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HMBの効果、飲み方、飲むタイミング、EAA、BCAA、プロテインとの違いについて【プロが教えるアミノ酸】
著者・監修者プロフィール
林本直
元アスレティックトレーナー|サプリメントインストラクター保有
了徳寺大学健康科学部卒 元日本体育協会公認アスレティックトレーナー&NSCA-CSCS。大学日本代表選手(ゴルフ、ビーチバレー)のトレーニングコーチや、ラグビーチームのトレーナーを経験。現在はサプリメントインストラクターを取得し、ライターをしながらオンラインでボディメイクを指導している。
・ブログ
https://www.bodymake-writer-nao.site/(外部サイト)
・Twitter
https://twitter.com/bodymake_writer(外部サイト)
林本直
元アスレティックトレーナー|サプリメントインストラクター保有
了徳寺大学健康科学部卒 元日本体育協会公認アスレティックトレーナー&NSCA-CSCS。大学日本代表選手(ゴルフ、ビーチバレー)のトレーニングコーチや、ラグビーチームのトレーナーを経験。現在はサプリメントインストラクターを取得し、ライターをしながらオンラインでボディメイクを指導している。
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なお、HMBがプロテイン以上の効果があるかのようなネット広告が頻繁に流れたが、HMBとプロテインは使い方も働きも別物であり、HMBにそこまで絶大な効果はない。
ではHMBにはどのような作用があるのだろうか。そしてどんな商品を選び、どんな飲み方をすればいいのだろうか。
この記事では元トレーナーでサプリメントインストラクターの筆者が、HMBの基礎知識から研究に報告されている作用、おすすめの飲み方・摂取量・タイミング、選び方を解説する。
ぜひこの記事を読んで、HMBを活用してトレーニング効果を高めていただきたい。クレアチンと一緒に摂取するのがおすすめだ。
HMBとは
およそ20gのロイシンが1gのHMBに変換されると言われている。そしてHMBは筋肉合成の促進や分解抑制などの作用が、実験によって報告されているのだ。ただ、一時期広告であった「飲むだけで筋肉が増える」というほどの効果はない。
HMBの効果
■筋肉の「合成を促進」
数々の実験で報告されているHMBの主な効果は、筋肉の合成作用だ。
HMBは、筋タンパク質の合成を活発化させるmTOR(エムトー)シグナル伝達経路を活性化させることで、筋タンパク質の合成を促進する作用が報告されている。*1 *2
■筋肉の「分解を抑制」
人間の身体は生命維持に不要な筋肉を分解する働きがある。トレーニングなどで大きく発達した筋肉は生命維持に不要であり、維持するだけでもエネルギーが必要だからだ。しかし、トレーニングによって筋肉を発達させたい人に、この働きは邪魔となってしまう。
そんな中、HMBは筋肉の分解を抑制する作用が報告されている。
→1.ユビキチン・プロテアソーム系をブロック
使わなくなったタンパク質を分解するユビキチン・プロテアソーム系と呼ばれるシステムがある。HMBはこのシステムをブロックして筋肉の分解を抑制してくれる働きが報告されている。*3
→2.ミオスタチンの働きを抑制
必要以上に筋肉が増えないよう、タンパク質を分解してしまうミオスタチンというタンパク質がある。HMBはミオスタチンの働きを抑制する可能性が報告されており、この点からも筋肉の分解を抑制してくれると考えられるのだ。*4
EAA・BCAA・プロテインとの違い
EAA・BCAAなどのアミノ酸やプロテインは、筋肉の材料になったり、血中アミノ酸濃度を高めて筋肉の合成を促進し、分解を抑制したりするものだ。
一方でHMBは、mTOR(エムトー)シグナル伝達経路を活性化させて筋肉の合成を促進し、ユビキチン・プロテアソーム系というシステムをブロックしたりミオスタチンを抑制したりして筋肉の分解を抑制する。
どちらも主な効果が筋肉の合成促進と分解抑制なので混同されがちだが、材料として直接的に効果を発揮するアミノ酸やプロテインと、シグナル伝達経路やシステムなどに働きかけて間接的に効果を発揮するHMBとは別物なのだ。
そして、トレーニング効果を高めるための優先順位は、HMBよりもプロテインやアミノ酸の方が高い。筋肉を成長させるためには、まず材料が必要である。
HMBの飲み方
なお、HMBはクレアチンと一緒に飲むことで効果が最大化する。クレアチンの多くは筋肉内でクレアチンリン酸として貯蔵され、ADPをエネルギー通貨と呼ばれるATP(アデノシン三リン酸)に変換するために使われる。
