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寝る前に最適な筋トレと栄養補給方法【プロが教える筋トレ】

著者・監修者プロフィール

和田 拓巳
プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療サポートの経験も豊富で、ケガの知識を活かしリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・トレーニングに関する講演会などの講師を務めること多数。テレビや雑誌にて出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆・監修を行い、フィットネスに関する情報を発信している。

Official site:https://wada0129.wixsite.com/takumiwada(外部サイト)

Facebook:https://www.facebook.com/pt.wada(外部サイト)

寝る前の筋トレがもたらす意外なメリット

寝る前に筋トレを行うことで、どのようなメリットがあるのだろうか。まずは睡眠前に筋トレを行うことのメリットを紹介する。

成長ホルモンの効果を長く受けることができる

睡眠中は、筋肉の成長を促す「成長ホルモン」が多く分泌するタイミングでもある。その成長ホルモンを有効に活かすには、寝る前の筋トレが効果的だ。

筋トレ後も睡眠同様に成長ホルモンが多く分泌されるため、寝る前に筋トレを行うことで、長時間にわたり成長ホルモンの分泌がおこり、筋肉の成長を効率よく促すことにつながる。

程よい疲労によるリラックス効果

運動後は、リラックス効果を高めることができる。運動をすることで分泌されるエンドルフィンは、「幸せホルモン」とも呼ばれ、ストレス解消や気分の向上をもたらす。筋トレによる、ほど良い疲れやホルモンの働きによって緊張がほぐれ、リラックスした状態を作り出すことができるだろう。

睡眠の質の向上

リラックス効果を得ることで、睡眠の質の向上にもつながる。また、寝る前に体を動かしておくと、体温が上昇する。ここがポイントだ。

夜、なかなか寝付けない人もいるだろう。
スムーズに睡眠へ促すためには、実は体温の変化が関係しているのだ。体を動かしたり入浴で体温が上昇すると、体温は上がった分より大きく下がろうとする性質がある。筋トレで体温を上昇させることで、体温の低下を促進させ、深い睡眠につながるのだ。

代謝の向上

筋トレ後は、何もしなくてもエネルギー消費量が多くなるのは、他の記事でも説明した通りだ。それは就寝中でも同じである。じっとしている就寝中でも、寝る前に筋トレをしておくことで代謝が高まり、エネルギーを消費しやすくなる。

寝る前に適した筋トレメニューとは?

寝る前の筋トレについて、いくつかメリットを紹介したが、気をつけたいこともある。寝る前の筋トレは、ハードに行ってしまうと、寝つきが悪くなってしまうこともある。体や脳が覚醒してしまうほどの高い強度で行うのではなく、短時間で負荷が軽いメニューを採用することをおすすめする。

ここでは、寝る前におすすめのエクササイズをいくつか紹介していく。

自重スクワット

1.足を肩幅よりも拳1個分外側へ開き、つま先を30°程度外側へ向けて立つ。両手は胸の前で組んで体を安定させておく。
2.軽く腰を反らせ、胸を張った姿勢を保ったまま、股関節と膝を曲げて体を下していく。
3.太ももが床と平行まで体を下したら、股関節と膝を伸ばしていき、元の姿勢に戻る。
4.この動作を繰り返し行う。10回×3セットから始めてみよう。
【ポイント】体を下していくときに、膝がつま先よりも前に出ないように気をつけよう。そのためには、股関節を曲げる意識で、お尻を後ろに突き出すようにしてみよう。

膝つき腕立て伏せ

1.腕立て伏せの姿勢になる。この時、手幅は肩幅よりも拳2個分外側に広げ、膝は90度に曲げて床につけておく。
2.肘を曲げて体を下していく。この時、胸が床にくっつくくらいの位置まで下ろすと効果的だ。
3.下せるところまでいったら、肘を伸ばして、体を持ち上げていく。
4.この動作を繰り返し行う。10回×3セットから始めてみよう。
【ポイント】動作中、体を一直線に保つこと。お尻が上がったり下がったりしないように、頭から膝までの姿勢を意識したまま動作を行うことが大切だ。

プランク

1.肘とつま先を床につけ、うつ伏せに寝る。両肘は肩の真下に、脚は膝をまっすぐ伸ばし腰幅に開いておくこと。
2.体を床から浮かせ、前腕部とつま先だけで支える。この時、頭・肩・腰・膝・カカトが一直線になるようにする。
3.体を一直線に保ったまま、姿勢をキープする。20秒間×3セットから始めてみよう。
【ポイント】プランクで正確に刺激を与えるには、姿勢が正確でなくてはいけない。疲れてくるとだんだん腰の位置が高く上がってしまったり、頭が下がってくるなどの姿勢の崩れが起こる。最初に作ったまっすぐの姿勢のまま、しっかり保持しよう。

