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バルクアップのために必要なこと(食事・筋トレ・サプリ)【プロが教える筋トレ】
著者・監修者プロフィール
林本直
元アスレティックトレーナー|サプリメントインストラクター保有
了徳寺大学健康科学部卒 元日本体育協会公認アスレティックトレーナー&NSCA-CSCS。大学日本代表選手(ゴルフ、ビーチバレー)のトレーニングコーチや、ラグビーチームのトレーナーを経験。現在はサプリメントインストラクターを取得し、ライターをしながらオンラインでボディメイクを指導している。
・ブログ
https://www.bodymake-writer-nao.site/(外部サイト)
・Twitter
https://twitter.com/bodymake_writer(外部サイト)
林本直
元アスレティックトレーナー|サプリメントインストラクター保有
了徳寺大学健康科学部卒 元日本体育協会公認アスレティックトレーナー&NSCA-CSCS。大学日本代表選手(ゴルフ、ビーチバレー)のトレーニングコーチや、ラグビーチームのトレーナーを経験。現在はサプリメントインストラクターを取得し、ライターをしながらオンラインでボディメイクを指導している。
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痩せているからだをどうにかして大きくしたい、たくましいくてかっこいいからだにしたいなら、バルクアップするために何をしたらよいか要点をつかむのが最短の方法だ。
この記事では、筋トレ以外のバルクアップのために必要なことを詳しく説明している。食事やサプリなどの栄養摂取がからだを大きくするためには重要なので、からだを大きくするための食事の考え方、サプリの考え方の参考にしてほしい。今日からたくましいからだづくりのスタートだ。
バルクアップとは
バルクアップのために重要な要素は、筋肉そのものを肥大させることと、筋グリコーゲンを増やして筋肉を大きく増やすこと、この2つだ。
■筋肥大
一番重要なのは、筋肉そのものを肥大させること。筋力トレーニングと適切な栄養補給で筋肉を肥大させよう。
■筋グリコーゲン
筋グリコーゲンとは、筋肉内に貯蔵されているグリコーゲン=糖質のこと。糖質を適切なタイミングで摂取することで、筋肉内にグリコーゲンが貯蔵されて、体積が大きくなる。
糖質を摂取して筋グリコーゲンを増やすことで、筋断面積が大きくなったと実験で報告されている。*1
バルクアップするために必要なこと(筋トレ・栄養)
栄養補給の目的は、血中アミノ酸濃度を高く保って筋肉の合成を促進しつつ分解を抑制することと、糖質を摂って筋グリコーゲンを増やす、この2つに分かれる。
■筋力トレーニングについて
筋力トレーニングによって受けたストレスに身体が適応しようとすることで、筋肉は肥大する。
トレーニングの刺激により、mTORという細胞の成長を促進するシグナル伝達経路が活性化。mTORが活性化することでタンパク合成が活性化し、さらに筋肉の分解も抑制される。
なお、筋肉を発達させるトレーニングのセット数は、さまざまな説がある。1セットでも3セットでも効果に変わりないという研究が多々ある一方で、多セットや総負荷量を上げた方が効果的という分析もあり、はっきりとした結論は出ていない。*2 *3
一方でトレーニング頻度は、過去の140件の研究を分析した結果、トレーニング未経験者は週3回、トレーニング経験者は週2回で最大の効果を得られると結論付けている。*4
3セット以上をこなして合計の挙上重量を高める=総負荷量を高める方法の場合、1回のトレーニングで得られる筋肥大効果は大きいかもしれない。しかし回復に時間がかかり、トレーニング頻度が落ちてしまう。
そのため、限界まで1セットを週2回行うことを推奨する。6〜12回ほどで限界がくる重量に設定し、セーフティーバーなどの安全対策をしっかり行った上で、限界まで1セット行おう。トレーニング経験が増えて、1セットだけだと物足りない場合は、限界まで2セット行うといい。(1種目あたりセット数)
■適切な栄養補給
1.血中アミノ酸濃度を維持する
栄養面ではまず、血中アミノ酸濃度が高い状態を維持することが重要だ。血中アミノ酸濃度が高ければ、筋肉の分解を抑制して、合成を促進できる。
トレーニング後やオフの日も、高タンパク質の食事やプロテインの摂取を続けよう。トレーニング中は、EAAやBCAAのように、吸収の早いアミノ酸の摂取がおすすめだ。
2.筋グリコーゲンを増やす(グリコーゲン・ローディング)
トレーニング中に糖質を摂って、筋グリコーゲンを貯めよう。筋肉内に貯蔵されているグリコーゲンは、トレーニング時のエネルギー源になるため、補給しなければ失われてしまう。
糖質の摂取は、種類やタイミングを間違えば体脂肪を増やしてしまうが、グリコーゲンを大量に消費するトレーニング中であれば、体脂肪になる可能性は低い。
