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ORICON NEWS
『M-1』新王者が蚊帳の外? 賞レースにおける「功績より“負の話題性”優先」の普遍性
一夜にしてスターへ 人生が変わる日本一や世界一の称号
他にも、五輪やW杯などの世界的なスポーツの大会でも、メダリストたちには華々しい盛り上がりが。空港でお迎えするファンの様子の中継から始まり、情報番組やバラエティ番組にも多数出演、そして優勝パレードとスターの仲間入りとなる。
その勝利の瞬間を見届ける喜びに加えて勝ち負けによる人間ドラマでも多くの視聴者を惹きつける。賞レースは、芸能、スポーツ、芸術に限らず、いつの時代も感動を与える優良コンテンツとなっているのだ。
実績よりも話題性? ネガティブな側面のみがクローズアップされる歯がゆさ
また、スポーツ界においても2011年にサッカーの『FIFA女子W杯』で優勝した「なでしこJAPAN」がひとつの例だろう。帰国後、多数のメディア出演で一躍“時の人”になると、翌年の『ロンドン五輪』でも期待通りに銀メダルを獲得。ところが、表彰式の場でカメラに向かってピースをしたり手を振ったりと、サービス精神たっぷりに喜びを表現。すると「ふさわしくない」「品がない」などの意見が集まったことで一気にバッシングの対象になる。五輪で銀メダルを獲得した栄光よりもネガティブな側面ばかりに話題が集中し、日本中の祝福ムードが一転した。
先輩芸人たちも苦言、「ネットを見たらそのニュースしかない」
本来であれば若手の霜降り明星は、決勝常連の実力者たちが集う中で優勝したことにもっと純粋な賞賛があってよかったし、僅差で3年連続2位となった和牛も、ラストイヤーだった3位のジャルジャルも、4640組から上り詰めた実績で話題の中心になるはずだった。ところが、“外野”が盛り上がってしまい、王者たちが“蚊帳の外”となっている状況となっているのだ。
自身もその場に立ったことがありながら、出場者たちの栄光に泥を塗る形になった久保田と武智。2人には、審査員を務めたオール巨人がブログで「年に一度の皆さん楽しみの、楽しまれた折角のM-1なのに、つまらん本当に情けない話が」と言及。また、博多華丸・大吉の大吉からも「また、バカ後輩たちがやらかした。ネットを見たらそのニュースしかない」、ナインティナイン・岡村隆史からも「純粋に大会の話をしたかった」など、多くの苦言が届き猛省が求められている。突然巻き込まれる形となった上沼恵美子も終息するように気遣う発言をしているが、今もなお「暴言騒動」というインパクトのある話題性がひとり歩きしてしまっている。
時として、王者の功績以外の盛り上がりに寄ってしまう賞レース。話題性が絶対という風潮は何とも歯がゆい。何より賞レースが多くの感動のドラマを生むのは、たった一人、たった一組の出場者が頂上に登りつめるからこそ。報道するメディア側も、それを受け取る視聴者側も、そうした本質的なことを見失わないでいることが勝者に対する礼儀だろう。