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タレント不祥事のリスクも回避? 大手企業がアニメCMに続々参入のワケ
大友克洋×宇多田ヒカルの豪華コラボ! 日清『FREEDOM』がもたらしたその後の影響
同シリーズは、『カップヌードル』の発売から35年のタイミングで行われたプロモーションの一環で制作。『AKIRA』などで知られる漫画家で映画監督の大友克洋氏が監修し、「23世紀。人類は月に移住していた。」という設定から始まるSFストーリーは、当時の若者に大きな反響を巻き起こした。またシンガー・ソングライターの宇多田ヒカルが、同CMのために楽曲を2作(「This is Love」、「Kiss & Cry」)書き下ろしたことも話題に。さらにCMを皮切りに、オリジナルアニメの製作、小説やグッズ展開など、複数のメディアを巻き込む新たな広告展開にも注目が集まった。
以降、大手企業によるアニメCMが相次いで制作される。12年から始まった「家庭教師のトライ」のCM「教えて!トライさん」は、アニメ『アルプスの少女ハイジ』の原画との合成が人気となり、現在まで続くシリーズCMとなっている。またみそ最大手のマルコメは、14年から家族をテーマにしたアニメCMを放送。小学1年生の息子を育てるシングルマザーの生活を描いたストーリーに対し、ネット上では「切なすぎる」、「泣きそうになった」との声が上がっている。
今夏には、新海誠監督のアニメーション映画『天気の子』と、スペシャルパートナーの大手7社によるコラボCMが放送され、スポンサーや提供が入れ替わる演出に「粋さがすごい!」と注目が集まった。
「車体で見せるより、アニメの方が自由度も高く、伝わりやすい」
監督は、『ラブライブ!』で知られる京極尚彦が担当。キャラクター原案は『センコロール コネクト』で話題の宇木敦哉が手掛けるなど、気鋭のクリエイターが集結して制作された。現在、動画再生数は37万回を超えており、SNS上では「日野のアニメで泣きそうになった」、「劇場版で見たいくらいいい話」と話題となっている。
「先日開催された『第46回東京モーターショー』に合わせ、当社が描いている未来とはどういうものなのか、実際に車体で見せるよりも、アニメで表現した方が自由度も高く、伝わりやすいのではと考え、アニメの制作に至りました」
同社によると、アニメ動画では、未来のモビリティ(移動手段)が存在する世界を表現したという。またモーターショーに合わせて、モビリティプラットフォーム『FlatFormer』も、世界で初公開された。『FlatFormer』は、上物(架装)を台車部分に設置して使用できるもので、アニメ内では、美容室やコンビニが配置されるなど、それぞれ提供するサービスに合わせて変幻自在に描かれていた。
またアニメでの訴求の狙いは、“アニオタ”だけではないと澤田氏は明かす。「今回、幅広い層に訴求できるアニメをきっかけに、当社と接点がなかった多くの方々に届けることができました。実際モーターショーでは、アニメに興味がありブースに来てくださったお客様も多かったですね。また日本のアニメは、海外の方々にも好評です。日野の考えを知ってもらえるツールとして、アニメも生かしていきたいと考えています」
相次ぐタレントの不祥事…アニメCMこそ企業側の思惑を100%具現化できる
先月末には、お笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実の税務申告漏れ問題を受け、同氏が出演していた家電量販店エディオンのCMが、急きょ差し替えられた。また16日には、麻薬取締法違反の疑いで女優の沢尻エリカ容疑者が逮捕され、同容疑者を広告塔に起用した大手各社は対応に追われている。なかでも求人検索エンジン「Indeed」は、同容疑者が出演する新CMを発表したばかり。公開からわずか1日でお蔵入りとなるなど、異例の事態となっている。
前述で澤田氏が「アニメで表現した方が伝わりやすい」と述べていたように、アニメCMの方が実写よりも表現方法が豊かになり、国内海外、老若男女問わず幅広い世代に訴求しやすいのだろう。またアニメCMは、タレントの不祥事に左右されることなく、企業理念などを100%望むかたちで織り交ぜることができるのも、重宝される最大の要因だ。現に日野自動車は、実用化が未定の『FlatFormer』を、あえてアニメで表現し、実現された場合は現実社会でどのように生かされるのかをCM内で描いている。企業側の思惑を具現化できるアニメCMという流れは、今後も加速度を増していくだろう。