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(更新: ORICON NEWS

「焼酎の種類」を3つのポイントからわかりやすく解説

酒の売り場や居酒屋などでずらりと並んだ焼酎のボトルをみて、焼酎ってずいぶん種類があるなぁと改めて感じている人も多いのではないだろうか。
ここでは3つのポイントから、焼酎の種類とそれぞれの特徴をわかりやすく解説する。焼酎ビギナーはもちろん、既にお気に入りの銘柄がある焼酎好きも、焼酎の種類について詳しく知ることでより焼酎が楽しくなること請け合いだ。

焼酎の種類を知るのに役立つ3つのポイント

焼酎の酒造場(焼酎以外の酒も作っている酒造場も含む)は日本に500以上あるため、焼酎の銘柄も当然それ以上ある。しかし焼酎の場合、銘柄による違い以前に、蒸留法や原材料などで大きく種類分けできるのが特徴だ。
ここでは、焼酎の種類についてスッキリわかる3つのポイントを紹介する。

蒸留法の違いによる焼酎の種類

焼酎の「種類」というと、「甲類」「乙類」という言葉を連想する人もいるだろう。この2つは酒税法上の分類で、蒸留法の違いを表したものだ。
ただし、2006年に焼酎甲類は「連続式蒸留焼酎」、焼酎乙類は「単式蒸留焼酎」に名称が変更されている。(呼称として「甲類」「乙類」を用いることは現在も認められている)

現在、焼酎は酒税法上は「連続式蒸留焼酎」と「単式蒸留焼酎」の2種類に分類されるが、このふたつをブレンドした焼酎もあり、こちらは「混和焼酎」と呼ばれている。
ここからはその3種類の特徴を説明していこう。

【参考】
焼酎に関するもの 東京国税局(外部サイト)
焼酎・泡盛の分類 日本酒造組合中央会公式(外部サイト) 
日本酒造組合中央会(外部サイト)

チューハイや梅酒にも定番の連続式蒸留焼酎(焼酎甲類、新式焼酎)

連続式蒸留焼酎とは、連続式蒸留器で蒸留されたもので、アルコール分36度未満のものと酒税法で定められている。
連続式蒸留焼酎の原料は糖蜜(廃糖蜜)など。連続蒸留するとアルコール度数が高くなるため、加水することで36度未満に調整されている。

連続式蒸留を行うと、蒸留中に原料の風味はほぼなくなり、クリアな味わいに仕上がる。そのため、連続式蒸留焼酎はチューハイのベースなど、炭酸や果汁で割るのに向いているといえる。ただし、すっきりした味わいの焼酎を好む人はストレートやロックで楽しむのもおすすめだ。

また、果実酒などをつくる時に用いる「ホワイトリカー」もこの連続式蒸留焼酎だ。焼酎自体にクセがないので、漬け込む素材の風味をしっかり楽しめる。

原材料価格や製造コストから、連続式蒸留焼酎は単式蒸留焼酎に比べると安価。酒販店でみかける大容量の焼酎はほぼ連続式蒸留焼酎だと思っていいだろう。

「本格焼酎」が多い単式蒸留焼酎(焼酎乙類)

単式蒸留焼酎(焼酎乙類)は、単式蒸留器で蒸留したもので、アルコール分45度以下と酒税法で規定されている。

単式蒸留には原料の風味をしっかり引き出す昔ながらの「常圧蒸留」と軽やかな口当たりに仕上げることができる「減圧蒸留」があるが、どちらの蒸留法でも、原料の風味を感じることができる。
単式蒸留焼酎の中でも特定の原料を使ったものを「本格焼酎」といい、「芋焼酎」「麦焼酎」などがある。

よいとこどりを目指してつくる【混和焼酎】

連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎をブレンドしたものは「混和焼酎」と呼ばれるが、酒税法上は、連続式蒸留焼酎/単式蒸留焼酎の2分類であるため、ブレンドの割合(どちらが50%以上か)で、「連続式・単式蒸留焼酎混和」(焼酎甲類乙類混和)、「単式・連続式蒸留焼酎混和」(焼酎乙類甲類混和)と表示される。

蒸留法の異なる焼酎を混和する目的は、それぞれの個性を併せ持つ仕上がりにするためで、例えば、「原料の風味を感じつつも飲み口はスッキリ」「果汁などで割るのに適しているが奥行きのある味わい」「素材感がありながら価格は控えめ」といった製品をつくることができる。

【参考】
独立行政法人 酒類総合研究所(外部サイト)
お酒のはなし(情報誌)【特集:焼酎 1(概要)】(改訂版)(外部サイト)
お酒のはなし【特集:焼酎 2(原料ごとの特徴)】(改訂版)(外部サイト)

原材料の違いによる焼酎の種類

焼酎には、「芋焼酎」「麦焼酎」のように「原料名由来の種類」があることは多くの人に知られている。原料名が冠されたものは基本、単式蒸留焼酎の中でも「本格焼酎」と呼ばれるものだ。
原材料からみた焼酎の種類と特徴を以下にまとめてみる。