マルトデキストリンのように消化吸収が早い糖質をトレーニング中に飲むことで、筋肉内のグリコーゲンが増えて、筋肉がバルクアップされる。
また、日常的に糖質が多めの高カロリー食を摂ることで、筋肉はより大きくなりやすい。ただ、この方法だと脂肪も増えるため、あとで脂肪を落とす作業が必要になる。
バルクアップのための食事
消費カロリー < 摂取カロリー
となるようにしよう。
脂質は普段どおりに摂っても構わない。肉や炭水化物の量を増やす。
ただ先ほど解説したように、この方法では脂肪も同時についてしまうため、あとから脂肪を落とさなければならない。もし脂肪を増やさずにバルクアップしたいなら糖質を減らすが、バルクアップのスピードも落ちる。
自分の目的と身体の状態を見て判断してほしい。
また、成人の方はアルコール(飲酒)は控えたほうが良い。
アルコールは、筋肉の合成にも重要なテストステロンを生成する細胞にダメージを与える、そしてトレーニングの筋合成も下げるため、バルクアップ中はできる限り控えよう。
高タンパク質な肉を多く食べよう。トレーニング中はタンパク質を、体重1kgあたり2~3g摂りたい。体重70kgの人なら140g以上だ。プロテインで摂取する分も合わせて計算してみてほしい。
おすすめの食品は以下に紹介する。タンパク質と脂質の量は可食部100gあたりの量で、文部科学省が運営する「食品成分データベース」より引用している。*5
※可食部・・・食品のうち食べられる部分
炭水化物は体重×7gが目安。
体重70kgなら490gだ。代表的な糖質の可食部100gあたりの炭水化物量を、以下に紹介する。*5
バルクアップを助けるサプリ
筋トレをする人にとって、必須のサプリメントと言えるのが、プロテインだ。プロテインはアミノ酸に分解されて、血中アミノ酸濃度を高めてくれる。
プロテインにはホエイ・カゼイン・ソイなどの種類があるが、筋肉合成に重要なBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)が豊富に含まれているホエイがおすすめだ。
実験でもホエイプロテインがもっとも筋タンパクの合成と、筋力向上作用があったと報告されている。*6
ホエイプロテインはソイやカゼインよりも消化吸収が早く、飲んでから1時間で血中アミノ酸濃度が最高レベルになる。そのため、特に血中アミノ酸濃度を高めたい、トレーニング前とトレーニング後の摂取に向いている。
【飲むタイミング】
筋タンパクの合成はトレーニング開始直後から高まるため、トレーニング開始時には血中アミノ酸濃度を高めておきたい。そのためトレーニング開始60分前にはホエイプロテインを飲もう。
そして筋タンパク合成のゴールデンタイムである、トレーニング終了直後にも飲みたい。また、血中アミノ酸濃度が下がっている起床直後に飲むのもおすすめだ。
【飲み方・摂取量】
飲む量は、タンパク質量で計算しよう。体重70kgの人が1日に150gのタンパク質を摂りたいとする。食事から摂る量が80gなら、プロテインから70gを摂取しよう。
プロテインでのタンパク質摂取量が70gになるように計算し、それを起床直後、トレーニング60分前とトレーニング直後に分ける。
トレーニング中に血中アミノ酸濃度を高めるサプリメントとして最適なのがEAAとBCAAだ。EAA=必須アミノ酸で、必須アミノ酸9種類が全て含まれている。一方でBCAAは必須アミノ酸9種類のうちバリン・ロイシン・イソロイシンの3種類だ。
アミノ酸は、摂取してから15〜30分で血中アミノ酸濃度が最高レベルになる。トレーニング中は消化にエネルギーを使わず、血中アミノ酸濃度をすぐに高めたいため、アミノ酸が最適なのだ。
なお、価格はEAAよりBCAAの方が安い。しかし筋合成作用はBCAAよりEAAの方が高いと実験で報告されている。*7
予算に余裕がある人はEAAを選ぼう。
【飲むタイミング】
トレーニング60分前にホエイプロテインを飲み、トレーニング中はアミノ酸を飲んで、トレーニング直後にホエイプロテインを飲もう。もっとも筋タンパクの合成が高まるタイミングで、適切に血中アミノ酸濃度を高められる。
【飲み方・摂取量】
摂取量は体重1kgあたり0.1gが目安で、体重70kgの人なら7gだ。この量を水に溶かして飲もう。
マルトデキストリンは糖質であり、消化吸収が早い。トレーニング中にマルトデキストリンを摂取することで、トレーニングによって失われる筋グリコーゲンを素早く補給できるのだ。
トレーニング中の糖質摂取によって、筋肉の分解を防いで筋タンパクの増加を促進したり、持久力が向上したりといった作用が報告されている。*8 *9
また、グリコーゲンを筋肉内に貯めることで、筋断面積が向上したことも報告されている。*10
【飲むタイミング】
トレーニング中のドリンクとしてアミノ酸と一緒に、水に溶かして飲もう。
【飲み方・摂取量】
