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マルトデキストリンの効果、飲み方、飲むタイミング【プロが教えるサプリメント】

マルトデキストリンの効果、飲み方、飲むタイミング【プロが教えるサプリメント】

著者・監修者プロフィール

林本直
元アスレティックトレーナー|サプリメントインストラクター保有
了徳寺大学健康科学部卒 元日本体育協会公認アスレティックトレーナー&NSCA-CSCS。大学日本代表選手(ゴルフ、ビーチバレー)のトレーニングコーチや、ラグビーチームのトレーナーを経験。現在はサプリメントインストラクターを取得し、ライターをしながらオンラインでボディメイクを指導している。

・ブログ
https://www.bodymake-writer-nao.site/(外部サイト)

・Twitter
https://twitter.com/bodymake_writer(外部サイト)
トレーニングや運動時に、ワークアウトドリンクとして飲むことが多いマルトデキストリン。
トレーニング中に飲むことで筋肉の分解を抑制したり、持久力が向上したりなどの作用が実験によって報告されている。
この記事ではサプリメントインストラクターが、マルトデキストリンの基礎知識と実験で報告されている作用、おすすめの飲み方や摂取量などを解説する。
運動時の持久力を上げたり、筋肉をより大きく見せたりなど、マルトデキストリンにはさまざまな作用が報告されているので、ぜひあなたのサプリメンテーションに取り入れていただきたい。

マルトデキストリンとは

マルトデキストリンは糖質であり、多糖類の一種である。糖質制限ダイエットが一般的に知られるようになり、糖質の摂取を嫌がる人は多い。そんな中、なぜサプリメントで糖質を摂取するのだろうか。

■筋グリコーゲンの補給
人間のエネルギー源はATP(アデノシン三リン酸)だ。ATPを生む経路は数種類あるが、その中で糖質を用いるのが解糖系。運動時は主に筋肉内のグリコーゲンを使ってATPを生む。

解糖系は、数秒から数十秒の高強度のトレーニングから、有酸素運動時まで幅広く働く。運動時に糖質を摂取しないと、グリコーゲンが不足してしまうのだ。そのため運動時のエネルギーアップ=持久力を上げるために糖質を摂取する。

ちなみに糖質制限ダイエットはあえて糖質を摂らないことで、解糖系ではなく脂質を主に使う有酸素系を働かせて脂肪を燃やすのが狙いだ。

■糖新生を減らす
糖新生とは、体内のアミノ酸や乳酸などを材料に、体内でブドウ糖を作り出すこと。糖分が不足すると糖新生が起こるが、糖新生が活発になると筋肉からもアミノ酸を取り出すため、筋肉が分解されてしまうのだ。

糖新生を防いで筋肉の分解を防ぐためには、運動時にエネルギーとして使われた糖分をできるだけ早く補給しなければならない。そのため筋肥大を狙うトレーニーは、糖質を摂取することでグリコーゲンを補給して、筋肉の分解を防ぐのだ。


このように運動時の糖質摂取は重要であり、糖質の中でもマルトデキストリンがワークアウトドリンクとして使われるのは、消化が楽で吸収されやすいからだ。

小腸から吸収される時、浸透圧が低い方が早く吸収される。同じ糖質でもブドウ糖は分子が小さいため浸透圧が高い。一方でデキストリンは分子が大きいため浸透圧が低い。そのため素早い吸収が求められるトレーニング時のドリンクに用いられるのだ。

このように、マルトデキストリンは体内で素早く消化・吸収されて、グルコースとして体内に蓄えられる。

マルトデキストリンの効果

運動時の糖質摂取により、筋肉の分解抑制や持久力の向上などの作用が報告されている。

■トレーニング時の筋肉分解を抑制
トレーニング開始後は、筋肉の合成と同時に分解も促進される。先ほど解説したように、糖質が不足すると糖新生が増えて、より筋肉が分解されやすくなってしまう。
運動時に糖質を摂取することで、筋肉の分解が抑制されたと実験で報告されている。*1

■持久力の向上
短時間の運動でも長時間の運動でも解糖系が働くため、筋肉内のグリコーゲンは消費されてしまう。この時に糖質を補給すると、グリコーゲンが補給される=エネルギーが補給されることで、運動時の持久力が高まるのだ。
実験でも持久力が向上したと報告されている。*2