連続式蒸留焼酎(ホワイトリカーなど)

主材料はサトウキビ由来の糖蜜。連続蒸留することでクリアな味わいに仕上げられる。
水にこだわった銘柄(亀甲宮焼酎)や、樽貯蔵熟成酒を加えた銘柄(宝焼酎)もある。

芋焼酎

さつまいもを主原料とする焼酎で、九州の名産品ともなっている。皮が薄黄色の「黄金千貫」という品種のさつまいもが多く使われるが、最近では、ベニアズマや紫芋を使った芋焼酎も増えている。
常圧蒸留され風味が強い昔ながらの芋焼酎は好みが分かれるところだが、現在は飲みやすいもの、焼き芋を使うことで甘い香りを感じさせるものなど、バリエーションが増えている。

麦焼酎

大麦を主原料として全国で生産されている焼酎だが、大分県や長崎県には麦焼酎の蒸留所が多く、有名銘柄も多い。
麦焼酎は素材由来の風味はありながらクセが少ないため、焼酎ビギナーにも飲みやすい本格焼酎といえるだろう。減圧蒸留した軽やかな味わいのものが多いが、樽貯蔵して風味を加えたものなどもある。

米焼酎

米から造る酒というと日本酒と思われがちだが、米を原料とする本格焼酎もあり、熊本県の球磨焼酎は特に有名だ。
減圧蒸留、常圧蒸留など蒸留法も銘柄によって様々で、味わいの幅も広い。中でも、日本酒の大吟醸のような吟醸香を感じるものがあるのは米焼酎ならではの魅力だ。

黒糖焼酎

サトウキビ由来の黒糖を主原料とする焼酎。鹿児島県の奄美諸島(奄美大島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島)のみで米麹を用いることを条件に製造が許可されている。
黒糖に由来する甘い香りが特長で、食前酒、食後酒として楽しむ人も多いが、甘味はないので実は料理にも合わせやすい。

泡盛

焼酎の種類のひとつで、沖縄や奄美地方の特産品。昔は米と粟を原料にしていたといわれるが、現在の主原料はタイ米で、米麹に黒麹菌を用いるのが特徴。独特の豊かな香りと味わいの元になっているのは「全麹仕込み」という製法だ。
3年以上長期貯蔵したものはクース(古酒)と呼ばれ、より芳醇な味わいとなり人気が高い。特産品の甕で超長期熟成された高級品もある。

そば焼酎

原料になるのはそばの実(これを製粉して麺としてのそばがつくられる)。そのため、そばの産地で多くつくられており、宮崎県高千穂産のそば焼酎など知名度が高いものもある。
そばの風味が楽しめる酒ということでそば好きに人気があり、そば専門店でお湯割り、そば湯割りで提供されることも。

くり焼酎

栗を原料とし、多くは四国でつくられている。比較的新しい焼酎だが、栗由来の甘い香りが楽しめることや生産量が少ないことから人気が高い。使用している栗の産地や品種が明記されているものもある。

しそ焼酎

しその香りが爽やかで、焼酎が苦手な人にも飲みやすいといわれる。銘柄によって本格焼酎、甲類乙類混和焼酎など種類が異なるため、選ぶ時にはチェックしたい。

その他の原料を使った焼酎

上記のほかにも焼酎製造にはさまざまな原料が使われる。一見同じ無色透明の焼酎だが、原料はバラエティに富んでいるのだ。
本格焼酎の原料として使用できる「国税庁長官の指定する物品」は以下のとおり。珍しい原料を使った焼酎を探してみるのもよいだろう。

あしたば、あずき、あまちゃづる、アロエ、ウーロン茶、梅の種、えのきたけ、おたねにんじん、かぼちゃ、牛乳、ぎんなん、くず粉、くまざさ、くり、グリーンピース、こならの実、ごま、こんぶ、サフラン、サボテン、しいたけ、しそ、大根、脱脂粉乳、たまねぎ、つのまた、つるつる、とちのきの実、トマト、なつめやしの実、にんじん、ねぎ、のり、ピーマン、ひしの実、ひまわりの種、ふきのとう、べにばな、ホエイパウダー、ほていあおい、またたび、抹茶、まてばしいの実、ゆりね、よもぎ、落花生、緑茶、れんこん、わかめ

【参考】
国税庁 焼酎に関するもの(外部サイト)
独立行政法人 酒類総合研究所 お酒のはなし(情報誌)【特集:焼酎 1(概要)】(改訂版)(外部サイト)
独立行政法人 酒類総合研究所 お酒のはなし【特集:焼酎 2(原料ごとの特徴)】(改訂版)(外部サイト)
〇ちょっと雑学〇 焼酎の色

