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引きこもり期間で描き溜めたモビルスーツイラストをデジタル化「現実性を出来るだけ表現」

 店頭在庫が品薄になるほど、販売好調なガンプラ。モデラーも、SNSにカスタムを加えたガンプラ作品を多数発表しているが、ガンダム好きの“創作”はガンプラだけではない。とさしん。さん(@tosashin1028)は、さまざまなモビルスーツ(MS)・モビルアーマー(MA)を独自のタッチで描くイラスト作品を多数発表。自身の解釈で、カラーなどさまざまな仕様にアレンジを加えながら細かく解説するその作品が注目され、ガンプラモデラーが、そのイラストをもとに作品を仕上げるなど一目置かれる存在となっている。同氏がこのようなイラストを描くようになったきっかけや、どのような想いで描いているのかを聞いた。

アレンジはその場の思いつきだが「現実性」という方向性は一貫

――独自の解釈でアレンジを加えた仕様のMS・MAのイラストを次々と発表、ガンプラモデラーたちからも一目置かれています。これらを発表しようと思われたのはどのようなきっかけだったのですか?
とさしん。以前に仕事でメンタルやられて、3年程引きこもってた時期がありました。あまりにヒマだったので中高時代に描き溜めたオリジナルのメカを、タブレット端末で描き直し、ツイッターに投稿を始めました。そこで軽いノリで大好きなジオングを描いてみたら予想以上のいいね!をいただいたので、これはオリジナルメカを見てもらう“客寄せパンダ”になると思って、描き続けていくうちに楽しくなって現在に至っております。正直に言うと今でも、見て欲しいのはモビルスーツではなくてオリメカの方です(笑)。

――幼い頃からイラストを描くのは得意だったのですか?
とさしん。そうですね。幼稚園の頃は『グレートマジンガー』や『宇宙鉄人キョーダイン』とか描いてました。家が貧しく『超合金』を買ってもらえなかったので、欲しい物を描きまくってました。ガンダムはファーストの劇場版を見て徐々にハマっていき、最初に描いたのは小6の頃。友達にせがまれて『シャアザク』を「なんだよこの1つ目の赤鬼は」と思いながら、『ガンダム大図鑑』を見て描いた記憶があります(笑)。

――幼少期、学生時代に養った素養が今、花開いているんですね。現在発表されている作品に戻りますが、MS・MAは独自のアレンジが施されています。こういった発想はどのように思いつくのですか?
とさしん。だいたい「宇宙世紀での時系列順」で描いています。アレンジの方向性はいつも決まっていて、「より現実性を出す」です。ファーストガンダムで見せつけられた兵器としてのMS・MAを、戦車や戦闘機などの現用兵器のように自分なりに突き詰めて表現したいと常に思ってます。方向性は決まってますが、アレンジのアイデアはいつも描いてる途中、その場の思いつきです。全体のアレンジバランスとパースのバランス、あと巨大感と重量感を出すのには神経を使い、すり減らしてます(笑)。

モデラーとの“相乗効果”「お互いに刺激を受けて制作のモチベーションが向上」

――発想を具現化したイラストとともに、驚かされるのが脇に文章で添えられた“細かすぎる設定”です。これらはどのように考えているのですか?
とさしん。今は、調べ物が簡単にできるスマホは便利です。公式設定やWikipedia、ピクシブ百科事典ほか、個人の分析・見解まで出来るだけ検索して、それらを参考にしつつ、イラスト作業中に思いつきで描きこんだアイデア設定を矛盾のないように組み込んでまとめます。「とさしん妄想設定」の完成です。だから設定の作成は、イラスト完成の後になります。イラストアレンジの説明(言い訳)ができるので楽しい作業ですね。

――自分が描いた作品がどう活躍するのか、イメージするのも楽しいですね。
とさしん。そうですね。自分の描いた、または設定したMS・MAが立体化されたり、アニメで動いてどういう戦闘をするのか、妄想してニヤニヤしています。

――描く際に、意識していることは?
とさしん。「リアリティ(現実性)を出来るだけ表現すること」「今そこにある兵器としてのMSを出来るだけ表現すること」「形が大きく変わってもメカのイメージは逸脱しないこと」「自分が買いたいと思えるものを描くこと」ですね。
 そして、MS・MAをデザインされた方々のことは意識しています。大河原邦男先生、出渕裕先生、永野護先生、カトキハジメ先生、藤田一己先生、明貴美加先生…。先生がたのデザインはどれも魅力的でシンプルにまとまっていらっしゃいます。自分ごときがゴチャゴチャ手を加えてしまい、ファンの方からの批判コメントが来るのではないかと、ビクビクする毎日です。
――作品のなかでも、緑色が印象的なキュベレイはご自身の代表作であり、人気モデラーのK1さんが参考にされ、ガンプラで具現化されました。
とさしん。キュベレイは、永野護先生の描いた設定資料のキュベレイの後ろ肩にもLMES2とはっきりマーキングされているので、そこから妄想して、エルメスのカラーリングを移植してみました。永野護先生の完成された美しいキュベレイに、ロケットのようなスラスターや剥き出しのフレームやメカを組み込んで、かつ全体のバランスを保つのに苦労しました。
 K1さんの作品のカラーリングだけでなく細部のディテールなど見た瞬間に、「僕のイラストを参考にしていただけた」と胸が熱くなりました。とても美しく仕上げられていて、僕の雑なイラストがK1さんのようなモデラーさんの制作のきっかけになったのであれば、もの描きの端くれとしてこんなうれしいことはありません。

――K1さんをはじめ、ほかのモデラーさんの作品の設計図や、設定・仕様の参考にされることについてはどう思われますか?
とさしん。たかがシロウトの落書きに、ガンプラモデラーの皆様が刺激を受けてくれて制作の手助けになっていく。まさにうれし恥ずかし状態で、恐縮です。また、それが逆に、こちらの制作意欲、モチベーション向上の源になっております。これからもモデラー皆様の琴線に触れるような作品が投稿できるよう精進していこうと思っています。

――作品はもちろん、細かい設定まで読み込まれているご自身が感じる、ガンダムの魅力はどのようなことだと思いますか?
とさしん。戦争という残酷な現実の中での人の葛藤や成長や可能性、その世界へ、魅力的なロボット「モビルスーツ」たちが私たち大人も子供も誘い込み魅了させる。それが「ガンダムワールド」なのかなと思っています。偉そうなこと言って申し訳ありません。

とさしん。さんのイラストをベースにしたガンプラ作品

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