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「日本酒のアルコール度数」はどのくらい?「日本酒度数との違い」は?
それでも具体的にどれくらいのアルコール度数なのかと聞かれて答えられる人はそう多くはないはずだ。
本記事では、日本酒のアルコール度数の平均的な数値や甘口・辛口への影響などをわかりやすく解説する。
ほかのお酒との比較や日本酒度数との違いなども紹介するので、ぜひ最後までご覧いただきたい。
日本酒のアルコール度数とは?平均どのくらい?
平均的な日本酒のアルコール度数も紹介するのでぜひ参考にしてほしい。
日本酒のアルコール度数の定義
成分の大部分は水であり、液体の中にいくらかアルコールが含まれているという形だ。
したがって日本酒におけるアルコール度数とは「その日本酒の中にどれだけの割合でアルコールが含まれているか」ということを意味する。
たとえば100ミリリットルの日本酒があったとして、その中の20ミリリットルがアルコールならば、その日本酒のアルコール度数は20度(20%)だ。
計算式は以下のようになる。
アルコールの量 ÷ 日本酒の量 × 100 = 日本酒のアルコール度数
一般的によく見かける日本酒の瓶のサイズである720ミリリットルの瓶(四合瓶)があったとする。
そこにアルコール度数が20度の日本酒が入っているならば、含まれるアルコール量は144ミリリットルだ。
計算式は以下のようになる。
日本酒の量 × (日本酒のアルコール度数÷100) = 日本酒のアルコールの量
たとえば日本酒を一合(180ミリリットル)飲むとしても、
アルコール度数が10度の日本酒ならば18ミリリットルのアルコールを摂取するが、20度ならばその倍の36ミリリットルの摂取となる。
日本酒のアルコール度数の平均値
結論からいえば日本酒のアルコール度数の平均値は15度前後だ。
詳しくは後述するが、日本酒にもアルコール度数が低いものも高いものもある。
しかし5度以下や30度以上ということはなく、おおむね14度から17度くらいのものが多い。
したがって平均的な日本酒のアルコール度数となると15度前後だといえるわけだ。
製造過程では15度を超えることも少なくないが、出荷する前の品質調整として加水することによって15度前後に落ち着く傾向にある。
スーパーや酒屋などで日本酒を選ぶ際には、ぜひラベルに書かれたアルコール度数を見比べてみてほしい。
多くの日本酒のアルコール度数が14度から17度くらいの値になっていることがわかるはずだ。
日本酒のアルコール度数は他のお酒と比べて高い?低い?
ビール・ワイン・焼酎など、代表的なお酒のアルコール度数をまとめて紹介する。
それぞれの平均的な値は以下のとおりだ。
ビール | 4〜7% |
ワイン | 12〜15% |
焼酎 | 20〜25% |
ウィスキー | 40〜55% |
焼酎やウィスキーは日本酒よりずいぶん高いアルコール度数だが、これは醸造酒か蒸留酒かの違いに起因している。
焼酎・ウィスキーやジン・ウォッカ・テキーラなどの蒸留酒は、アルコール発酵したお酒を蒸留することで水分を減らしてアルコールの純度を高めているので、必然的にアルコール濃度が高くなる。
中でもポーランドを原産地とするウォッカの「スピリタス」は、96度という世界最高のアルコール濃度を誇るお酒として有名だ。
それに対して日本酒・ビール・ワインなどの醸造酒は原料をアルコール発酵させた段階で完成形となるので、そこまでアルコール濃度が高くなることはない。
蒸留酒と比べれば、日本酒のアルコール濃度は高いとはいえない。
ただし日本で消費されているアルコールは、ビール・発泡酒、ワインなどの醸造酒、チューハイが大半を占める。
その意味では、日常的に飲まれているお酒の中では、日本酒のアルコール度数は決して低いほうではないといえるだろう。
アルコール度数の日本酒の甘口・辛口への影響
日本酒には甘みを感じやすい「甘口」と甘みを感じにくい「辛口」があるが、アルコール度数はそこに大きく関わっている。
一般的に、アルコール度数が高いほど辛口に感じやすいといわれているのだ。
その理由はアルコールの「刺激」だ。
人間の舌は刺激を「辛い」と感じるといわれており、アルコールは人間に刺激を感じさせる物質だ。注射のときにアルコール消毒をすると皮膚がヒヤッとする刺激を感じた経験があるだろう。
アルコールの濃度が高いほど強い刺激となるので、アルコール度数の高い日本酒ほど辛口に感じやすいというわけだ。
ただし日本酒の甘い・辛いはほかの要因によっても左右されるので、アルコール度数が高い日本酒ならば必ず辛口というわけではない。
