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天才・江口寿史が提示した「美人画」の新たな“基準” 革新は「誰の画風にもない“鼻の穴”のある女の子」

『ひばりくん』ではできなかった?漫画界に革新をもたらした代名詞「美人画」の確立

──それでもなお、江口先生の画風は誰にも似ていません。特に「美人画」にもたらした革新は大きかったと思います。
江口昔の僕の絵って、ずっと誰かに似てたんですよ。たとえばちばてつやさん(『あしたのジョー』などで知られる漫画家)。要は昔の少年漫画の流れの絵ですね。もともと僕は絵を極めるよりもギャグを作ることに興味があったからそれはそれでよかったんだけど、大友克洋さん(『AKIRA』などで知られる漫画家)が登場して、それまでの漫画の描き方に説得力がなくなっちゃったんです。具体的に言うと、大友さんは鼻の穴や鼻梁、ほうれい線までちゃんと描写していた。その衝撃というかね。なんとかこれに対抗しなければ自分は絵を描いている意味はないんじゃないかと危機感を抱いたんですよ。

──たしかに鼻の穴を描写しつつ、かわいい女の子を描くのは難しそうです。
江口漫画にしろイラストにしろ、目に見えるものを全部描けばいいってわけじゃないですからね。だから『ひばりくん』くらいからかな、80年代前半はずっと苦闘してました。どこまで描いてどこまで消すかの試行錯誤を繰り返しで。でも結局、『ひばりくん』では鼻の穴まで描けなかった。意識的に描くようになったのは『「エイジ」』からで、だけどまだあんまりかわいくならない。ようやく『パパリンコ物語』で鼻の穴のある可愛い女の子を描けるようになりました。そこでやっと、誰にも似てない絵になったんです。
──そのときすでに『週刊少年ジャンプ』でもトップ人気の漫画家でありながら、研究してもがいて到達した画風だったんですね。
江口プロの世界に入ると「こりゃ敵わないな」という天才を間近に見るようになるんです。だけどある点においては、その人を超えられるかもしれない。そのためには努力するしかないんですよね。現代はpixivやSNSで"絵師"として気軽に自己表現ができるようになったせいか、いい絵を描くのに「別にプロにならなくても」と言う人も増えてるみたいだけど、天才の仕事を間近にできるという意味でもプロに挑戦するのって悪くないと思うんですよ。

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