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自撮り、SNS全盛の時代に抗う…通巻300号老舗アイドル誌『アップトゥボーイ』が考える“グラビア”の意味と価値
『あの子に出会った雑誌』としての役割を果たしていきたい
『アップトゥボーイ』では創刊時より誌上オーディション企画「ミス・アップ」を開催。鈴木早智子と相田翔子(のちにWinkを結成)や、和久井映見、中江有里、櫻井淳子といった人気アイドルがここから輩出された。
「数多くのアイドル誌が競い合っていたなかで、表紙を飾るような人気アイドルのほかにも、読者に『ここで初めて出会う女の子』を紹介したいという狙いがありました。現在ミス・アップは開催されていませんが、スタッフも私も、常にスターの原石を意識的に探しています」
中でも近年、特に印象的だったと振り返るのが、ネクストブレイク女優として注目度が上昇中の白石聖だ。
「彼女がまだスカウトされたばかりの2016年、たまたま事務所のホームページを見ていて目に止まったんです。ほとんどメディアに出ていない頃でしたが、『まだ何者でもないこの子を何者かにする1枚を撮りたい』という衝動に駆られて、すぐさま事務所に連絡を取りました」
当時、高校3年生だった白石にとっても初めてのグラビア撮影だった。制服をまとい、雨の中傘もささずにカメラの前に戸惑い気味に立つ彼女だったが、1枚目に収められた透明感のある佇まいに一坊寺氏は「この子は大丈夫だ」と確信したという。
その後も『アップトゥボーイ』では白石を追い続けた。それと足並みをそろえるように、白石もドラマ、CMに起用され飛躍を遂げていく。昨年には4年間の軌跡をまとめた1st写真集『白石聖 2016−2020』(ワニブックス)を刊行。300号にも、白石のグラビアが掲載される。
「今はネットで検索をかければ、ピンポイントでスピーディーに好きなアイドルの写真に辿り着けます。でも逆に、パラパラめくっているうちに目に止める“偶然の出会い”を提供できる雑誌の力はより高まっているのではないか、と自負しています。今後も読者の人生の1ページになれるよう、『あの子に出会った雑誌』としての役割を果たしていきたいですね」