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ガンプラを爆竹で…究極のウェザリング“爆破表現”「予測不能なダメージから物語を膨らませるのが醍醐味」

 自分の作品をSNSで公開できるようになった昨今。モデラー同士がお互いの技術、手法を交換し合うことも増え、作品のレベルがどんどん上がっている。そんななか、モデラーのakakishiさん(@akakishi95126)は、“使い手”があまりいないであろう「爆竹」を用いた手法で作品を制作。写真の『爆竹ストライクガンダム』は、そのシチュエーションや風合いが多くの人から賞賛された。なぜ、そのような手法でガンプラ作品を作るようになったのか、同氏に話を聞いた。※モデラーは爆竹の取り扱いには細心の注意を払っています。大変危険ですので、一般の方はマネをしないでください

ウェザリングがうまくいかなかった日の思いつき「本当に爆破させたら本物になる」

――YouTubeも拝見しましたが、爆竹でガンプラをぐるぐる巻きにし、爆破させる光景には驚きました。なぜこの爆竹による爆破表現をやってみようと思ったのですか?
akakishiこの手法をやりだす前もガンプラを作っていたのですが、ウェザリングがうまくいかなかったある日、「爆破した表現を塗料でするより、本当に爆破させて焦がしたらリアルを超えて本物になるじゃん」と思いつき、すぐに試してみました。

――大胆な発想ですね。一番最初に“犠牲”となったモビルスーツは?
akakishiHGUCのジムです。この爆破表現に限らず、他のモデラーさんの技法だったり、自分で思いついたアイデアを試すのに使っていました。お金がなかった学生の頃大変お世話になったキットです。
――今回、たくさんのいいねを集めた『爆竹ストライクガンダム』は、すすけたガンダムが1機、川の前にたたずむ姿が印象的です。本作制作の背景にはどのような物語をイメージしたのですか?
akakishi壮絶な戦闘後、生き残ったパイロットが河原で味方の応援を待っています。川の横にいるのは体や服を洗ったり、水分補給をするため。戦闘後のひと時の休息のため、この場所にとどまっているようなイメージで制作しました。

――この爆竹表現は、ご自身の思い描いた通りのウェザリングになったのでしょうか? 
akakishi最初のジムのときもそうだったんですけど、思い描いた通りにいきませんでした (笑)。というのも、どこに焦げがつくのか、どこが破損するのか。どこが熱で溶けるのか、曲がるのか。すべてが爆竹次第で予測不能。爆破した後についたダメージからどう妄想を膨らませて、生かして加工していくのか。そこがこの手法の楽しみ方だと思っています。

爆破加工は山奥で 手間をかけたからこそ出会える“本物”の質感

――本作も含め、「爆竹表現」で作る際の工程を教えてもらえますか?
akakishiまずできるだけ特徴のない、見本のような機体を作ります。この時、爆発に耐えれるように、合わせ目消しはもちろん、動かさないパーツや固定してもいい部分は接着剤で固定し、できるだけ強度を上げます。次に出来上がった機体に爆竹を巻きつけます。巻き付けたら、火を入れて、爆破させます。付いたダメージを生かして、あまりダメージが入らなかったところに傷を入れたり塗料を塗ったり、上から整える程度に後加工をします。壊れた部分も生かしてそれっぽい加工をします。例えば、取れた関節からちぎれた配線を出してみるとか。出来上がった機体を見て思い浮かんだ情景をジオラマで再現して完成です。

――どうなるか分からない、爆破を糸口に、物語を創造するのは新しい手法ですね。本作制作時に苦労したところはどんなところですか?
akakishi今のご時世、成人男性が一人で爆竹を爆破させて遊んでいると通報されかねないと思い、人気のない山奥まで行って爆竹加工をしているので、そこまで行くのが多少手間です(笑)。

――そこまで手間をかけても、この表現に懸ける想いが伝わってきます。ご自身が考える、爆破表現の魅力はどんなところですか?
akakishi規則性が出ないところと、焦げがかっこいいところですね。私のやっていることは、「爆破した表現」ではなく、本当に「爆破する」。爆破したらそれはもう本物になるんです。言葉にするのは難しいですが、私はこの手法以上にリアルな表現はないと思っています。ただ、くさい、うるさいというデメリットもありますが(笑)

――SNSでは、賞賛の声が多数寄せられていますが、ご自身はこの反響をどのように受け止めていますか?
akakishi手法が手法なだけに、正直、否定的な意見も多く寄せられると思っていました。でも肯定的な意見が多く、素直にうれしいです。YouTubeに作品の制作過程を投稿しているのですが、そこで「ガンプラ触ったことないけど興味を持った」というようなコメントをいくつかいただいて、ガンプラのコミュニティ外の人の興味を引けるような作品を作れたことをとてもうれしく思っています。

――最後になりますが、ご自身にとって「ガンプラ」とは?
akakishiいつになっても楽しめる最高の趣味です。これからも、他人の評価を気にせず、自分の作りたいものを作っていきます。

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