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【プラモデル】戦艦、航空機、戦車など“神作”まとめ

“既視感”アリすぎ、生活音さえ聞こえる『上野アメ横』ジオラマ

 1958年12月に産声をあげた国産プラモデルの歴史は60周年を迎えたが、黎明期から現在に至るまでモデラーに支持され続けているのが『スケールモデル』(※縮尺に基づいて忠実に再現した模型)だ。航空機や艦船、建物や風景などテーマは千差万別で、モデラーたちが思い思いの情景をイメージし、自分だけの模型を制作する。今回は、国内外のコンテストで受賞経験も豊富なジオラマビルダー・奥川泰弘氏にインタビュー。代表作のひとつ『上野アメ横』ジオラマの制作秘話や、スケールモデルへのこだわりを聞いた。

現実では叶えられない情景を“箱庭”で再現したい

――奥川さんがプラモの魅力に目覚めたキッカケは?

【奥川泰弘】子どもの頃から絵を描くことや作ることが大好きでしたので、当然のようにプラモデルを作るようになりました。当時は大人が作るジオラマの写真を見て「いつかこんなものが作れるようになりたい」と思う子ども時代でした。

――最初はどんなプラモを制作しましたか?

【奥川泰弘】子どもの頃、タミヤが販売しはじめた「ミリタリーミニチュア」という戦車模型が始まりです。いわゆるスケールモデルですね。

――では、奥川さんの代名詞ともいえる“街並みの情景描写”を始めたのは?

【奥川泰弘】90年代の終わり頃から戦車模型でのジオラマで街(建物)を作ることを始め、その後はクルマのジオラマでも建物を入れて制作するようになりました。子どもの頃から建物や街並みといった景観が好きでしたが、中学生時代に見たアメリカのTVドラマに映し出される街並みに惹かれたのが決定的な要因となっています。

――憧れの風景を自分の手でカタチにしたいと思ったわけですね。

【奥川泰弘】はい。アメリカのTVドラマの影響も大きいのですが、テレビや雑誌から見る風景を見て、「人々の営みが感じられるこの景色をミニチュアにしてみたい」と考えるようになりました。こんな建物が、お店が、空間があったらいいな、をいつもイメージして作っています。

――緻密な作業は大変かと思います。ミニチュアの街並みを再現する魅力や楽しみは何ですか?

【奥川泰弘】外観や室内を問わず、こんな建物、お店、雰囲気など、作品の世界に自分が入ってみたいと思うような模型を作っています。それは、自分の「好き」をミニチュアにして手に入れられることでもあるんです。現実ならどれだけお金がかかる分からないものを、“自分だけの小さな空間”に詰め込めることが最大の楽しみですね。

人の息遣いが聞こえる情景模型は、“自分の好き”が集まった空間

――奥川さんの代表作となっている『上野アメ横』を制作した理由を教えてください。

【奥川泰弘】企業様から上野駅構内に出店するお店に飾りたいというご依頼があり制作しました。

――高架下の路地裏感、室外機や照明のリアルさに、「本物にしか見えない」とSNSで話題となりました。

【奥川泰弘】この作品はプロのカメラマンさんに撮っていただいたので、質感や臨場感があり、より本物っぽく見えたのではないでしょうか。あくまで架空のお店にしてありますが、ありそうな「屋号」にして本当のアメ横らしくしています。

――てっきり、実在の店舗を再現したかと思っていました!既視感を感じる作品ですが、本作で苦労した点を教えてください。

【奥川泰弘】作るにあたり図面があるわけではなく、実際のアメ横を現地取材し、線路脇の信号といったものまで調べました。その際に撮影した写真からだいたいの寸法を割り出してカタチにしています。また、お店の配置やレイアウトなど、人の息遣いが聞こえるような空間の見せ方にも気を配りました。

――手間暇をかけて情景模型を制作されていますが、モデラーとしてカタルシスを感じる瞬間というのは?

【奥川泰弘】やはり、作品が完成して作品を眺めている時が一番心休まる時間です。ミニチュアでの制作は何もかもが難しく、スケールが小さくなればなるほど再現度は難しくなります。最近は老眼も進み、昼間もパソコン仕事で画面をずっと見ていると、いざ模型を作る時に目のピントが合わなくなるのがひどくなってきました(苦笑)。いつまで作れるのか、最近はそんなことを考えて作っています。

――そうまでして作り続ける情景模型の魅力とは?

【奥川泰弘】自分の好きな場所、空間、建物、色、すべてを好きなように作る、自由に再現する、それができることだと思います。

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