たとえばバナナのような香りを持つ日本酒は甘く感じやすいし、冷酒で飲む場合よりもお燗で飲む場合のほうが甘みを感じやすい。もちろん人それぞれの味覚・好みによるところも大きい。
アルコール度数が高い日本酒ほど辛口に感じやすいというのは、あくまで一般的な傾向だと思っておいてほしい。
アルコール度数が高い日本酒の特徴とおすすめの飲み方
まず日本酒の場合は、アルコール度数の高さに限界があることを知っておいてほしい。
ずばり日本酒のアルコール濃度は22度くらいが上限だ。
理由は二つある。
一つは製造方法にある。
日本酒はお米を糖化させた後にアルコール発酵させてつくられるのだが、アルコール発酵を促す酵母は実はアルコールの中で生存することができない。アルコール濃度が20度前後で死滅してしまうといわれている。
つまり日本酒の発酵が進んでアルコール濃度が高まるほど酵母は死滅していくため、それ以上アルコール発酵させることが不可能になっていくというわけだ。
もう一つは法律上の理由だ。
酒税法により、日本酒として販売できるお酒は22度未満と定められている。
製造法を工夫すればお米を原料に22度以上のお酒をつくることも可能なのだが、その場合は日本酒とは認められず、雑酒やリキュールに分類される。
これら二つの理由から、日本酒のアルコール度数は高くても22度未満が限界となっているのだ。
アルコール度数が高い日本酒を味わいたいのであれば、原酒を選ぶことをおすすめする。
原酒とは製造過程で加水されていない日本酒を意味するので、アルコール度数が高い傾向にある。
おすすめの飲み方
カクテルが好きならばコーラやカルピスで割るのも手軽でおいしいし、炭酸水で割る「サケハイボール」も人気が高まっている。
アルコール度数が低い日本酒の特徴とおすすめの飲み方
15度前後の一般的な日本酒と比べると数は多くはないが、いわゆる「低アルコール」の日本酒も市販されている。
5度から10度くらいのアルコール度数の日本酒は昔よりも多く見かけるようになってきたので、インターネット検索などでぜひ探してみてほしい。
アルコール度数が低い日本酒は甘口が多いのが特徴だ。
炭酸入りのスパークリング日本酒も低アルコールのものが多いので、ふだんあまり日本酒を飲まない人でも飲みやすいだろう。
おすすめの飲み方
日本酒のアルコール度数と日本酒度数との違い
日本酒には「日本酒度」という指標があるが、アルコール度とはまったく別のものだ。
日本酒度はプラスやマイナスの数値で示され、そのお酒がどれくらい辛口なのか・甘口なのかを表している。
プラスの値が大きいほど辛口で、マイナスの値が大きいほど甘口だ。
たとえばプラス3ならやや辛口で、マイナス10ならかなり甘口といった具合である。
辛い・甘いは香りや温度など、ほかの要因の影響も大きいので、日本酒度がプラスでも甘く感じることもよくあるが、日本酒を選ぶときの一つの基準にはなるので覚えておいて損はない。
なお、アルコール度数が低い日本酒には甘口のものが多いが、超甘口でもアルコール度数が高い日本酒も存在する。
代表的なのは水の代わりに日本酒で日本酒を仕込む「貴醸酒」だ。
貴醸酒は、日本酒度がマイナス30を超えるのが珍しくない超甘口のお酒だが、それでもアルコール度数が17度を超えるものも数多くある。
日本酒の中では貴醸酒はやや値が張るものが多いが、「デザートのように甘いけど、ガツンとアルコール感も楽しめる日本酒」を味わいたいのであればぜひ試してみてほしい。
まとめ
日本酒のアルコール度数は、大まかな目安として「15度くらいで、ワインと同じくらい」と覚えておくのがおすすめだ。
なお、純米酒・吟醸酒や無濾過・生酒などの違いはアルコール度数には直接は関係しない。
アルコール度数が高い日本酒を求めるならば原酒を、低い日本酒を求めるならばスパークリングを選ぶと見つけやすいので試してみてほしい。
著者プロフィール
中村サッシ
元・蔵人の利き酒師。信州で100年以上続く蔵で日本酒を造っていました。飲み比べが趣味で、全国各地のお酒を試したり、同じ酒蔵の何種類かのお酒を試したりして違いを言語化するのをライフワークにしています。夜はビール・ワイン・ウイスキーなども嗜みつつ、昼間はコーヒーのテイスティングも実践中。
中村サッシ
元・蔵人の利き酒師。信州で100年以上続く蔵で日本酒を造っていました。飲み比べが趣味で、全国各地のお酒を試したり、同じ酒蔵の何種類かのお酒を試したりして違いを言語化するのをライフワークにしています。夜はビール・ワイン・ウイスキーなども嗜みつつ、昼間はコーヒーのテイスティングも実践中。
飲酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児に悪影響を与える恐れがあります。