筋トレ後に最適な栄養補給のタイミングと方法

寝る前に筋トレをしたなら、少しでも筋肉の回復や合成のために栄養は摂取しておきたいところだ。栄養がなければ、せっかく行った筋トレの効果が少なくなってしまう。

筋トレ後・就寝前に摂取したいたんぱく質

すでにご存じだと思うが、筋肉はたんぱく質から作られる。そのため、たんぱく質を十分に摂取しておくことで筋肉づくりが効率よく進む。

とはいえ、寝る前にしっかりとした食事でたんぱく質を補給するのは大変だろう。代表的なたんぱく質といえば、肉や魚、卵などが挙げられる。しかし、そのような食品を摂取してしまうと、就寝中に消化できず、消化不良を起こしてしまう可能性がある。では、就寝前のたんぱく質補給はどうすればいいのだろうか。

就寝前は軽めのものを

就寝前のたんぱく質補給としておすすめしたいのが、プロテインだ。プロテインであればすぐに摂取できるうえ、液体となっており分解・吸収も早い。就寝前のプロテインは、体内にゆっくり吸収されるカゼインプロテインやソイプロテインがおすすめだ。

サプリメントであれば、アミノ酸も良いだろう。たんぱく質が分解されている状態で摂取できるので、吸収が早く筋トレ後の筋肉の合成に役立つはずだ。

サプリメントではなく、食事からたんぱく質を摂取したいと思う人もいるだろう。そのような人には以下の食品をおすすめしたい。

ヨーグルト

ヨーグルトはたんぱく質が豊富なうえ、低カロリーで、カルシウム、ビタミンB群などがバランスよく含まれている。また、乳酸菌の働きで乳糖が分解されているため、消化もしやすい。寝る前でも胃腸に大きな負担をかけずに摂取でき、腸内環境を整えるのにも役立つ。

ヨーグルトを食べる際は、脂肪分が少ないタイプを選ぶとよいだろう。

チーズ

チーズは低脂肪で、高品質のたんぱく質が含まれている。特に多く含まれているカゼインは、長時間にわたって体内でアミノ酸を供給し、寝ている間に筋肉の修復や成長をサポートしてくれる。

その他にも、カルシウムやトリプトファンが含まれ、リラックス効果や質の高い睡眠を促す働きもあるので、就寝前にはうってつけだ。

チーズも脂肪分が少ないものが良い。脂質分が多いと摂取カロリーが増えるだけでなく、消化に時間がかかって胃腸に負担がかかるからだ。

ナッツ類

ナッツ類にも良質なたんぱく質が含まれている。それ以外にもマグネシウムやトリプトファン、メラトニンなどが含まれており、リラックス効果をもたらし、睡眠の質の向上に役立つはずだ。また、ナッツは低GIであり、血糖値を急上昇させないため、寝る前に食べても血糖値の変動が少なく、夜間のエネルギー供給にも適している。

ナッツ類は、塩分の少ないものを選ぶようにしよう。

筋肉の疲労回復を促進する日中のケア

寝る前の筋トレ同様、日中の体へのアプローチが、睡眠の質の向上につなげることができる。ここでは、睡眠の質の向上や疲労回復のための日中のケアについて解説していこう。

日中に体を動かしておく

睡眠の質を高めるには、日中の行動も重要だ。日中に体をしっかり動かし、交感神経を活性化させておくことで、睡眠の質を高めることに繋がる。これは研究でも報告されている。
休日にスポーツして体を動かした日は、ぐっすり眠れたという経験がある人も多いことだろう。

日中は少し強度の高めの運動が良いとされている。就寝前の軽い筋トレのほかにも、できるだけ日中は体を動かすようにした方が良いだろう。

日中に体を動かす習慣がつくと、活動時と休息時のメリハリがつくようになり、その結果、自立神経の働きの切り替えがスムーズになり、質の良い睡眠に繋がっていくはずだ。

筋肉の状態を整えておく

寝る前に筋トレ後だけでなく、こまめにストレッチをすることは体を整えるのに役立つ。ここではおすすめのストレッチを紹介する。日中に行う時間がないという人は、寝る前だけでもいいので取り入れてほしい。

