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(更新: ORICON NEWS

大吟醸とは?特徴、おすすめの飲み方、純米大吟醸酒との違い【きき酒師が教える日本酒】

大吟醸とは?特徴、おすすめの飲み方、純米大吟醸酒との違い【プロが教える日本酒】

【文・監修者プロフィール】
  • きき酒師の漫才師 「にほんしゅ」<あさやん(左)・北井一彰(右)>

きき酒師の漫才師
にほんしゅ(あさやん・北井一彰)
あさやん(左)
・きき酒師・国際きき酒師
北井一彰(右)
・きき酒師・国際きき酒師・日本酒学講師・焼酎きき酒師
【プロフィール詳細】
コンビ揃って「きき酒師」の資格を取得している世界で唯一の漫才師。
《食卓には呑む日本酒。話題には漫才師にほんしゅ。》を目標に、オンラインも含めて全国各地の日本酒イベントや蔵開きに出演している他、初心者向けの日本酒講座「日本酒ナビゲーター認定講座」を定期的に開催しており、2021年5月現在では800名以上の生徒を誕生させ、きき酒師や日本酒ナビゲーターの資格認定団体、NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)から特別功労賞を与えられた。

■HP にほんしゅ公式WEBサイト(外部サイト)
日本酒にあまり詳しくなくても「大吟醸」という言葉は聞いたことがあるという方も多いでしょう。
なんとなく「いいお酒」「高級な日本酒よね?」といったイメージがあるのではないでしょうか?ちょっと詳しい方なら「大吟醸はワイングラスで飲むといいのよね?」なんてイメージを持っているかもしれません。
今回はそんな大吟醸の魅力を基本から解説させていただきます!

大吟醸とは?

■大吟醸酒の原料

大吟醸酒の原料は「米」「米麹」「醸造アルコール」と規定されています。

酒類業組合法という法律で決められている「特定名称酒」という基準が現在の日本酒を語る上で基本となり、今回のテーマの大吟醸酒や純米酒、本醸造酒など計8つに分類されています。「原料に何を使ったか」「お米をどれだけ磨いた(削った)か」「吟醸造りをしたか」といった日本酒の原料や製法などの「日本酒の中身」で分類されています。


■大吟醸酒の精米歩合

大吟醸酒の精米歩合は50%以下と規定されています。

「精米歩合」とは「どれだけお米を削って日本酒の仕込みに使ったか」を表す数値のことで、全く削っていない玄米の状態が精米歩合100%で、精米歩合60%だと玄米の表層部40%を削って60%が残っている状態です。削り飛ばした方の数値じゃなくて「白米として残っている方の数値」なんですね!ですので大吟醸酒を名乗るためには半分以上お米を削る必要があります。
精米歩合50%だと玄米100kgに対して50kgがお酒の仕込みに、50kgが米ぬかに。ということになります。贅沢ですねー!これだけ贅沢にお米を削る理由は「お酒の味わいをスッキリ綺麗にするため」です。お米の表層部にはタンパク質や脂肪、灰分、ビタミンなどが多く含まれ、これらの成分は食べる時にはいいのですが、お酒の仕込みに使う場合は雑味に繋がることがあるので日本酒の仕込みにおいては贅沢にお米を削るんですね。その最たるものが大吟醸です!近年では精米歩合が一桁という驚きの大吟醸まで登場しています。

ちなみに「お米を削る」と言うより「お米を磨く」と言った方がちょっと日本酒通っぽいです!


■大吟醸酒の製法

「吟醸造り」といわれる製法で醸(かも)されるのが大吟醸酒や吟醸酒。

具体的には低温で長期間発酵させる製法のこと。大吟醸酒などのラベルを見るとたまに「長期低温発酵」なんてことが書かれていることもあります。日本酒のアルコール発酵の主役は酵母菌という微生物で、タンクの中で米麹がつくる糖分を酵母菌が食べてその代わりにアルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)を出します。

アルコール発酵は「甘いもの(糖分)をいただいたので、かわりにお酒(アルコール)でもどうぞー!」という酵母菌の気遣いによるものです。お酒好きの方は酵母菌に感謝しましょう。

酵母菌は微生物なので発酵しているタンクの中の温度が高い方が元気に活動できてどんどん糖分を食べてスピーディにアルコールに変えていけるのですが、それが行きすぎると狙っていた香りや味にならない可能性が高まります。そのため日本酒造りは基本的には秋から春までの気温が低い時期に行われ、その中でも大吟醸酒は真冬の極寒期に仕込むことが多く、酵母菌にとっては厳しい、活動しにくい状況でじわじわと発酵させていきます。そうすることでリンゴやバナナのようなフルーティな香り(吟醸香)がより引き出され、味わいも繊細で上品なものになります。

