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“細かすぎる”ザクの正体は、ガンプラ×写真 「プラモデルらしくない、被写体が生きているかのような表現をしていきたい」

「ザク メカニクス」(一部拡大) 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ

「ザク メカニクス」(一部拡大) 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ

 約1年前、ガンプラマーカーでの塗装と撮影技術を駆使し、写真なのか絵なのか分からない幻想的な『ジオング』を発表。ガンダムファン以外からも絶賛されたモデラーのDON-GURIさん(@ten10kozo)。その近作『ザク メカニクス』は、ザクの持つ“メカ感”を、自身の手法で最大限に見せた大作。「すっごい…絵画のようです…」「すっごいリアルな内部構造ですねぇ…」など賞賛のコメントが寄せられた本作はどのようにして生まれたのか?

「ザクの完成」という工業的なプロダクトとしてのザクをイメージ

――約1年ほど前に『ジオング』、その後『ガンダム』を紹介させていただきましたが、記事が出た後の反響はいかがでしたか?
DON-GURI『ジオング』以降、フォロワーがどんどん増え、今でも毎日のようにリアクションをいただけています。やはりみなさん「イラストなのか?ガンプラなのか?」といった第一印象を持たれているようです。特に『ジオング』は、私の代表作になりました。

――今、改めて見ても圧巻の出来ですもんね。その後も作品を発表され続けるなか、近作として『ザク メカニクス』を作り上げ、こちらも多くの賞賛の声があがっています。本作のアイデアはどのようにして思いつかれたのですか?
DON-GURI今回は「ザクの完成」という工業的なプロダクトとしてのザクをイメージして制作しました。

―― “メカ感”がすごい作品ですね。
DON-GURI過去のイベントで限定販売された『MG ザクIIメカニカルクリアバージョン』を使用したのですが、最初はとりあえず内部構造が透けて見えるメカニカル作品にすることしか考えていませんでした。
 腕や脚については内部構造がメカっぽい感じのキットなのですが、胴体についてはあまりメカっぽい作りになっていませんでした。色分けだけでは情報量が乏しく密度感が出せなかったため、単調に見える箇所には外装にデカールを貼ることによって「ごちゃ」っとした情報の密度を上げて全体のバランスをとるのに苦労しました。

――これまで発表されてきた作品同様、色使いも見事です。
DON-GURI今回はメカニカルなイメージだったので、少しシルバーを多めに配色しています。ゴールドの占める割合が増えるほど豪華なイメージや神秘的な雰囲気に近づくので。それでも構造的なフレーム部分はゴールドの色を使ったので、結果的にゴールドの主張も強くなってしまいましたが、なんとかバランスよく仕上がったと思います。

――ガンダムマーカーの使い方もますます腕が上がっていますね。
DON-GURI最近はぶっつけ本番で作りながら直感で配色を決めて作るようになりました。ガンダムマーカーで塗ってすぐに組み合わせてというように塗装と組み立てを同時に行っています。やはり直感で配色を決めてガンダムマーカーを使い分けられるようになったことは、経験値が増したと実感できるところです。金色だけでも細先、ノーマルゴールド、レッドゴールドなど使い分けも直感的にできるようになったのは成長なのでしょうかね。

少し見上げるような視線は、格納庫でザクと対面したシャアをイメージ

――制作、塗装の技術もさることながら、本作でも写真撮影が見事です。
DON-GURIありがとうございます。私の制作は写真作品がゴールになります。そのため、作るプラモデル選びは「写真作品にすることができそうなのか?」を先に考えています。写真作品のイメージができた後で次に、「どうやってプラモデルを作り上げればその写真作品にすることができるのか」を考えます。写真撮影の技法でカバーできる部分とそうではない部分を切り分け、写真になった時に主張できるような作り方を考えています。こういった検討をWebの商品写真や、ガンダムベースでの見本や店頭でのパッケージ写真から行ってプラモデルを決めています。

――おそらくたくさんあると思いますが、撮影においてのこだわりは?
DON-GURI一番重要なのは照明です。私の場合、通常のプラモデルの写真では被写体の陰影も作品の味の一つで使いますが、今回のようなスケルトンのメカニカルモデルに陰影を使ってしまうとせっかく情報を増した箇所が見えなくなり、何の写真なのかわからなくなってしまいます。また透明の外装パーツの下の内部構造までしっかり撮影しなければならないので、左右のライトだけではなく、正面からLEDで強い光も当てています。ただし、強い照明によって反射やハイライトが出てしまうと内部構造が見えなくなるので、そういったことにならないように微調整しながらの撮影がこだわりどころです。

――なるほど。だから唯一無二の作品が可能なんですね。本作は撮影の“目線”にもこだわったと伺いました。
DON-GURIはい。この作品は、ザクの完成を見届けるシャアの視線がイメージにありました。シャアのもとに届いたザクを見上げているシャアをイメージしています。完成したら今まで通りの写真を撮影すればよいと思っていましたが、制作中に少し下から見上げるような角度で見ていた時にシャアの視点を思いつきました。格納庫でシャアが初めてザクと対面したときのイメージで格納庫的な背景を使用することにしました。格納庫の部材はジオングの時に使ったものと同じです。

――すばらしいこだわりが、多くの人を感動させるガンプラ作品を誕生へと導いているのですね。国内だけでなく、海外の方もリアクションを送っています。
DON-GURI「なんじゃこりゃ!?」「絵なのかとおもった!」といった良い意味での驚きや、発想に対する良いリアクションをもらえています。ガンダムマーカーのみで仕上げていることに対して驚かれている方も多いようです。

――今後はどういった作品を生み出していきたいですか?
DON-GURIやはりプラモデルらしくない、被写体が生きているかのような表現をしていきたいと思います。制作したプラモデルを人物のようにとらえて、ポートレイト写真を撮影するようなことを続けていきたいと思います。プラモデルの作り方、ポージング、写真の撮影の仕方によって最終的にはポートレイト写真のように仕上げ、より被写体に生命のようなものを感じてもらえるような作品を作っていきたいと思っています。

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