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若者の“TikTok離れ”加速? 変革期を迎えた『TikTok』、全世代を取り込むことができるのか
著作権フリーで音楽利用できることを利点に、世界150ヵ国まで急成長
「『TikTok』の特徴は、著作権フリーで音楽を利用できることですね。各国にあるそれぞれのレーベルと包括ライセンス契約を結んでいるため、動画内で無料で利用することが可能なのです」(阿部氏)
「他の動画配信アプリだと、自分から興味のある動画を探さないと見つからない仕組みですが、『TikTok』の場合は、ユーザーの動向を機械学習して精査していく。『TikTok』を使い込んでいくほど、より自分にマッチした動画が表示されるようになるんです」(阿部氏)
“TikTokは女子高生に人気”というマインドを変えたい
「日本においてはリリース時から、女子高生らを中心にSNSなどのシェア機能を通してジワジワと『TikTok』が広がりました。ただ我々としては、若年層をターゲットとしていたわけではないんです。あくまで全世代に楽しんでもらいたかった。『TikTok』の特徴が、たまたま(女子高生らに)ハマったのだと思います」(阿部氏)
昨年11月のCMには、女優の上戸彩と若手女優の小芝風花を起用。「思い出の真ん中に」をテーマに、悪天候で落ち込んでいても『TikTok』で撮影を始めると、いつのまにか楽しい気分になるといったストーリーを展開した。阿部氏は、「同CMには、日常のどんなシーンでも『TikTok』で撮影すれば、楽しい思い出が残せるというメッセージを込めた」と話す。
今夏には、俳優の中村倫也とお笑いコンビ・ニッチェ(江上敬子・近藤くみこ)を起用した新CMを展開している。3人は、個性が強めなアパレル会社の同僚という設定で登場。ランチタイムに『TikTok』で好きな動画を楽しむ様子などが描かれている。
阿部氏によると、『TikTok』ユーザーの7割は、“動画を見る専門”だという。そこで同CMでは、ダンス動画だけでなくペットや風景動画も『TikTok』上には存在するとうたった。
「最近では、動画のカテゴリーも広がりましたね。ペットを始め、スポーツや料理動画、『15秒で伝える英語のワンフレーズ』といった“How to”シリーズも人気を集めています。またシニア層のユーザーも増えているため、『オトナTikTok』と題した勉強会を実施し、撮影の仕方や編集方法などを伝えています」(阿部氏)
一方、女子高生ら若い世代の“TikTok離れ”が起きているのか聞くと、阿部氏は「新作アプリは続々とリリースされるので、若い世代は試したりしているとは思います。ですが、“TikTok離れ”は感じないですね。まだまだ女子高生のユーザー数も伸びているんですよ」と胸を張る。
後発アプリだからこそ、過去の事例から学び戦略立てている
「これまで他のSNSアプリなどで起きた事件や課題から学び、対策を行っています。『TikTok』の場合、24時間365日間、常に機械学習技術と人の目で監視をしていますので。プロフィール欄に『10歳』と書いてあると、利用規約違反としてユーザーに伝えていますね。また学校名のついた制服で踊らないなど、動画投稿の際注意するべき点も啓発しています」(山口氏)
親がアカウントを取得している場合、小学生の子どもでも投稿はできてしまうが、保護者がアプリの利用時間を制限できたり、DMを送受信する範囲を設定できるよう、「ペアレンタルコントロール(保護者管理)」機能を拡充しているという。
今後は“ライフライン化”目指す 災害時に『TikTok』が役立てることはないか模索
「まずは、ユーザー数を伸ばすことですね。『TikTok』の日本のユーザー数は950万人ですが、『Twitter』は4500万人、『LINE』は7900万人です。私たちは、まだまだ(ユーザー数を)伸ばすことができると考えています」(阿部氏)
一方、山口氏は、『TikTok』の“ライフライン化”を視野に入れていると話す。
「災害時にはどんなメディアを使っても構わないと思うんですよね。たとえば、緊急時に『TikTok』を使って投稿したら、近くの地域の人々が気付いて助けてくれるかもしれない。災害時に『TikTok』が役に立てることはないか、模索しているところなんです。今後は、『TikTok』が社会に役立つアプリとして成長していかなければならないと考えています」(山口氏)