筋肉内のATPが増えれば高強度無酸素運動のパフォーマンスが上がり、さらに筋肥大作用や、筋力アップ作用が報告されている。*5
「クレアチンのみ摂取群」と「HMBのみ摂取群」と「クレアチン+HMB摂取群」を比較した研究がある。結果は除脂肪体重もトレーニングの使用重量も、
HMBのみ摂取群 < クレアチンのみ摂取群 < クレアチン+HMB摂取群
の順に大きく増加した。*6
HMBを摂取する時は、クレアチンも摂取するとさらに効果が高まる可能性が高い。日常的にクレアチンも摂取するか、HMBとクレアチンが含有されたサプリメントを選ぶといいだろう。
HMBの摂取量と飲む最適なタイミング
なお、プロテインやアミノ酸はトレーニング中や直後、終了後の筋合成が高まっているタイミングを狙って、血中アミノ酸濃度を高めるために摂取する。摂取タイミングもHMBとは別物だ。
HMBの選び方
先ほど、HMB単体で摂取するよりクレアチンとHMBを一緒に摂取した方が効果的だった研究を紹介した。クレアチンを飲んでいない人は、HMBとクレアチンが含まれたサプリメントを選ぼう。
多くの商品はクレアチンよりHMBを多く含有しているが、できれば同等かそれ以上にクレアチンが含まれている商品が望ましい。HMBは1日3gでいいが、クレアチンは1日3g〜5g以上を摂取することで効果が高まるからだ。
なお、すでにクレアチンを飲んでいる人は、HMBだけが含まれたサプリメントで十分だ。クレアチンとHMBを別のサプリメントで摂取する方法が、手間はかかるが最良の選択だろう。
自分の条件の中に合うものを探し出し、1日あたりのコストを計算して、コストパフォーマンスが高いものを選ぶといいだろう。
また、クレアチンを飲まずにHMBを飲む方法も悪くはないが、優先順位的におすすめはしない。
まとめ
また、ユビキチン・プロテアソーム系をブロックしたり、ミオスタチンの働きを抑制したりして筋肉の分解を抑制する作用も報告されている。
筋肉の合成促進・分解の抑制作用は、プロテインやEAA・BCAAなどのアミノ酸と似ている。ただ、用途もその働きも別物だ。サプリメントを摂取するための優先順位は、筋肉の材料になるプロテインやアミノ酸の方が高い。
まずプロテインやアミノ酸を摂取した上で、さらに効果を高めたい時にHMBを加えよう。HMBは1日3gを3回〜6回に分けてこまめに摂取するといい。
なお、HMB単体で摂取するよりも、HMBとクレアチンを同時に摂取することで、除脂肪体重も筋力もアップしたと実験により報告されている。サプリメントを選ぶ時は、HMBとクレアチンの両方が含有されている商品がおすすめだ。
HMBを活用して、あなたのトレーニング効果を高めよう。
・サプリメントD to K ー 山本義徳 業績集
*2)Effects of leucine and its metabolite β-hydroxy-β-methylbutyrate on human skeletal muscle protein metabolism ー J Physiol. 2013 Jun 1;591(11):2911-23.(外部サイト)
*3)Effects of beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) on exercise performance and body composition across varying levels of age, sex, and training experience: A review ー Nutr Metab (Lond). 2008 Jan 3;5:1.(外部サイト)
*4)L-leucine, beta-hydroxy-beta-methylbutyric acid (HMB) and creatine monohydrate prevent myostatin-induced Akirin-1/Mighty mRNA down-regulation and myotube atrophy J Int Soc Sports Nutr. 2014 Aug 13;11:38.(外部サイト)
*6)Creatine and beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) additively increase lean body mass and muscle strength during a weight-training program Nutrition.2001JulAug;17(78):55866.(外部サイト)