焼酎は基本が無色透明。貯蔵熟成したものでもウィスキーやブランデーなどと違ってほとんど色がついていないのはなぜ?と思ったことはないだろうか。

実は焼酎には通称「色規制」というものがある。これは、酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達の中にある、「吸光光度分析通則に従い、430ナノメートル及び480ナノメートルの吸光度をそれぞれ測定し、その着色度がいずれも0.080以下となるもの」という文章に基づくもので、要するに、樽熟成によって色がついたとしても、ほとんど無色かごくほのかに色づいている程度に調整する必要があるのだ。

もうひとつ、実際は無色透明なのに、銘柄名に「黒」や「赤」といった色の名称がついているものがある。その理由は次の通り。

「黒」[白」「黄」は麹菌の種類を表していることが多い。焼酎の麹づくりには、白麹菌、黄麹菌、黒麹菌などが使われるが、そのうちの黒麹菌を使った製品には「黒」という名称が使われているといった具合だ。

「赤」は紅系のサツマイモや紫芋を原料とする焼酎の名前に冠されることが多い。焼酎としては無色透明でも赤色系の原料を使っているという意味だ。

地理的表示(GI)による焼酎の種類

単式蒸留焼酎は、土地の産物を原料にしてつくられることが多く、また、仕上がりには蒸留所がある場所の気候風土も大きく影響する。地域の特産品となっている焼酎が多いのもそれが理由だ。

そのため、焼酎の種類を「○○産焼酎」のように生産地域で分類することもできるが、ここでは、国税庁によって、「正しい産地」であることと「一定の基準」を満たして生産されたことを示す「地理的表示(GI)」が認められているものを挙げる。

現在、蒸留酒(焼酎)としてGIが認められているのは、以下の5種類となっている。

壱岐(麦焼酎)

産地の範囲:長崎県壱岐市

原料
・穀類は大麦のみ
・こうじは米から製造された米こうじのみ
・もろみに用いるこうじと穀類の重量比が概ね1:2
・長崎県壱岐市内で採水した水のみを使用

製法
・長崎県壱岐市内で原料の発酵、蒸留、貯蔵及び容器詰めを行う
・米こうじ及び水を原料として発酵させた一次もろみに、蒸した穀類及び水を加えて更に発酵させた二次もろみを、単式蒸留機で蒸留する

球磨(米焼酎)

産地の範囲:熊本県球磨郡および人吉市

原料
・原料米は国内産米のみ
・こうじは国内産米から製造された米こうじのみ
・球磨郡または人吉市内で採水した水のみを使用

製法
・球磨郡または人吉市内で発酵、蒸留、貯蔵、容器詰めを行う
・米、米こうじ及び水または米こうじ及び水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機で蒸留する。ただし、米こうじ及び水を原料としたもろみについては、その一次もろみに米こうじ及び水を加えて更に発酵させたものに限る

薩摩(芋焼酎)

産地の範囲:鹿児島県(奄美市及び大島郡を除く)

原料
・さつまいもは鹿児島県※で収穫したもののみ
・こうじは米こうじまたは鹿児島県※で収穫したさつまいもから製造されたさつまいもこう  じのみ
・鹿児島県※内で採水した水のみを使用

製法
・鹿児島県※内で発酵、蒸留、貯蔵、容器詰めを行う
・こうじ、さつまいも及び水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機で蒸留する

※奄美市および大島郡を除く

琉球(泡盛)

産地の範囲:沖縄県
原料
・こうじはAspergillus luchuensisに属する黒こうじ菌の生育した米こうじのみ
・沖縄県内で採水した水のみを使用

製法
・沖縄県内で発酵、蒸留、貯蔵、容器詰めを行う
・米こうじおよび水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機で蒸留する

東京島酒 (麦こうじを使用した芋焼酎、麦こうじを使用した麦焼酎、麦こうじを使用した芋・麦のブレンド焼酎)

産地の範囲:東京都大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村

原料
・芋類は国内で収穫されたさつまいものみ
・こうじに麦のみを用いる
・伊豆諸島の島内で採水した水のみを使用

製法
・伊豆諸島の島内で発酵、蒸留、貯蔵を行う
・原酒および製品の貯蔵は常温で行う
・麦または芋類、こうじおよび水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機で蒸留する。またはそれらを混和する
・消費者に引き渡すことを予定した容器に伊豆諸島の島内で詰める
【参考】
国税庁 JAPAN GI(外部サイト)
国税庁 酒類の地理的表示一覧(外部サイト)

まとめ

焼酎の種類を知るということは、銘柄をたくさん知ることではなく、焼酎という酒を深く理解することに直結する。日本には多くの焼酎があるため、選ぶのに迷うとつい知名度を重視しがちだが、蒸留法、原材料、生産地域という3つのポイントを知っておけば、自分の好みに合った焼酎をみつけたい時や、今までと違うタイプの焼酎を飲んでみたくなったときに大いに役立つだろう。 
著者プロフィール

まつもとようこ
「食」を専門とするライター。農・漁業、食品製造の現場、飲食関連の専門家・店舗などの取材記事執筆のほか、料理研究家としての活動も行う。食品のお取り寄せと直売所めぐり、国内外の蒸留・醸造所訪問は、趣味を通り越してライフワーク。
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