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【ガンプラビフォーアフター】“ハマーン愛”が生んだ究極のキュベレイ「リアルなガンプラは妄想力がキモ」

 今年、40周年を迎える『機動戦士ガンダム』シリーズ。世界的にも人気な強力IPだが、その礎のひとつとなったのは1980年代前半のガンプラブームである。そんな「ガンプラ」進化の一翼を担ってきたモデラーの“匠の技術”について、2018年開催の『GBWC(ガンプラW杯)』ファイナリストのしんきちさんに、ガンプラ製作の真髄を聞いた。
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ガンプラは一枚の絵の中で“起承転結”を表現するのが理想

――「ここは他の人に負けない」と思うガンプラ“匠の技”は何でしょうか。
しんきち正直なところ、“匠の技”といえる技は持ち合わせていません。強いて言うならば、職業がグラフィックデザインなので、製作前の資料集めや妄想の期間を多く時間を費やします。

――事前のイメージ作り、いわゆる“妄想力”が大事なのでしょうか。
しんきち模型作りに関しても、製作する前にとことん自分の頭の中で妄想し、納得いくレベルまでその機体の「ストーリー」を作り上げてから製作します。例えば、作りたい機体がどんな状況下や時代背景であるのか、パイロットや製作スタッフの思い、装備や武器が何のために必要なのか…などです。

――なるほど、しんきちさんが作るガンプラの1枚絵から、ジオラマのようなストーリーを感じる理由が分かりました。
しんきち僕の場合、一番伝えたい箇所を目立たせるため、最低限のディテールアップで抑えて、トータルバランスの取れたリアルチックな機体に仕上げるよう心がけています。よくよく見ると「なるほどね」と感じられる理にかなった”リアル”を感じてもらえたら嬉しいです。そのため、ポスターのような、一枚の絵の中で起承転結がある表現を目指しています。

――しんきちさん製作のキュベレイからも、強いメッセージ性を感じました。
しんきちこのキュベレイにも製作コンセプトがあります。説明すると長くなりますが…(苦笑)。

――ぜひ聞かせてください!
しんきち私が製作前に思い描いたストーリーはこうです。ハマーン様の死後、アクシズの生き残りスタッフがハマーン専用の“究極のキュベレイ”プロジェクトを進めたという設定です。また、シャア総帥率いるネオジオンの技術スタッフ達とも連携し、後のサザビーやνガンダムのサイコフレームミュシステムの研究に繋げた、という設定も盛り込んでいます。余談ですが、その技術スタッフの中に僕も参加している設定なんですよ(笑)。

――ひとり一人が自分の考えたガンダムストーリーをガンプラに込める…まさに“自由なガンプラ”そのものですね。
しんきちキャラ的にもハマーン様を敬愛していますし、このキュベレイは産みの苦しみもあったので、僕の中で大好きな作品です。

『ガンプラW杯』は毎年新たな表現技術が生まれる「今年の技術は通用しない」

――モデラー人生のターニングポイントとなった作品を教えてください。
しんきち『ガンプラW杯2018』ファイナルに残った「フルアーマーガンダム」です。よくアーティストの方で「降りてくる」という表現をされる方がいますが、僕にとってこの作品は「降りてきた作品」でした。

――作品のストーリーがパッと閃いた感じですか?
しんきち一瞬にして製作の設計図が浮かんで、後はその図面通りに製作した作品なんです。それが、あれよあれよと評価され、『ガンプラW杯』ファイナルまで昇っていってくれた。プライベートモデラーだった僕が、全国各地のモデラーさんと繋がりを持てた事は、モデラー人生のターニングポイントです。

――ガンプラが人生を変えたんですね。
しんきち僕は北陸のド田舎に住んでいるため、他のモデラーさんとの交流の機会がほとんどなく、プライベートモデラーでした。ですが、『ガンプラW杯2017(2018ファイナリスト)』ファイナリストのモデラー・あかまりさんが近県の方で、模型ショップで展示されていたあかまりさんの作品を見て衝撃的な敗北感を感じました。そして、「この人と同じ舞台に立ちたい!」と思ったのが僕にとっての『ガンプラW杯』です。

――モデラーにとっての『ガンプラW杯』は、毎年どう変化していますか?
しんきち僕なんかが言うのもおこがましいのですが、「今年の技術は来年通用しない」と思いますし、新たな表現技術が生まれると思っています。また、女性モデラーさんも増えて、男性モデラーでは考えつかない可愛さがあるので、とても表現の幅が広がって素晴らしいことだと思います。

――では、次はどんなことにチャレンジしたいですか?
しんきち欲を言えば、もう一度『ガンプラW杯』ファイナルに残って、もっと高い所へ立てたらいいなと思います。

――最後に、しんきちさんにとって「ガンプラ」とは?
しんきち故・尾崎豊さんの言葉を借りるなら「僕が僕であるために」です。

(C)創通・サンライズ
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