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カタボリックとは?原因と防ぎ方【プロが教える筋トレ】

カタボリックとは?原因と防ぎ方【プロが教える筋トレ】

トレーニングの勉強や、トレーニングをしている人たちとの会話で「カタボリック」という言葉を聞くことがある。トレーニングの話題でカタボリックが出てくる場合、筋肉の分解を意味するため、トレーニングをする人にとっては嬉しい言葉ではない。
トレーニングをするすべての人にとってカタボリックは避けたい。ハードにトレーニングをするアスリートやトレーニーだけでなく、ダイエットをする人も同様だ。

この記事ではカタボリックという言葉の意味の解説とその影響、原因や防ぎ方を解説する。カタボリックを防ぐための対策をして、トレーニングの効果を落とさないようにしよう。
著者・監修者プロフィール

林本直
元アスレティックトレーナー|サプリメントインストラクター保有
了徳寺大学健康科学部卒 元日本体育協会公認アスレティックトレーナー&NSCA-CSCS。大学日本代表選手(ゴルフ、ビーチバレー)のトレーニングコーチや、ラグビーチームのトレーナーを経験。現在はサプリメントインストラクターを取得し、ライターをしながらオンラインでボディメイクを指導している。

ブログ
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カタボリックとは

カタボリックとは科学用語で「異化」のこと。異化とは、大きな分子を小さな分子に分解することを指す。

トレーニングの話題では「筋肉の分解」という意味で使われる筋肉の分解とは、筋たんぱく質を分解して、アミノ酸にしてしまうことを指す。たんぱく質を分解してアミノ酸にすることで、エネルギーに変えたり、新しい細胞の材料として再利用したりする。

一方で、反対の言葉がアナボリック。科学用語で「合成」。トレーニングの話では「筋肉の合成」という意味で使われる。アミノ酸を合成して筋たんぱく質を作ることを指す。

トレーニングを行う人にとってカタボリックは筋肉が減ることを指し、アナボリックは筋肉が増えることを指すが、実は身体の中でカタボリックもアナボリックも常に行われている。筋肉は日常から分解と合成を繰り返しているのだ。

筋肉を増やすには、いかにカタボリックを減らしてアナボリックを増やすかが重要である。
なお、カタボリックすることを略して「カタボる」と表現するトレーニーも多い。

カタボリックするとどんな影響がある?

身体がカタボリックに傾くと、筋肉が合成される量より分解される量が上回る。筋肉量は低下し、筋力も低下。基礎代謝も低下し、体重も減る。それぞれどのような影響があるのか見てみよう。
【カタボリックの影響】
筋肉量の低下
筋力の低下
基礎代謝の低下
体重の低下
筋肉量の低下
身体がカタボリックに傾くと、筋たんぱく質が合成される量より、分解される量が増える。つまり、カタボリックとは筋肉量の低下を意味するのだ。

筋肉量を増やすためにトレーニングをしているのだから、筋肉量が減るのは避けたい。だから、トレーニングをする人はカタボリックを気にして、話題にする。

トレーニング効果を下げないためにも、カタボリック対策は重要である。
筋力の低下
カタボリックになり筋肉量が低下すれば、筋力も低下する。このことから高い筋力が求められるアスリートにも、挙上重量を伸ばしていきたいトレーニーにも、カタボリックは大敵だ。
基礎代謝の低下
カタボリックによって筋肉量が低下すれば、基礎代謝が低下する。基礎代謝とは何もしなくても消費されるカロリーのこと。身体は、特に運動や活動をしなくても、内臓や筋肉、神経などが勝手にカロリーを消費している。

筋肉が収縮するためにも、筋肉を維持するためにも、エネルギーが必要だ。そのため、筋肉が増えれば基礎代謝が上がり、筋肉が減れば基礎代謝が下がる。

食事制限ダイエット後にリバウンドしてしまう要因の1つが、基礎代謝の低下にある。詳しくは後ほど解説するが、食事制限によって摂取するカロリーが低下すると、身体はカタボリックに傾いて筋肉が減る。
つまり食事制限によって体重は減るものの、筋肉量も減るので基礎代謝が下がり、太りやすく痩せにくい身体になってしまう。
そのため、食事や運動量を元の生活に戻すと以前よりも太ってしまうのだ。さらに、基礎代謝が下がっているため、体重落とすのがより難しくなる。

