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(更新: ORICON NEWS

指先サイズのケーキが10万円? 人気ミニチュア作家が明かす“まるで本物”に見せる極意とは?

 ドールハウスをはじめ、大人のコレクターズアイテムとしても人気のミニチュア。近年では、各地で教室も開かれ、コレクターだけでなく作り手も広がりをみせている。そこで今回、その精巧さからネットオークションでは驚きの高値がつくこともある人気ミニチュア作家shibazukeparipariさんにインタビューを実施。「本物そっくり!」と称賛されるミニチュアフードの制作の極意を聞いた。

作品で異なる制作日数「大福は“秒”で完成、回転ずしは3年がかり」

――ミニチュア制作との出会いを教えてください

【shibazukeparipari】 それまでは事務や販売などの仕事をしていましたが、図書館でミニチュア制作の本を見かけ、“自分でも作れるんだ!”と知り、本から見よう見まねで始めました。その後は独学です

――ブログでは一部作品の制作過程を紹介されていますが、驚いたのは『スウィングベンチ』です。図面もなく、頭のなかで仕上がりをイメージしながらパーツをカットし…とまさに神業! 過程を拝見すると一気に仕上げているようにも見えますが、1つの作品を作るのにどの位の日数がかかりますか?

【shibazukeparipari】 作品によってあまりにも違うので難しい質問ですね…。例えば お饅頭や大福なら“秒”です(笑)。手間と時間が掛かったものは“回転ずし”。コンベアが回るようにしたくて試行錯誤して。2008年に構想、一度は断念したものの2011年のイベントに向けてようやく仕上がった感じです。
――動く“回転ずし”は画期的でした! その他にもハリネズミやウサギといった動物や、“シチューを作る途中”など、かわいい物からユニークな物まで、さまざまな作品を手掛けられていますが、これまでで最も反響があった作品を教えてください

【shibazukeparipari】 桜の作品です。海外の方々の反響が大きく“sakura”が広く愛されているんだなぁと感じました。

――海外でも“sakura”はよく知られていますものね。作品を見て「リアル!」と感じてもらうためには、より多くの人が共感できるモチーフが大切ということなんでしょうか?

【shibazukeparipari】 そうですね。特に食べ物などは国や地方、世代よっても異なります。小学校のクラブ活動で講師をさせていただいていた時に“ラーメン屋台”を展示したら、そもそも子どもたちは“屋台”を知らなかったというオチが…。

ミニチュアフードの要は「色と質感」 食感をイメージさせる工夫も

――“shibazukeparipari作品”のなかでも『ショーケース入りケーキ』はオークションにて10万円で落札されるなど、スイーツやフード系が人気ですが、制作時にはどんな事にこだわっていますか?

【shibazukeparipari】 ミニチュアはどんなパーツも主役だと思っています。例えばお料理でも添えられた野菜や上に掛かったタレにも表情があって、そのどれもがメインになる、という思いで制作しています。

――これまでに失敗もありましたか?

【shibazukeparipari】 ミニチュアの陳列は本当に大変で、接着するとラクですが、実際に手に取れた方が嬉しいですよね? ところが、作品をお迎え頂いたお客様から“全て接着で”とのご依頼がありました。失敗ではありませんが、こだわりがまさかの…、という事はありますね。
――ミニチュアフード作りで難しいのはどんな点でしょうか? 

【shibazukeparipari】 色や質感です。出来る限り本物を観察します。まずは作りたいイメージの見本を探しにスーパーに行って。“生姜焼き”なら、まず肉選びから。赤身と脂身のバランスをじっくり見ます。怪しいですよね(笑)。その後、実際に焼いてみて、焼き色がついたら、さらに、それを色んな角度から撮影して観察します。

――その徹底した観察が“リアル”さにつながっているんですね。

【shibazukeparipari】 フード系をリアルに見せるには、食感を連想させるような表現も大切ですね。カレーを作ったときは、ルーとご飯の境界線でカレーの濃度を表現しました。白いご飯に少しルーがしみ込んで、トロッとした感じに…。ポテトフライは“外はカリッ、中はホクッ”を演出するため、1本あえて折って断面を見せました。

今後もマイペースに「作りたいものを作りたい時に、脳と心が満足するまで」

――2001年に制作を開始され、17年。Shibazukeparipariさんを惹き付けるミニチュア制作の魅力とは何でしょうか?

【shibazukeparipari】 “小さい”というだけで、テディベアもシルバー類も羊毛フェルトも編み物も、すべて本物と同じように制作しています。おままごと気分でお料理をするように仕上げていったり。ミニチュアは、リアルとフェイクが共存する夢のような世界です。構想、想像、資料集め、イメトレ、試行錯誤、撃沈、気分転換、試行錯誤、そしてまた撃沈(笑)。でも、それら全てが至福の時です。

――良い作品を作るために欠かせない道具などはありますか?

【shibazukeparipari】 道具ではありませんが“作りたいものを作る”ことが大事だと思います。小学校のクラブ活動で講師をしていた時、黄緑と黒の2種類のぶどうを作ったことがありました。ひとつの房に2色を接着した子がいて感動したのですが、その子は周りのお友達の目線を気にしたようでした。リアルさも大切ですが、何よりも“自由に思うように表現する!”が一番です。

――今後の活動予定を教えてください

【shibazukeparipari】 これまで通り“作りたいものを作りたい時に、脳と心が満足するまで作る”がテーマでしょうか。年齢的な問題や他にも挑戦したいことなどもあり、“このまま自然とミニチュア制作が先細りになっていくのかな…”と思っていた頃、私がミニチュアを始めた頃から応援して下さっている方から『死ぬ時までピンセットを握ってて』と言っていただいて。笑いながらも、とても励みになったので、マイペースで続けていきたいですね。
INFORMATION
◆HP http://shibazukeparipari.com/
◆Twitter 【@shibazukepari】
◆Instagram 【shibazukeparipari】

PROFILE
Shibazukeparipari 2001年にミニチュア制作を開始し、小学校のクラブ活動でミニチュアの講師を始める。2003年『第4回カドーアワードゴールド』ゴールド賞受賞。ドールハウス展、ミニチュアハンドメイド展など数多くの展示会に出展。現在は、ドールハウス、ミニチュア、食品サンプル、テディベアをマイペースで制作、ヤフオク!(ID shibazukeparipari)にて不定期に出品中。

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