まとめると吟醸造りの長期低温発酵とは
「酵母菌さん、今回は大吟醸なので納期までの期間をたっぷり取っていただいて大丈夫です!その分ゆっくりと丁寧な仕事をしてくださいねー!」というイメージです。

大吟醸酒の特徴

■大吟醸酒の味の特徴

大吟醸の味わいは繊細で上品なものが多いです。日本酒通の中で「味吟醸」と呼ばれる繊細ながら旨味もしっかり感じられるタイプもありますが、先述したように雑味が出ないようにたっぷり精米したうえに、長期間かけて丁寧に醸される大吟醸酒の味わいはなめらかで上品!贅沢な味わいを堪能しましょう。


■大吟醸酒に合う料理

大吟醸酒の特徴は「フルーティな香り」と「上品でなめらかな味わい」。お酒と料理を合わせるときの基本は「同調」です。「似たような風味のお酒と料理って合わせやすいよね!」というシンプルなお話ですね。

香りが強いので日本酒の中ではやや料理を選ぶとも言われる大吟醸ですが、特徴を理解していれば心配無用です。

フルーティな香りの要素を考えると「果実」や「香草」などが浮かびます。上品、繊細、なめらか、といった味わいの要素でいうと淡白な白身魚や、鶏のささみなどが浮かびます。こういった食材の料理に果実や香草を薬味として使用すると効果的ですね!味付けは酸味を意識するとより合わせやすいです。ゆずやかぼす、すだちなどの和柑橘を仕上げに使うといいですね!

「白身魚のお造りゆずポン酢」「鶏ささみのたたき」「山菜の天ぷら、おひたし」など爽やかな和食や、洋食でいうと「白身魚のカルパッチョ柑橘風味」「タコのマリネ香草風味」などが相性のいい料理の一例です。
個人的に忘れられないのが「アクアパッツァ」と大吟醸の相性の良さです。大吟醸はあまりガブガブと飲むものではないですが、爽やかな味わいながらもトマトや魚の旨味もしっかり感じられるアクアパッツァを食べると大吟醸を飲む手が止まりませんでした。

あとはベトナム風生春巻きパクチーのサラダなんかもなかなか相性がいいですよ!


■大吟醸酒はこんな人におすすめ

大吟醸酒は高級なので、お酒にかけられる予算がたっぷりある方におすすめです!と言うと身もふたもないのでおすすめのシーンを紹介します。

いいことがあった日や「今日は頑張った!」と思える日、大切な家族、友人、恋人との乾杯で飲むと特別感が演出されていいですね!そういった華やかなシーンにぴったりなのが大吟醸です。母の日や父の日、敬老の日の贈り物なんかにもおすすめです。


■大吟醸酒の最適な飲み方

日本酒をより美味しく飲むために気にしたいポイントが「温度」と「器」です。大吟醸が持つフルーティな香り(吟醸香)をもっとも感じやすいのが10〜15℃といわれます。これは意外と簡単で、家庭用冷蔵庫に入れておいて冷蔵庫から出してすぐ飲めばこの温度帯です。

器はおちょこでもいいですが、より香りを楽しむためには湾曲性の高いブルゴーニュ型のワイングラスなどがおすすめです。繊細で上品な味わいも楽しみたいのでふちが薄いグラスの方がいいですね!近年では日本酒の大吟醸用グラスも色々と発売されています。

100均ショップで売られている100円のワイングラスはふちが分厚いので味わいを繊細に感じるのは難しいですが、100均ショップに300円程度で売られているワイングラスならかなりふちも薄いものがあります!そういうグラスなら家飲みで十分に香り、味わいを楽しめると思います。

大吟醸と「吟醸」「純米吟醸」「純米大吟醸」との違い

ここまで「大吟醸」に絞ってお話してきましたが、「そういえば純米大吟醸とか吟醸とかもあるよね?どう違うの?」と疑問に思われた方もいらっしゃると思います。「吟醸」と名のつく日本酒は「吟醸」「大吟醸」「純米吟醸」「純米大吟醸」の4つです。

低温でじわじわと丁寧なアルコール発酵をさせる「吟醸造り」は共通していますので「フルーティな香り」や「上品でなめらかな味わい」という傾向は基本的には同じです。違いを話すときに肝となるのは「米・米麹以外に醸造アルコールを使用したかどうか」と「精米歩合の違い」です。


■原料の違い

原料の部分でカギとなるのが「醸造アルコール」。これを入れずに米と米麹のみを使用し、吟醸造りで醸した日本酒は「純米」を頭につけて「純米吟醸」や「純米大吟醸」と名乗ります。醸造アルコールを入れると「純米」と名乗ることはできません。

醸造アルコールとはいわゆる甲類焼酎と同じ製法で造られた蒸留酒のことで、原料は糖蜜(廃糖蜜)やとうもろこしを使用することがほとんどです(米を使用したものもあります)。甲類焼酎ってウーロンハイや緑茶ハイ、レモンチューハイなどに使われるスッキリした焼酎のことですね。関東を中心に人気のホッピーの「ナカ」も甲類焼酎ですね!