■筋肥大の促進
糖質を摂ると、インスリンの分泌が促進されて筋肥大も促進される。インスリンは糖質を摂取して血糖値が上がると分泌が促進される。血液中の糖分やアミノ酸などを各組織に送り込む働きがあるが、糖質やアミノ酸を筋肉に送り込む作用も持っているのだ。
そのためインスリンを分泌させると、筋肉にアミノ酸や糖質を送り込むことになり、筋肥大が促進されやすい。
また、先ほど解説した筋肉の分解を抑制する作用により、結果的に筋肥大も促進しやすくなる。
インスリンは脂肪を合成する作用もあるが、高強度のトレーニング時に摂取した糖質は解糖系で使わたり、筋肉内にグリコーゲンとして蓄えられたりする。そのため脂肪にはなりにくいのだ。

■筋肉を大きく見せる
筋肉内にグリコーゲンを貯めることで、筋肉の体積が増えて大きく見える。そのためボディビルダーは試合直前に糖質を摂って、筋肉を大きく見せるのだ。
糖質を摂取することで、筋肉内のグリコーゲンが増えて、筋断面積が大きくなったと実験でも報告されている。*3

マルトデキストリンの飲み方

マルトデキストリンは粉末として売られており、安いものでは5kgが4,000円弱で手に入る。
ワークアウトドリンクとして水に溶かして、トレーニング中に飲もう。EAAやBCAAと一緒に飲むとより効果的だ。

マルトデキストリンを飲む最適なタイミング

トレーニング中に飲むのが最適だ。
だが、ボクサーのように体重によって階級が振り分けられる競技では、計量後から試合の間にマルトデキストリンを摂ることがある。減量時は糖質も水分も減らすため、筋グリコーゲンも水分も不足する。
しかし計量終了後から試合の間にマルトデキストリンと水分を摂って、一気に筋グリコーゲンを補給し、戦うためのエネルギーを補給する。

マルトデキストリンの摂取量

トレーニング時は、体重1kgあたり1gのデキストリンを摂ろう。また吸収速度を高めたり胃もたれを防ぐためにも、糖質濃度を10%以内に収めたい。

体重が100kgを超えない限りは、体重1kgあたり1gのデキストリンを、1リットルの水に溶かせば問題ない。

マルトデキストリンの選び方

さまざまなマルトデキストリンが売られているが、どの商品も大きな差はない。商品によって溶けやすさの違いが多少あるようだが、口コミが多い人気商品で、安いものを選べば問題はない。

また、さらにマルトデキストリンよりも消化が楽で、持続的に吸収してくれる「クラスターデキストリン」も売られている。こちらはマルトデキストリンよりも少し高価だが、予算に余裕がある人には、おすすめだ。

まとめ

マルトデキストリンは糖質であり、糖質の中でも消化・吸収に優れる。そのため、糖質をすぐに補給したい運動時に飲まれるのだ。
運動時にはATPを生み出すため、解糖系が働く。この解糖系によって失われた糖質を、マルトデキストリンを飲むことで補給しよう。

糖新生を減らすことで筋肉の分解を防いだり、グリコーゲン補給による持久力の向上や、筋肉内グリコーゲンを増やすことで筋断面積を増やすなどの作用が実験によって報告されている。また、インスリン分泌を促すことにより、筋肥大の作用もあると考えられる。

体重1kgあたり1gのマルトデキストリンを、10%以下の濃度でトレーニング中に飲もう。体重が100kgを超えない限りは、1リットルの水に体重1kgあたり1gのマルトデキストリンを溶かして飲むといい。EAAやBCAAなどのアミノ酸も一緒に飲むと効果的だ。

持久力向上や、筋肥大を狙いたい人、筋肉を大きく見せたい人は、ぜひワークアウトドリンクにマルトデキストリンを加えていただきたい。
【参考文献】
・炭水化物のすべて ー 山本義徳 業績集
*1)(外部サイト)Macronutrient intake and whole body protein metabolism following resistance exercise ー Med Sci Sports Exerc. 2000 Aug;32(8):1412-8. doi:10.1097/00005768-200008000-00009.(外部サイト)
*2)Carbohydrate ingestion improves endurance performance during a 1 h simulated cycling time trial ー J Sports Sci. 1997 Apr;15(2):223-30. doi: 10.1080/026404197367506.(外部サイト)
*3)(外部サイト)Effect of glycogen loading on skeletal muscle cross-sectional area and T2 relaxation time ー Acta Physiol Scand. 2001 Dec;173(4):385-90. doi: 10.1046/j.1365-201X.2001.00913.x.(外部サイト)
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