アスリートやトレーニーだけでなく、ダイエットをする人にとってもカタボリックは大敵だ。
体重の低下
カタボリックによって筋肉量が減れば、その分体重も落ちる。先ほど食事制限ダイエットによって基礎代謝が下がることを解説したが、それでも間違った食事制限ダイエットが減らない。その理由がここにある。

食事制限をすることで筋肉も脂肪も落ちて、体重が減る。一時的に「ダイエットに成功した」と感じるだろう。「食事制限ダイエットで痩せた」という体験談が、ネットや周りの友人から聞こえてくる。

「食事の量を減らせば痩せる」「摂取カロリーを減らせば痩せる」というのはわかりやすく、実践するのも簡単だ。痩せるまでの間だけ我慢すればいい。

しかしそういった人々は、筋肉量が減って基礎代謝が低下するリスクを理解していない。カタボリックによって筋肉量が減って体重が落ちても、同時に基礎代謝が落ちて太りやすく痩せにくい身体になっている。あまり喜んではいけない。

カタボリックの原因

カタボリックの悪影響を先ほど解説した。続いてはカタボリックの原因を解説する。カタボリックの原因を避ければ防ぎやすくなる。主な原因は次の4つだ。
【カタボリックの原因】
ストレス増加による、コルチゾールの増加
オーバートレーニング
血中アミノ酸濃度の低下
摂取カロリーの低下
ストレス増加による、コルチゾールの増加
ストレスもカタボリックの原因になる。ストレスによって身体がカタボリックに傾くからだ。

身体がストレスを感じると、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の分泌が増加する。コルチゾールは筋肉を分解する作用を持っているため、ストレスが増えると、筋肉の分解が増えてしまう。

現代の生活において多少のストレスは避けられないが、トレーニングをする人は、過剰なストレスを避けたいところだ。
オーバートレーニング
トレーニングによって筋肉はアナボリックに傾く。だが、トレーニングをしすぎたり、休憩を取らなすぎたりなどの理由で「オーバートレーニング」になってしまうとカタボリックに傾く。

オーバートレーニングによって、身体が過剰なストレスを受けると、大量のコルチゾールが分泌されてしまう。 試合後のラグビー選手を対象にした実験では、60時間後もコルチゾールが増加していた。※1 
ラグビーそのものがオーバートレーニングではないが、ラグビーのように激しい試合では、身体はオーバートレーニングに近い反応をするだろう。

トレーニングの効果を効率的に得るためにも、 オーバートレーニングは避けなければならない。

参考文献
※1 Neuromuscular function, hormonal, and mood responses to a professional rugby union match J Strength Cond Res. 2014 Jan;28(1):194-200. doi: 10.1519/JSC.0b013e318291b726.(外部サイト)
血中アミノ酸濃度の低下
血中アミノ酸濃度が低いとカタボリックに傾く。血液の中を流れるアミノ酸の濃度を「血中アミノ酸濃度」と呼ぶ。

身体は、血中アミノ酸濃度が高ければアミノ酸を合成して筋たんぱく質を作ろうとするが、血中アミノ酸濃度が低いと筋たんぱく質を分解してアミノ酸を取り出そうとする。

血中アミノ酸濃度の低下によるカタボリックを避けるためには、定期的にたんぱく質やアミノ酸を摂取し、血中にアミノ酸を供給し続けなければならない。
摂取カロリーの低下
摂取カロリーが低くても、カタボリックに傾く。先ほど食事制限ダイエットによって筋肉量が減ると解説したが、その原因がここにある。

