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原作を知らないまま“自分の理想”を求めた『ハンマ・ハンマ』 「ガンダムが詳しい人も、そうでない人も、楽しめるのがガンプラ」

 昨年12月に『囚われたΞ(クスィー)ガンダム』を発表したモデラーのyuji.otani(@otani_yuji)さん。その近作は、「原作を知らないまま自身の頭に浮かんだ“強そう”なイメージを具現化した」という『ハンマ・ハンマ』。カスタムにより“重厚感”と“歴戦の勇士感”が増したと、SNSで反響を集めている。原作を知らなかったからこそのアイデアはどのように生まれたのか? また原作を観ていないまま作品を作ることに対し、寄せられた“アンチ”からの心無いコメントと、そこへの想いとは?

バーで見た『ハンマ・ハンマ』に一目ぼれし、制作を決意

――前回『連邦に囚われたΞガンダム』を紹介させていただきましたが、記事が出た後の反響はいかがでしたか?
yuji.otani記事に取り上げていただき、たくさんの反響をいただきました。ガンプラに興味のなかったSNSの友人たちも「ガンプラって、工夫次第でこんなにカッコよくなるんだ!」と思ってくれたようで、プラモデルに興味を持って作り始めた人もいます。多くの人にガンプラの魅力を知ってもらういい機会になって良かったです。

――前作制作時は、昨年映画も公開された『閃光のハサウェイ』に登場する機体を制作されていましたが、近作はどのような傾向ですか?
yuji.otani記事が公開された頃は『閃光のハサウェイ』『00(ダブルオー)』に登場する機体をメインで制作していましたが、昨年末からアニメ『UC(ユニコーン)』にハマり、その機体をよく作るようになりました。
 一方で、『ガンダムMk-V』や『Hi-νガンダム』など「原作を知らないけどかっこいい」と思った機体に積極的にチャレンジしています。『ハンマ・ハンマ』もそうですね。

――『機動戦士ガンダムZZ』に登場する『ハンマ・ハンマ』も原作を観ずに、制作されたんですね。
yuji.otaniはい。私の住む福岡に「ホビーダイニング ジオン」というバーがあるのですが、そこに飾ってあった作品を見たのがきっかけです。自分がこれまで見慣れてきた機体とは一線を画すデザイン性で、カッコいい姿に衝撃を受けました。

――制作された作品を拝見すると、鮮やかなグリーンが印象的である一方、細かくウェザリング加工が施してあり、戦闘後の物語を想起させます。制作の際に想定・イメージされた物語をお教えください。
yuji.otani先ほどもお話した通り、原作を見たことがないのもあり、物語というよりは、自分がイメージする「強そう」を形にしようと決めました。機体はパチ組みしたままでもシンプルなカッコよさがあるのですが、家にあったパーツを使って重厚感を出しています。腕にミサイルポッドを、片方の膝にリペア風の赤いアーマーを付けました。これまでの作品は、「原作のカッコイイシーンを再現する」方向が多かったのですが、今回は「機体のイメージからインスピレーションを受けて、自分なりの理想を作り上げる」という方向性で進めました。

SNSでの誹謗にも大人の対応「初心者の方にもどんどん作品を発表してほしい」

――大きな特徴であるシールドは、設定では「ビームサーベルでは容易に切れない」と言われています。そこに傷が入っているところに、物語があるように感じます。
yuji.otani全体的に「強い機体が歴戦をくぐり抜けて来た」感じを出したくて、それをイメージした表現が盾の傷でした。逆に盾以外にはあまり傷ついてないんですよね。盾でしっかりと攻撃を防ぎ、敵を倒してきたイメージで作りました。SNSでも「ダメージ表現がいいですね」というコメントをいただき、工夫した部分だったのでうれしかったです。

――本作制作時に一番こだわったところをそれぞれお教えください。
yuji.otaniシルエットを自分の好みにすることに、いつも時間を使っています。今回だと両肩の大きなバーニア、足に付けたいくつかのパーツによって、全体的にがっしりしたイメージにできたと思います。特徴的な腕のミサイルポッドですが、家にたまたまパーツが余っていて。取り付けた時に「これだ!」と思いました。

――確かに、yuji.otaniさんの作品は、オリジナルのデザインを生かしながらも、ご自身らしさを随所に出しているイメージです。
yuji.otaniありがとうございます。「オリジナリティある作品を作りたい!」というのは日頃から思っています。SNS上をはじめ、上手いモデラーさんがたくさんいらっしゃって、そういう方々には全然追いつけないないと思っています。であれば自分の感性で、自己満足でも「カッコいい」と思える作品を作りたい。それは心がけていますね。
――「#ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ」というハッシュタグがありますが、まさに体現されている素晴らしい心がけですね。一方で、本作の前に発表された「ヤクト・ドーガ」に対し、“アンチ”から「原作を観てない」こと揶揄された心無いコメントが寄せられました(下記参照)。
yuji.otaniそうですね。SNSにはいろいろな方がいらっしゃって、それぞれの考えを持っています。コメントをいただいた時には驚きましたが、それもその人の考え方だなと自分の中で消化しました。

――これに対し、「原作を知っている人も、観たことがない人も、同じ趣味同士、仲良く楽しめたらいいなと思います!」とコメントされ、多くのガンプラファンの共感を得ました。
yuji.otani最近のブームもあり、新しくガンプラを始める方が増えています。その人たちが遠慮なく、自由に作品を発信できるような流れになればいい。そういう思いから、私のコメントを発信しました。新しい方にも、もっとガンプラを好きになってもらいたいですし。原作を知っている人も、観たことがない人も、みんなで楽しく、仲良くやっていけるのが、ガンプラの世界だと思います。

アンチへの毅然とした対応がガンプラファンの共感を得たツイート

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