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モデラーこだわりの“ジョジョ立ち”νガンダム爆誕 ミケランジェロ『ダビデ像』と同じ理論でポーズを意識

 モデラーのM-Liveさん(@M_Live733)が昨年末、『νガンダム』を発表。『RG νガンダム』をベースに、プロポーションの変更とディテールアップ、塗装にこだわったカスタムを実施。一見、大きな変更がないように見えるが、細かいところまで手が加えられており、モデラーこだわりの“ジョジョ立ち”(承太郎立ち)のポーズも相まって、SNSで多くの賞賛を受けた。同氏にとって、3体目のνガンダムになるという本作。「自分にしかできない表現」を模索したうえで、たどり着いた境地とは?

技術は未熟でも「より純粋にνガンダムと向き合いたい」という想いで作った3作目

――『νガンダム』がSNSで賞賛されました。本格的にガンプラを作り出して、『νガンダム』は3体目と伺いましたが、なにか特別な思い入れがあるのでしょうか?
M-Liveそうですね。中学生の時に映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を観て、衝撃を受けました。すぐにプラモを買って作ったんですが、その時はうまく作れなかった思い出があります。やはり同作の主役機なので他のモビルスーツとは違う思いがありました。

――特別な想いがあったからこそ、同じ機体を3体も作られたんですね。前2作はどのような作品だったのでしょうか?また、既に2作作っているなかで、3作目に挑もうと思われたきっかけを教えてください。
M-Live】最初に制作したのは『MG νガンダム』でした。とにかく作例がたくさんあるなかで、「自分にしかできない表現」を模索して、かなり気合いを入れて作りました。でも何か空回り感がありました。2回目は『RG νガンダム』でしたが、この頃の自分の中での流行りだったマグマ表現と組み合わせて、本体自体はランナーごと、無改造でグラデーション塗装したもの。こちらも好評だったのですが、「より純粋にνガンダムと向き合いたい」と思い、3作目に挑みました。

――なるほど。3作目は、一見大きな改造はないように見えますが、胸部、腹部、脚部が強調され、プロポーションも良くなり、塗装も細かいところまで丁寧に施されています。より『νガンダム』らしさに迫った作品のように感じます。
M-Liveありがとうございます。0.3〜1mm厚のプラ板をそのパーツ面に合うようにアートナイフで切り出して、各ブロックに仕込んで、ディティールアップをはかっています。
 塗装も部位によって、ドライブラシ、エアブラシ、筆塗りなどを使い分け、マスキングテープを活用しながら、下地からこだわって塗装しました。
 あまり言いたくはありませんが、僕はそんなに器用ではありません。たくさんのモデラーさんの作例を見て、挑戦した手法もありますが、技術的にマネ出来ないものが多いです。それでも自分が出来る限りの、ある程度のバランスを考えた理想を追求して作っています。

ポーズ、背景、台座にもこだわり「モビルスーツの見え方が変わってくる」

――制作時、背景にどんな物語をイメージしながら制作されましたか?
M-Liveガンプラを作るにあたって、“ストーリー性”がとても重要だと思っています。しかしながら、自分にはストーリーを組む能力がありません。なので本作制作時は、どんな過酷な状況でも立ち向かっていく、そんな気合いの入るワンシーンを何となく想像して、イメージを膨らませました。

――作品中央下部にいるアムロのフィギュアがいい味を出しています。
M-Liveνガンダムだけでなく、足元に小さなフィギュアひとつあるだけで、何か世界観が広がりますよね。このアムロは、強い信念を持って何かを成し遂げる決意・覚悟を持って歩いている、というイメージです。

――本体だけでなく、台座や背景にもこだわっていますね。
M-Liveそうですね、重要視しています。台座は絵で言う所の額縁の様な存在だと思っています。同じ作品でも、台座や背景でみえ方はかなり変わって来ると思います。なので最近では、スクラッチして台座を制作することが多いです。今回は、MGユニコーンガンダム付属ジオラマベースを使用しました。

――制作後の反響をどのように受け止めていますか?また特に印象的だった反響の声はどのようなものでしたか?
M-Liveツイッターのいいねやリツイート、コメントはとても励みになっています。コロナ禍で展示会がないなか、直接反響を聞く機会がかなり減りましたが、SNSでの反応が張り合いになっています。
 いただいたコメントのなかでは、「ジョジョ立ち?みたいなポージングにより、ガンダム自体に意志を感じます」というコメントが特にうれしかったですね。この“ジョジョ立ち”みたいなところが、こだわりのポイントでしたので。

――なぜ“ジョジョ立ち”(承太郎立ち)のポーズにしようと思われたのですか?こだわった理由は?
M-Live厳密に言うと、“ジョジョ立ち”を意識したわけではないんです。
 昔、僕は美術系の仕事をしていて、その頃に勉強した西洋ギリシャの古典彫刻の考え方である「コントラポスト」の要素を取り入れたことが始まりです。「コントラポスト」とは、体重の荷重によるバランスを取る表現です。有名な彫刻にミケランジェロの『ダビデ像』があります。
 (ガンプラ制作時は)毎回、プラ板を足したり引いたりしながら模索を重ね表現しています。始めたばかりの頃は「S字立ち」という言い方をしていました。側面から見るとS字曲線を描いているためそのような言い方をしてました。本来はロボットなので、そんな要素は必要ないんですが、1度やると毎回やらないと気が済まなくなりました。しばしば、ジョジョ立ち(承太郎立ち)と言われることもあります(笑)。

――このポーズへのこだわりこそ、まさに自分にしかできない表現ですね。最後になりますが、M-Liveさんにとって「ガンプラ」とは?
M-Liveガンプラは自分が子どもの頃からあった身近な存在。人と人をつなぐコミニュケーションツールのひとつだと思います。
 たくさんの方が素晴らしいガンプラを作っておられますが、そのマネをするのではなく自分の世界観、自分にしかできない表現を出したていきたいですね。

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