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天才・江口寿史が提示した「美人画」の新たな“基準” 革新は「誰の画風にもない“鼻の穴”のある女の子」
「自分が女性だったらこうありたい」という憧れを絵に投影
江口それはおそらく、僕がイラストレーターとしてはどこまでも大衆的だからだと思うんですよ。だけど大衆的であるためには、常にその時代のポップを追求する必要があって、ようはミーハーなんですけどね(笑)。だから「時代を超える画風」とか言ってもらえるのはうれしいけど、けっこう時代ごとに微調整をしてきてますし、最旬を描きたいという思いは常にあります。
──2015年に「ビタミン炭酸MATCH」ポスターで手掛けた広瀬アリス、広瀬すず姉妹のイラストも大きな話題になりました。
江口あれももう5年前か〜。広瀬さんたちもすっかり大人になられて。お二人とも美人ですけど、特にすずさんは黄金比というか、本当に整った顔立ちですよね。個人的にはもうちょっと不揃いな揺らぎが入った顔立ちの方が好みではあるんですけど(笑)。
──手が届くような、リアリティのある距離感の女の子?
江口愛嬌がある感じですかね。数年前に街を歩いている女の子に声をかけてイラストにするというシリーズをやってたんだけど(画集『素顔〜美少女のいる風景』)、吉田拓郎さんから「いるよねー、こんな子!俺、ここに描かれてる女の子たちみんな知ってる気がする」と言われて、それがすごくうれしかったんですよ。
江口最旬だと韓国のキム・ダミさんですね。『梨泰院クラス』の前、デビュー作の映画『魔女』からチェックしてましたよ(笑)。ちょっと前はペ・ドゥナさんも好きで。韓国の女優さんには定期的にいいなと思う人が出てきます。日本の女優さんだと黒木華さんが好きですね。
──時代ごとに変わるとはいえ、先生の描きたい「美少女の指標」みたいなものはあるんですか?
江口根本的に媚びない感じが好きです。昔から、わかりやすく男ウケするポーズは描きたくないというのがあって。たぶん「自分が女性だったらこうありたい」という憧れを絵に投影してるんだと思います。女性に生まれてこなかった悔しさで描いてるんで、僕は(笑)。