではあるがゆえに、賛否さまざまな意見があると思いますが、それについてはどのように受け止めていますか?
akakishiいろいろな意見があると思います。“花火”で物を壊しているのは事実で、それを不快に思う方がいるのであれば、「ごめんなさい」としか言えません。この手法を始めたとき、は批難覚悟で投稿しました。でも逆に、たくさんの肯定的な意見やかっこいいなどの好意的な言葉もいただけており、今でもびっくりしていますしとてもありがたいと思っています。
爆破表現は良くも悪くも目立つ「そこからガンプラの魅力を知ってくれたらうれしい」
akakishiはい。実は最初は宇宙空間のジオラマを作ろうとして、その失敗から生まれたのが水没ジオラマです。レジンに閉じ込めて、浮かせることで無重力空間を再現できると思い挑戦しましたが、硬化時の熱でレジンの温度が高くなりすぎてしまう熱暴走を起こしてしまい、たくさん気泡が入ってしまったのを生かして、何とか仕上げました。今となっては狙ってやるのが難しい逆にすごい作品ですね(笑)
――どのような工程で制作されるのか、教えてください。
akakishiアクリル板でボックスを作って、その中にガンプラを固定して2液性のエポキシレジンを流し込みます。リバーテーブルなんかで使用されることが多いレジンですね。少しづつ流し込んで固めないと熱暴走して気泡が発生してしまうので、気泡なくきれいに作るのは至難の業です。作業工程は文で説明するのは難しいので、ぜひ動画を見ていただけるとうれしいです。全行程映像で見ることができます。
akakishiはい。この作品はアニメのワンシーンを再現したものになります。文での説明は難しいですが、簡単に言うと一度赤く着色したレジンで機体を覆って、それを水を模して着色した青いレジンに沈めて固めたものになります。フリージーヤードに巻き込まれた機雷を再現するのにとても苦労しましたが、満足のいく仕上がりになりました。
――熱暴走があったとおっしゃっていましたが、制作はいろいろな工程があって難しいんですね。
akakishiそうですね。今後の課題はレジンの取り扱いです。これまで何度も使っていますが、まだ完璧に気泡なく硬化させられたことがないので、いつかは気泡一つない透き通った完成形にしたいと思っています。
――爆破表現もそうですが、ご自身のチャレンジ精神は素晴らしいですね。
akakishiありがとうございます。どの作品でも必ず新しいことに挑戦するようにしています。新しいことに挑戦し続けることでそこから新しい発想が生まれたり、失敗したとしてもその次の作品でその失敗を生かすことができる。毎回失敗ばかりですが(笑)。思いついたことをやり続けた結果、「爆竹でダメージ表現をする」という作風に出会ったと思います。
akakishi「こんなふざけた作り方をしている奴がいるんだから、ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ」と思ってもらえたらいいなと思います。爆破表現は良くも悪くも目立つので、僕の作品からガンプラの魅力を知ってもらって、シーンがさらに盛り上がってくれたらうれしいですね。
――ご自身の想いはきっと届いていると思います。それでは最後に、モデラーとしての今後の目標を教えてください。
akakishiまだまだモデラーとしては、未熟なので日々挑戦し続けて成長していけたらと思います。いつか作品を生で見ていただける機会を作りたいです。写真や映像だけでは伝わらない色味や迫力を感じてほしいです。
【※】モデラーは爆竹の取り扱いには細心の注意を払っています。大変危険ですので、一般の方はマネをしないでください