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切なすぎる“カップルイラスト”がSNSで共感呼ぶ、官能イラストレーターが“愛”描く理由

 「お前って、何考えてるんだか分からなくてイライラする。」6年前に別れた恋人に最後に言われた言葉は長年、呪いのように私を縛り続けた。――詩的な文章とともにinstagramにアップされるイラストが注目を集めている。フォロワー11万人超(2019年2月26日時点)のイラストレーター・平泉春奈さんによる“愛”をテーマしたカップルイラストだ。平泉さんの作品は、女性誌『an・an』(マガジンハウス)の特集にも起用され、多くの反響を得ている。イラストで「“愛”を描いている」という平泉さんに、カップルイラストを描くきっかけ、やりがいを聞いた。

「カップルというより『愛を描いている』方が近い感覚」

 平泉さんのinstagramに投稿されるイラストには、カップルたちの日常を切り取ったリアルな姿が描かれている。イラストに添えられている文章もドラマティックで、イラストを補足するようにカップルたちの心情や空間の描写が細かく語られている。SNSでは「イラストと文章を読んでいたら切なくて愛しくなりました」「これはある意味願望…」など多くの反響があがっている。平泉さんがカップルイラストを描き始めたきっかけとは何だったのか?

――なぜ“カップル”をテーマにしたのですか?

平泉さんInstagramを始めた当初はガールズイラストを投稿していましたが、クリスマスシーズンに官能的なカップルイラストを描いたところ、女性からものすごく反響をいただいたんです。カップルイラストは、私自身がドキドキ楽しく描けるということもあり、だんだんと本気で向き合っていくようになりました。

――“同棲最後の日”や、“二番目にしかなれなかった女性の逢瀬”、“教師と生徒の教室での情事”など、さまざまなシチュエーションでカップルの様子が描かれています。

平泉さん私としては「カップルを描いている」というより、「愛を描いている」という方が近い感覚ですね。“愛”に向き合うのは、正解がない答えを常に追い求めていくようなものです。映画監督や小説家、漫画家などのような、描きながら自分自身が学び成長できるというおもしろさがあります。

――描くときに一番大切にされていることは?

平泉さん登場人物二人の空気感です。私にとっては現実世界を生きる生身の二人をこっそり盗撮しているような感覚。そのシーンの温度や季節や匂いや音まで、すべてその中では息づいてる。そう感じていただけるように描きたいと思っています。

――カップルの設定はどのようにしているのですか?

平泉さん毎回フィーリングで描き始めます。私のパソコンの中には膨大な量のカップル画像が保存されているので、それらをひたすら眺めています。すると、ポージングやインテリア、風景画像からストーリーが降ってくる。容姿や髪型や服装、インテリアの装飾などは、描きながらその時の気分とノリで描いています(笑)。

――イラストに添えられる文章への共感の声もSNSで多く目にします。実体験なんですか?

平泉さん完全に妄想です! たくさんの漫画やドラマ、映画、小説を見てきたので、心理描写、恋愛シチュエーションなどの引き出しは多いと思います。SNSでのファンの方々との交流を通じて、驚くほどに生々しい実体験もお聞きすることがあるので、そういった交流もすべて創作に繋がっています。

――文章を付けるうえで、一番大切にされていることは?

平泉さん愛の形に正解はないので、登場人物の感情部分をなるべく決めつけず、読む人によって受け取り方が変わるような文章を書きたいなと思っています。また、あえて反語を並べることも多いのですが、それは喜びと悲しみ、安心と不安、愛と憎しみといった感情は常に紙一重だと伝えたいからですね。

SNSではユーザーと積極的に交流「イラストを通じて愛を伝染させたい」

 平泉さんの投稿イラストでこれまで最も反響が高かったのは『貴方が教えてくれたこと』というイラストだという。ソファに寄り添い、楽し気に会話をしているように見えるカップルのイラストだ。そのイラストには、こんな文章が付けられている。

「子供の頃から感情を表に出すのが苦手で、気づけば相手によって役を演じるようになっていた。両親は『言うこと聞く私』が好きで、本当は嫌だなって思う事も、嫌な顔をせずに言うことをきちんと聞いた。友達は『自分を肯定してくれる私』が好きで、いつも相手に合わせてうんうんと頷き、必要とあれば褒めるようにした。初めてできた彼氏は『一歩引いて女性らしく振舞う私』が好きで、穏やかな笑顔、優しい返事、常に相手を立てて、…完璧な彼女でいた。…つもりだった。」

 この作品で描かれているのは、育ってきた環境や性格から、自分の気持ちをうまく人に伝えることができないでいた女性。反響も大きく、Instagramのコメントには、「読んでいて泣いちゃいました」「私もそんな自分に悩んでいた」など共感のコメントが殺到したという。

――『貴方が教えてくれたこと』の制作背景を教えてください。

平泉さん私とは正反対の女の子の恋愛が描きたくなったのが始まりでした。どうすればもっと自分に正直に生きられるんだろうとか、どうすれば人と上手く関われるんだろうとか、脳をフル回転して妄想しました。世の中の大多数の人はこの子と同じような部分があるんじゃないかなと、SNSで沢山の方の悩みを聞いてきて感じるようになり、結果論ですが、そういう子の気持ちに寄り添うことが使命な気がしてこの作品が生まれたんだと思ってます。

――たくさんの反響を受けて、どのように感じましたか?

平泉さん目を背けずに向き合ってきたことで、反響に繋がった。描き続けてきてよかったと思えました。男性にも響いたというお話も聞けて、本当にうれしかったです。昨年末、フォロワー20万人がいたInstagramのアカウントが乗っ取りに遭ってしまい、コメントは残念ながら残っていないのですが…私はもちろん、みなさんの心の中には残っていると思います。

――SNSでフォロワーやユーザーとの交流もされていますよね。みなさん活発に恋愛や性について語っている印象です。

平泉さんこちらも消えてしまったのですが、『愛って』という作品で「みなさんにとって愛ってなんですか?」と投げかけたら200を超えるコメントをいただいたんです。シェアされることで誰かが救われることがあるかもしれないし、自分だけじゃないと思えるのもSNSのいいところですよね。私のアカウントの中で、愛が伝染していったらいいなあと。

――今後、どのように活躍していきたいですか?

平泉さん今後も美しい絵と文を通して愛や胸キュンを届けたいです! 絵を仕事にする中で、意味のあると思えることを続けていきたい。それはいつも、どこかの誰かの心の代弁者であることだと思っています。“愛”に対して熱くありながらも客観的な立ち位置であり続けたいです。
(文:高橋七重)
PROFILE
平泉春奈/イラストレーター・アーティスト ”愛”と”女性”をテーマにしたイラストを自身のSNSで多数発表。雑誌『anan』(マガジンハウス)の「愛とSEX」特集号で挿絵を担当。『ランジェリー×イラスト』をテーマにしたコラムをウェブサイト「SPLASH」(外部サイト)にて連載中。
BLOG:https://pressblog.me/users/hiraizumiharuna0204(外部サイト)
Instagram:hiraizumiharuna0204(外部サイト)
Twitter:@hiraizumiharuna(外部サイト)

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