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ポスト・えなこの不在 “コスプレ”が真の意味で市民権を得るには?
コスプレ界の盛況 芸能界だけでなく、政治の世界ともクロスオーバー
芸能界においても、叶姉妹がコスプレ写真集を発売したり、TBSの宇垣美里アナまでが、夏のコミケを『サンデー・ジャポン』(TBS系)で取材した際、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の鹿目まどかのコスプレに挑戦、「可愛すぎる!」と大絶賛された。CMでもコスプレを扱ったものが増え、IndeedのCMで泉里香が『ONE PIECE』のナミに扮し話題をさらい、男性用ボディソープ『デ・オウ』のCMでも、伊藤英明が『北斗の拳』のケンシロウに成り切ったり、スマホ向けゲーム『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』のCMでは、フィギュアスケート選手のザギトワとメドベージェワが、登場キャラのコスプレをしながらスケーティングするし、今や“CM×有名人×コスプレ”のコラボは定番化しているのである。
また、最近では山本美月や足立梨花など、コスプレ趣味を公言する芸能人も多く、ドラマ『高嶺の花』(日本テレビ系)でもコスプレ趣味の女の子(橋ひかる)が登場したり、伊藤淳史、生駒里奈ら出演のドラマ『オー・マイ・ジャンプ!〜少年ジャンプが地球を救う〜』(テレビ東京系)でも、登場人物がコスプレ好きという設定だったりする。さらに言えば、小池百合子都知事でさえも「池袋ハロウィンコスプレフェス」にて、『魔法使いサリー』のサリーちゃん、『リボンの騎士』のサファイア、『銀河鉄道999』のメーテルなど、毎年違うコスプレを披露することが“定番化”しているのだ。こうしてみると、一般層はもちろんのこと芸能やマスコミ、政治の世界においても、コスプレはひとつの“題材”となっているようだ。
チャリティー撮影会も “プロコスプレイヤー”えなこのセルフプロデュース力
えなこの最大の強みは、可愛くてスタイルがよいのはもちろんだが、自ら“プロコスプレイヤー”と名乗るように、プロ意識が非常に高いところ。コスプレ衣装にも人一倍こだわりコストをかけ、完成度も高い。さらには単にコスプレを披露するだけではなく、チャリティー撮影会を主催するなどセルフプロデュース力にも長けており、男性のみならず同性の女性や、海外でもアジアを中心に人気が高いのである。そんな、えなこをテレビ業界が放っておくはずもなく、『ナカイの窓』(日本テレビ系)や『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)、『有吉ジャポン』(TBS系)など数多くのテレビ番組にも出演している。
『ナカイの窓』に出演した際には、「私くらいのレベルの方は他にいない」と発言するなあど、実際えなこクラスのコスプレイヤーは他にはいないこともまた事実。狩野英孝MCの番組『エイコーさん』(フジテレビ系)では、最高月収が1500万円だったことを明かすなど、やはり“プロ”のコスプレイヤーとしては、ぶっちぎりの存在であることは間違いないだろう。
では、“ポスト・えなこ”となるといったい誰になるのだろうか。コスプレ界で言えば、伊織もえ、宮本彩希、五木あきら、火将ロシエル、くろねこ、といった名が挙げられるかもしれない。ただ、彼女たちはコスプレ界では有名だが、あくまで“業界内”のことであり、一般的な知名度となるとまだまだ低いと言わざるを得ない。かつて、御伽ねこむというコスプレイヤーも人気を博したが、漫画家との結婚を期に表舞台からは姿を消している。となれば、えなこは現時点では、やはり史上最高のコスプレイヤーとなるのだ。
コスプレ界独特の敷居の高さ マイノリティーであることの優越感と、メジャー化とのせめぎ合い
こうしたいわば“特殊”な環境やある種の文化的な特徴が、ポスト・えなこを生み出しにくい状況にしていると言えるかもしれないし、言い換えれば、えなこレベルのルックスを持ったガチオタでセルフプロデュース力も高く、コスプレ愛を感じさせるコスプレイヤーが、現状では実際に存在していないということなのかもしれない。
しかし、必ずしもコスプレファン全員がコスプレ文化のメジャー化を望んでいるとも言い切れず、マイノリティーであることへの優越感を感じていたり、そもそも市民権を得る必要は無いと考える一部ファンがいることも確か。一方で、“文化”として成熟させていくには、ある程度開かれた健全な文化を目指す必要もある。コスプレ文化が、真の意味で市民権を得るためには、その“バランス”が需要な要素になるだろう。