身体では、糖質や脂質がエネルギーとして優先的に使われる。だが、糖質と脂質が足りないと筋たんぱく質を分解してエネルギーを生む材料に使われてしまうのだ。

カタボリックを避けて筋肉量を増やす、もしくは維持するためには、摂取カロリーを減らしすぎてはいけない。

カタボリックの防ぎ方、しないために気を付けること

最後に、カタボリックしないために気をつけることや防ぎ方を解説する。 トレーニングの効果を落とさないためにも、しっかりカタボリック対策をしよう。
【カタボリックの防ぎ方】
適切な休養をとる
たんぱく質を供給し続ける
摂取カロリーを落としすぎない
ストレスを貯めすぎない
適切な休養をとる
カタボリックを避けるためには適切な休養をとって、オーバートレーニングを避けなければならない。トレーニング後は筋たんぱく質の合成が活発になり、筋たんぱく質の分解が抑制される。その状態はトレーニング終了後およそ48〜72時間続く。

そのため、同じ部位を鍛える時、少なくとも3日は空けよう。 焦って休養を減らしても筋肉は育たないばかりか、オーバートレーニングになって減ってしまう可能性すらある。
たんぱく質を供給し続ける
先ほど解説したように、血中アミノ酸濃度が高ければカタボリックになりにくい。たんぱく質やアミノ酸を供給し続けることが重要だ。そのためにプロテインを活用しよう。

主流なプロテインの「ホエイプロテイン」は消化吸収が早く、 飲んでから1〜2時間で血中アミノ酸濃度がピークを迎える。一方で「ソイプロテイン」は6時間、「カゼインプロテイン」は7時間、血中アミノ酸濃度の高い状態が続く。

そのため、日中やトレーニング前後にホエイプロテインを飲み、夜寝る前にソイやカゼインを飲む人もいる。

また、筋たんぱく質の合成には、ソイやカゼインよりもホエイが優れているといわれている。そのため、深夜に一旦起きてホエイプロテインを摂取してまた寝る人もいる。

自分に合った形でたんぱく質を供給し続けよう。



摂取カロリーを落としすぎない
摂取カロリーを落としすぎないこともカタボリックを防ぐために重要だ。アスリートやトレーニーの減量期、ダイエットのために脂肪を落としたい場合もあるだろう。その場合も、摂取カロリーを落としすぎると、カタボリックに傾いて筋肉も落ちてしまう。

ではどうすればいいか。おすすめは糖質制限だ。糖質を制限することで肝臓のグリコーゲン(肝グリコーゲン)が減り、身体が脂肪を分解し始める。現在多くのパーソナルジムで糖質制限の食事が指導されているのもこのためだ。

糖質は減らしつつ、脂質をしっかり摂ろう。脂質は1gあたり9kcalと、糖質(4kcal/1g)よりもエネルギー効率が高い。減量中は脂肪をメインのエネルギー源にする。

一方で、ボディビルダーやフィジーカーのように極限まで脂肪を減らす場合は、糖質も脂質もぎりぎりまでカットするしかない。その場合は、期間限定にして、血中アミノ酸濃度を下げずに行わなければならない。

ストレスを貯めすぎない
ストレスによりコルチゾールの分泌が増えて、筋肉の分解が増えることを先ほど解説した。カタボリックを防ぐためにはできる限りストレスを減らさなければならない。

とはいえ、ストレスを完全に避けるのは不可能だ。ストレス発散方法を考えよう。映画や読書、自然に触れるなど、のんびりできる時間を持つと良い。

トレーニングが一番のストレス発散になる方も多いと思うが、オーバートレーニングに気をつけなければならない。競技やダイエットの目標を高く設定しすぎるのも、ストレスになってしまうため、十分に達成可能な目標設定も重要だ。

まとめ

カタボリックは科学用語で「異化」のことであり、トレーニングでは「筋肉の分解」という意味で使われる。

カタボリックしてしまうと筋肉量が減るため、筋力も基礎代謝も体重も低下してしまうのだ。

カタボリックの原因には、ストレス増加・オーバートレーニング・血中アミノ酸濃度の低下・摂取カロリーの低下などがある。
カタボリックを避けるために、適切な休養をとり、たんぱく質を供給し続けて、適度にカロリーを摂り、ストレスを貯めないようにしよう。

カタボリックを防ぐことで、せっかく鍛えた筋肉を減らさなくて済む。
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