全身のストレッチ

1.両膝をしっかり伸ばして、仰向けに寝る。両手を頭上にあげ、まっすぐ伸ばして両手を組んでおこう。
2.両手・両足がそれぞれ引っ張られているように意識しながら、グーッと力を入れ伸びをする。10秒ぐらい伸ばすようにしよう。
3.10秒立ったら一気に脱力し、深呼吸を行う。
4.この動作を3セット繰り返し行う。

腰から股関節周りのストレッチ

1.両手は開き体の横で床につき、仰向けに寝る。この時、両膝は立てておく。
2.右足首を左膝に乗せるように脚を組む。そのまま、腰〜股関節を右側に捻るように倒していく。この時、床から肩が離れないように注意しよう。
3.腰や股関節周りが伸びているのを感じながら、20秒間キープする。
4.反対側も同様に行う。

肩甲骨周辺筋群のストレッチ

1.前ならえのように肘を真っすぐに伸ばしたまま両手を前に伸ばす。手のひらは内側に向けておこう。
2.伸ばした腕を、手のひらを外に向けるように捻りながら肘を曲げて引いていく。
3.両方の肩甲骨が内側に寄るように、後ろまでしっかり引ききろう。この時、手のひらは外側を向いている状態だ。
4.手のひらを元に戻しながら肘を伸ばし、元の姿勢に戻る。
5.この動作を10回繰り返し行う。
ストレッチをする際、寝る前は特に呼吸に意識してみよう。深い呼吸を心がけながらストレッチを行うことで、心拍数を落ち着かせ、リラックス感を高めることができる。

習慣化のための工夫:筋トレと快眠を両立するライフスタイル

最後に、寝る前の筋トレを習慣化するためのヒントをいくつか挙げてみよう。

運動・栄養・休養のバランスが最も重要

筋トレをすれば体が変わるかといえば、そうではない。筋トレだけでなく、栄養摂取や適切な休養をバランスよく行うことが必要なのだ。寝る前にハードな筋トレをして、睡眠をおろそかにしてしまったり、栄養摂取をおろそかにしてしまえば、体の変化は起こりにくくなってしまう。

そのことを十分頭に入れ、筋トレや栄養摂取、休養のメニューをセットにして組んでいくようにしよう。

休養のために良い睡眠を心がけよう

質の高い睡眠は、フィジカルだけでなくメンタルの安定にも欠かせない。しかし、睡眠は仕事や遊びに優先され、おろそかにされがちだ。毎日眠いなど、睡眠不足を感じている人も多いだろう。

睡眠不足になるには必ず原因がある。
普段寝つけないのは、寝る前の行動に原因がある場合があるのだ。このような行動をしていないだろうか?自分の行動を振り返ってみよう。

寝る前にPCやスマホの画面を見ている

スマホで動画を見たり、SNSでやりとりをしたり、大音量で音楽を聴くなどは、脳を覚醒させてしまい、眠りにつきにくくなる。

布団に入ったまま、考え事などをしている。

人間関係や仕事での悩みなどの考え事も、脳が覚醒してしまう。

コーヒーなどカフェンを含む飲み物を摂取している

カフェインは覚醒作用のある代表的な成分だ。

これは代表的な例だが、寝る前は脳や体に強い刺激を与えないようにする必要がある。筋トレも同様に、寝る前は軽い負荷にしておくことを心に留めておこう。

入浴は睡眠の質を高める

寝つきを良くするためには、体温を上手くコントロールすることがポイントだというのは先述の通りだ。そのため、入浴を計画的に行うことで、睡眠へ導入しやすくなる。
良い睡眠のための入浴のポイントは、体温が下がる時間。上昇した体温が元に戻るのに要する時間が約90分だといわれている。そのため、寝る90分前に入浴すれば睡眠の質も高まるのだ。

逆に、すぐに寝たい場合は、体温の上昇をできるだけ抑えたい。すぐに寝るなら体温を上昇させないシャワーがおすすめだ。

まとめ

筋トレはいつ行っても同じように効果はでるが、夜寝る前の筋トレにはいくつかのメリットがある。ただ、注意しなければならないのが、睡眠の妨げになる可能性があるということだ。

睡眠時間を削って深夜に筋トレを行うという人もいるだろう。しかし、体を変えるなら、筋トレと同じくらい睡眠も大切だ。そのことをしっかり頭に入れ、うまく寝る前の筋トレを組み込み、体づくりと良い睡眠へとつなげていくようにしよう。
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