トレーニング中は、体重1kgあたり1gのマルトデキストリンを飲もう。体重70kgなら70gだ。糖質濃度を10%以下にすることで消化吸収がよくなるため、体重が100kgを超えない限り、1リットルの水に溶かして飲むといい。
まとめ
そのためには、1種目あたり1〜2セットで限界が来るトレーニングを、週2回行おう。
食事は、高タンパク質・高糖質の食事にして、消費カロリー < 摂取カロリーにする。タンパク質は体重1kgあたり2〜3g、体重70kgなら140〜210gだ。糖質は体重×7gが目安。体重70kgなら490gを食べよう。
サプリメントは、起床直後にホエイプロテイン、トレーニング60分前にホエイプロテイン、トレーニング中にマルトデキストリンとアミノ酸(EAAかBCAA)、トレーニング直後にホエイプロテインを摂ろう。
摂取量は、体重70kgの人が1日に150gのタンパク質を摂りたいとして、食事から摂る量が80gなら、プロテインから70gを摂取しよう。アミノ酸は体重×0.01gが目安で、体重70kgの人なら7gだ。マルトデキストリンは体重1kgあたり1gが目安で、体重70kgなら70gを摂取しよう。
マルトデキストリンとアミノ酸は、1リットルの水に上記の量を溶かして飲むといい。
この記事に書かれている内容を実践して、ぜひあなたの筋肉をバルクアップしていただきたい。
・筋肥大・筋力向上のプログラミング ー 山本義徳業績集
※2Single versus multiple sets in long-term recreational weightlifters ー Med Sci Sports Exerc. 2000 Jan;32(1):235-42. doi: 10.1097/00005768-200001000-00035.(外部サイト)
※3Single vs. multiple sets of resistance exercise for muscle hypertrophy: a meta-analysis ー J Strength Cond Res. 2010 Apr;24(4):1150-9. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181d4d436.(外部サイト)
※4A meta-analysis to determine the dose response for strength development ー Med Sci Sports Exerc. 2003 Mar;35(3):456-64. doi: 10.1249/01.MSS.0000053727.63505.D4.(外部サイト)
※5食品成分ランキング 食品成分データーベース ー 文部科学省(外部サイト)
※6Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men ー J Appl Physiol (1985). 2009 Sep;107(3):987-92. doi: 10.1152/japplphysiol.00076.2009. Epub 2009 Jul 9.(外部サイト)
※7Activation of mTORC1 by leucine is potentiated by branched-chain amino acids and even more so by essential amino acids following resistance exercise ー Am J Physiol Cell Physiol. 2016 Jun 1;310(11):C874-84. doi: 10.1152/ajpcell.00374.2015. Epub 2016 Apr 6.(外部サイト)
※8Macronutrient intake and whole body protein metabolism following resistance exercise ー Med Sci Sports Exerc. 2000 Aug;32(8):1412-8. doi:10.1097/00005768-200008000-00009.(外部サイト)
※9Carbohydrate ingestion improves endurance performance during a 1 h simulated cycling time trial ー J Sports Sci. 1997 Apr;15(2):223-30. doi: 10.1080/026404197367506.(外部サイト)
※10Effect of glycogen loading on skeletal muscle cross-sectional area and T2 relaxation time ー Acta Physiol Scand. 2001 Dec;173(4):385-90. doi: 10.1046/j.1365-201X.2001.00913.x.(外部サイト)