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令和の“胸きゅん”、「メロい」とは? 執着、孤独、不器用さ…人気マンガに見る“モテ”の条件
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左から『枯れた花に涙を』(C)Gae/LINE Digital Frontier、『作戦名は純情』(C)kkokkalee・Dledumb/LINE Digital Frontier、『藤堂司の恋愛事情』(C)248・Anna Kim/LINE Digital Frontier
共依存の沼にハマるヒロインを救い出す、献身的な"悪魔のプリンス"
財閥の御曹司でミステリアスな一ノ瀬蓮。『枯れた花に涙を』(C)Gae/LINE Digital Frontier
物語は、泥沼の絶望から始まる大人のロマンス・サスペンスとして展開する。ヒロインは児玉樹里(こだまじゅり)。夫・鉄平の不倫と借金に苦しむ樹里の前に現れたのが、10歳は年下に見える青年・蓮だ。しかし、その出会いは決して偶然ではなかった。
物語冒頭、蓮の行動原理は謎に包まれている。樹里がいる時だけバイト先の花屋に現れ、バラを買っていくことから、最初についたあだ名は「バラ」。やがて樹里が掛け持ちで働く焼肉店にも姿を見せるようになる。その行動は苛烈だ。樹里に土下座させた迷惑客を完膚なきまでに叩きのめすかと思えば、あえて夫・鉄平の浮気現場へ樹里を向かわせるよう仕向けたりもする。「救っているのか、壊しているのか」――蓮の愛情は、優しさと支配の境界線が曖昧だ。
『枯れた花に涙を』(C)Gae/LINE Digital Frontier
見た目の妖艶さ、年齢差が生む背徳感、圧倒的な行動力、そして一途さと執着心が同時に見える振る舞い。蓮の“メロさ”は、こうした要素の積み重ねのようでいて、突き詰めると「強くて怖いのに、どこかで救いを求めているようにも見える」というギャップに集約される。その揺らぎがあるからこそ、ただの危うい存在では終わらず、目を離せないキャラクターとして印象に残る。
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無愛想なのに優しい、イケメンなのに恋愛初心者 “黒ワンコ”系美青年
クールな“一軍”男子高校生・橘蓮。『作戦名は純情』(C)kkokkalee・Dledumb/LINE Digital Frontier
物語は、「一生の間に愛される量」が表示される不思議なガラケーを軸に展開する学園ラブストーリー。ヒロインの木無愛実(きなしまなみ)は、自分の数値がゼロであることを知ったうえ、彼氏・遠野智哉(とおのともや)の浮気も発覚する。運命を変えるため、彼女が選んだのは“彼氏の親友と浮気する”という大胆な作戦だった。その相手が蓮だ。
蓮は整った顔立ちのいわゆる“一軍男子”。一見するとクールで近寄りがたい存在だが、愛実に対しては不器用ながらも、困っていると放っておけない一面をのぞかせる。
愛実が智哉とのトラブルで孤立しそうになれば自然と側に立ち、間に入ってさりげなく彼女を庇う。さらに「本当は両親みたいな仲のいい恋愛がしたかった」と弱音を吐く彼女には、静かに寄り添うような言葉をかける。智哉と来夢の生々しい浮気現場を目撃し、自己肯定感が大きく揺らいだ愛実に対しても、表面的な同情ではなく、その傷ついた感情そのものに向き合っていく。
『作戦名は純情』(C)kkokkalee・Dledumb/LINE Digital Frontier
さらに蓮の魅力は、“一軍男子”でありながら恋愛には不器用なところにもある。密かに嫉妬したり、一人で感情を持て余したりと、普段のクールな姿との落差が随所に表れる。クールで完璧に見える一方で、恋心や独占欲をうまく扱えない姿が、王道の“胸キュン”ポイントでありながら、蓮というキャラクターの“メロさ”を際立たせている。
なお本作では、蓮と並び百谷玲央(ももたにれお)も高い人気を誇る。無愛想ながら愛実を守る蓮が「黒ワンコ」なら、玲央は「白ワンコ」。対照的な魅力を持つ二人の存在も、作品の大きな見どころとなっている。
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ハイスペックなのに恋愛初心者 不器用すぎるエリート御曹司
エリート御曹司・藤堂司。『藤堂司の恋愛事情』(C)248・Anna Kim/LINE Digital Frontier
ヒロインの浅野由紀(あさのゆき)は、10年連続ノルマ達成率1位のエリート社員だった司に、初めて「2位」の屈辱を味わわせた同期。物語は彼女が司の秘書に配属されるところから始まる。
TKグループの御曹司である司は、泣きぼくろが印象的な整った顔立ちとハイスペックな経歴を持つ。しかし後継者争いに敗れ、いまや“やる気ゼロの脱力系”に成り下がっている。正統派後継者の陰で密かにコンプレックスを抱える姿が、まず“メロい”。さらに、由紀のヒールの足音だけで「あいつが来た!」と察知するほど意識しているのに、最初は好きな子をいじめる小学生のように嫌がらせばかりしてしまう。
『藤堂司の恋愛事情』(C)248・Anna Kim/LINE Digital Frontier
そのギャップが爆発するのが、由紀が親友の身代わりでお見合いに出向く場面だ。偶然居合わせた司は、酒でふらつく由紀を見て我慢できずに乱入。しかし、普段とは違う色気を放つ彼女にあっさり赤面し、心を撃ち抜かれてしまう。
その後も、胸の高鳴りを「なぜか不快」と勘違いし、嫉妬剥き出しで幼稚な行動に出るなど、恋愛の前では完全にコントロール不能になる司。「読めば読むほど応援したくなる」という声が示す通り、彼の“メロさ”の本質は「完璧な鎧が、ただ一人の女性の前でだけ崩れていく」その瞬間にある。
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単なる“ギャップ萌え”ではない、令和の「メロい」の正体
それは単なる「ギャップ萌え」とは少し異なる。一ノ瀬蓮の脆さは腕の傷跡と直結した壮絶なものであり、橘蓮の本質的な優しさは複雑な家庭環境のなかで培われた痛みと表裏一体だ。藤堂司の「恋愛偏差値ゼロ」も、後継者争いに敗れたコンプレックスという傷と地続きである。読者は単にギャップを楽しむのではなく、その弱さや傷を含めた人間らしさに惹かれているのかもしれない。
(文/衣輪晋一)