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アンジャ・児嶋、相方の陰で誕生した「児嶋だよ!」が救済措置に…証明された強度
お約束として定着、SNSで沸き起こる「児嶋だよ!」現象
そんな児嶋にニュースサイトやSNSでは、「アンジャッシュを応援します!!!大島さーん!!!!」などわざと名前を間違える投稿コメントが連発され、一般ユーザー同士の「児嶋だよ!」のリプライが定着していく流れに。わざわざ(お約束失礼します)(待ってたでしょ?)と一言添えてツッコミを入れるユーザーもいれば、この流れを受けて「不倫問題は殺伐としているけど、名前を間違えるボケにどこかホッコリする」と“評価”するコメントもあった。
たとえ一般人でも治外法権的に「児嶋だよ!」を引き出す失礼なフリができるのは、いじられキャラの芸人として児嶋自身が覚悟を持って受け止めてきて、一般層もそれを理解しているからこそ。だから、今回の騒動でもここぞとばかりに温かい“児嶋イジリ”が連鎖し、本来ネットやSNSが秘めている“理想的な関係”が創出されたともいえるのである。
元々アンジャッシュは“シュッとした”イメージ? 意外な「いじられキャラ」の誕生
実際、間近でアンジャッシュを見てきた後輩芸人カジサックことキングコング・梶原雄太も、自身のYouTubeチャンネルで児嶋がゲスト出演した際(昨年12月20日公開)、アンジャッシュ=「むっちゃ怖いイメージ」「全然笑ってなかった」「シュッとしていた」と語っており、児嶋も「尖ってた」「ヘンに自信があった」と認めている。そして、“シュッとした”イメージでいくつもりだったからこそ、くりぃむしちゅー(当時は海砂利水魚)やアンタッチャブル・山崎弘也など、芸人同士の内輪でイジられはじめた当時は「うれしいのと半々」だったと振り返っている。
カッコつけていたがゆえに、「(ウケなかったときに)ありがちな『なんだこの空気は?』とか『笑えよ!』で誤魔化すことは絶対にやらなかった」のだが、デビュー10年経ったころ、渡部に「もう(尖らなくて)いいんじゃないか」といわれたことをきっかけに、普通の芸人以上に「なんだこの空気」「笑えよ!」を多用するようになったという。
その後、渡部がグルメ芸人として大ブレイクすると、明石家さんまを筆頭に中居正広や今田耕司といった大御所からの“渡部の相方イジリ”、“大島イジリ”(さんまは大島のほか、八丈島などバリエーションあり)がはじまった。今では一般人に「大島さんですか?」と街中で振られても、「児嶋だよ!」と答えて“神対応”といわれるまでになっている。考えてみれば、渡部のみならず児嶋もコンビとしての大きな方向転換に成功したといえるだろう。
不祥事で相方も“腫れ物”に? 芸人にあるまじき同情ムード救った「児嶋だよ!」
実際、児嶋と親交のあるバナナマン・設楽統は、12日に放送された『金曜JUNK バナナマンのバナナムーンゴールド』(TBSラジオ)で児嶋の涙の謝罪に触れ、「大変な時期だけど、コジにはがんばってほしいと思う」とエールを送りつつも、今回の件で「コジの好感度がヘンに上がっちゃうとコジのよさが出なくなる」として警鐘を鳴らした。つまり、児嶋を気遣って周囲が気軽に「大島さんですか?」とボケられない状況になると、児嶋が何もできなくなってしまうのではないかというわけだ。
ところがネットニュースのコメント欄やSNSでは渡部を批判しつつも「大島さんにはがんばってもらいたい」などとボケ、そのフリに対して「児嶋だよ!」とリプライが連発。渡部の不祥事も(少しは)薄らぐという現象が生じており、渡部の爆発的人気があったからこそ生まれた“コンビ芸”=「児嶋だよ!」が、巡り巡って皮肉にも渡部・児嶋の両者を救う“救済措置”となっているようなのだ。
それが相方の不祥事であったとしても、“同情”されるというのは、笑いを仕事にする芸人にとっては一番避けたいこと。児嶋にしてみればいつも通りに「児嶋だよ!」を繰り出せることで、キャラクターはブレないし、いち早く通常営業に戻れるはず。いわば「大島さん」などのフリは児嶋へのエールなのである。きっかけこそ不本意だったかもしれないが、ここにきて「児嶋だよ!」の普及率の高さ、意外な汎用性の高さなど、フレーズとしての強度が証明されたのではないだろうか。