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「理解できないものは怖い」ホラー漫画家が語る悪役の描き方
ホラー漫画家が描くファンタジーの悪役とは?「妙な違和感が大切」
――本作が誕生したきっかけを教えてください。
【財賀さん】同人誌です。2011年10月30日のCOMITIA98での新刊でした。
――「三つ子」3人を描き分ける上で工夫していることはありますか?
【財賀さん】ぱっと見で違う方がわかりやすいかなーと思ったので、工夫したのは髪型と目です。タレ目、ツリ目、若干丸い目でかき分けています。
――作中では登場人物の衣装にも反響が多いです。パパの服には漢字で「父」と描かれている一方で、三つ子たちはロリィタのような衣装が特徴的ですが…
【財賀さん】重ね着や柄物が好きなので、それらを多用しているのと、親子や小さい子供のお揃いって可愛いので好きなんです。子供たちとママがそんな感じなので、パパはシンプルな方向にしています。…嘘です。男性ファッションのTシャツが好きなだけです。
――第一話では、無垢な娘たちの前に卵を盗む悪役が登場します。娘たちの無垢さと悪役の怖さ、それぞれを際立たせる秘訣はありますか?
【財賀さん】子供はできるだけ自分の気持ちに正直に、素直に描きたいです。悪役は…話が通じない、理解できない感じにすると怖くなると思います。
――悪役について、読者からは「怖さや不気味さが描かれている」と好評です。先生が悪役を描く上で大切にしていることは?
【財賀さん】悪役を作るって難しいですよね。ただ頭のおかしい人にしてしまえば簡単なのでしょうけど…。理解できないものって人は怖がるので、そういう雰囲気、妙な違和感みたいなものをうまく出せたらなあと試行錯誤します。もう無茶苦茶にしたいのであれば「俺、ブラックホールから出て来た人。逆に。」でいいんじゃないかなと思います。
「ホラー専門誌では容赦なく描いた」「人を殺すほうが難しい」癒し漫画へ転向のワケ
――先生のご活躍は、ホラー漫画を通してご存知の読者も多いですが、今作でほのぼのとした内容に特化された理由は?
【財賀さん】前作の「Cold apartment」では、ホラー専門誌ということもあり、容赦なく描かせてもらっていました。まだまだ描きたいエピソードもあったのですが、とりあえず描き切ったというか……やり切った感がありました。今は「自分が可愛いものに癒されたい」という気持ちが大きいのかもしれないです。
――ホラー漫画と今作で感じた違いや苦労はありますか? また、読者からの反応にも違いがありますか?
【財賀さん】両方とも好きなジャンルなので、苦労はあまりないです。でも、人を殺す方が難しいですね…。「ホラーしか描きたくないんじゃないか、この人?」と思われていたこともありますが、そんなことはないので、いろいろ描かせてください。読者の皆さまには、たまにビックリされることもありましたが、両方受け入れてくださっている方が多いです。これは本当にありがたいことです!
――本作は、ドタバタが起こりつつ、最後はママの優しさで話がまとまります。三つ子の母を描く上で大切にしていることは?
【財賀さん】子供の頃、母親もしくは父親とこうやって接してみたかったな、こう接してほしかった、自分が母親だったらどうするかな、など、いろんな視点で描いてみています。実際の子育てはもっと大変なんだろうなーというのも心に留めつつ。
――先生のお気に入りのエピソードを教えてください。
【財賀さん】全部気に入っています! ですが、赤ちゃんの頃のお話は、コロコロしていて描くのが楽しかったです。