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「暮らしの息遣いを表現したい」ミニチュアモデラーが“焼き鮭のり弁当”に施した壮大な仕掛けとは?
これまで発表してきたミニチュア作品すべてにつながる世界観
しろくまパン実は、これまで発表してきた食品も含めすべてのミニチュア作品は、「星が丘市」という架空の都市を舞台に制作しており、すべてが紐づいているんです。星が丘市には、駅前に商店街があります。例えば、「焼き鮭のり弁当」などは、この商店街にある「オリジナルキッチン」の商品。商店街の地図も用意しており、商品の値札やラベルには、その地図と対応したデザインのものがわりふられています。1人暮らしの部屋も、星が丘市にある賃貸物件「フォレスト星が丘」の一室です。
――すべてが関連していたんですね!「フォレスト星が丘」にはどんな人が住んでいるイメージで制作を進められたのですか?
しろくまパン「仕事を続けており、ある程度経験は積んだけれど、なかなかお給料はあがらない(なのに、雑事や仕事量はすくすく増えている)」「でも、日々のささやかな暮らしの中で、小さな楽しみを見つけたい」「忙しい中でも何かホッと息が抜けるような、温かさや癒やしがほしいという思いを抱いている」「最新のもの、流行のものより、ちょっとレトロテイストなもの、おちつくものの方が好き」「料理が好きで、料理作りがわりと息抜きになる」という人物をモチーフにしています。
しろくまパン最初の設計に相当てこずりました。今回は「日々のくらしの小さな幸せ」をテーマに、時間の変化(窓からの光のさし方など)、季節の移ろいも含めてこまやかに撮影したいと思っておりました。そのため、写真・映像の角度がなるだけ多様にとれるよう、あの家の壁は部屋ごとにある程度動かせるようになっております。本来なら、撮影には間仕切りの壁が少ないワンルームタイプの部屋が適しているのですが、それだとお部屋があまりにもコンパクトにまとまりすぎてしまって、主人公の目指しているくらしの感じがあまりでなくなってしまうんです。
ゆえに、それまで思い描いていた「主人公のくらし」を、どう「フレキシブルに撮影できる間取り」と両立させるか、というところに本当に時間がかかりました。