■精米歩合の違い

精米歩合の違いが吟醸酒か大吟醸酒かの違いです(純米吟醸と純米大吟醸も同様)。

精米歩合60%以下という規定が吟醸酒と純米吟醸酒で、精米歩合50%以下という規定が大吟醸酒と純米大吟醸酒です。「大」がつくかどうかは「より贅沢にお米を削ったか」の違いがポイントです。


■作り方の違い

酒蔵さんによって吟醸酒より大吟醸酒の方がより発酵期間を長く取ることもあるかと思いますが、基本的に「吟醸」と名のつく限りは長期低温発酵で丁寧に醸します。


■香味の特徴の違い

ここも「醸造アルコール」がカギとなります。

「お米を贅沢に削って時間をかけて丁寧に仕込んでなんで最後甲類焼酎(醸造アルコール)入れるの?純米の方がなんかよくない?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、醸造アルコールにはちゃんと役目があるのです!

発酵期間の最後の最後に醸造アルコールを少し添加すると、もろみを搾って酒粕と日本酒に分ける時に酒粕に残ってしまう香気成分を日本酒の方に引っ張ってきてくれるのです。

大吟醸酒の一番の特徴といえるフルーティな香りをより引き立たせてくれるのですから重要な役目を果たしていますよね!

そういう目的で醸造アルコールは添加されているので、一概には言えませんが純米大吟醸より大吟醸の方が香りが高く味わいもスッキリしている傾向があります。

大吟醸酒に定評のある酒蔵の方から「最初から純米大吟醸か大吟醸かを決めているわけじゃなくて、もろみの発酵を見極めて香りがしっかり出てたらその特徴をより活かすために醸造アルコールを添加して大吟醸にするんです。もろみの意見を聞くんですよ。」というお話を聞かせていただいた時は思わず唸りました。酵母菌をはじめとする微生物たちへのリスペクトが感じられますね!


■おすすめの大吟醸5選

「出羽桜 大吟醸」(山形県)

「出羽桜 大吟醸」(山形県)

画像提供:出羽桜酒造株式会社

■インターナショナル・ワイン・チャレンジ2021SAKE部門 大吟醸の部 金賞 受賞
■特徴・おすすめポイント
大吟醸酒の歴史を語るのに欠かせないのが山形県の「出羽桜」。「吟醸酒といえば出羽桜」と言われるほどの銘柄で、大吟醸のお手本のようなお酒です。

フルーティな香りと繊細ながらも優雅な味わいが存分に楽しめます。

「大吟醸ってどんな味わい?」と思われている日本酒初心者の方にまず味わっていただきたい一本です。


・希望小売価格(720ml)
火入 3,500円(税抜)
本生 3,700円(税抜)

・蔵元、酒蔵 公式サイト
出羽桜酒造株式会社(外部サイト)

「福寿 大吟醸酒」(兵庫県)

「福寿 大吟醸酒」(兵庫県)

画像提供:神戸酒心館

■インターナショナル・ワイン・チャレンジ2018 2019 SAKE部門 大吟醸の部 金賞受賞
■インターナショナル・サケ・チャレンジ2017 金賞受賞
■特徴・おすすめポイント
酒米の王様山田錦の原産地でもあり、最大の日本酒生産量を誇る兵庫県の灘で醸される大吟醸酒。ノーベル賞の公式行事で提供されるお酒としても有名。

白桃や梨をおもわせるみずみずしい香り。上品でスムースな口当たりで、香りの持続性が高い大吟醸酒。まろやかで繊細なお料理や甲殻類とも相性が良い。

・神戸酒心館オンラインショップ価格(720ml)
3,300円

・蔵元、酒蔵 公式サイト
神戸酒心館(外部サイト)

「大吟醸 虎変」(愛知県)

「大吟醸 虎変」(愛知県)

画像提供:金虎酒造株式会社

■全国新酒鑑評会金賞(5年連続)
■特徴・おすすめポイント
名古屋市内で醸される日本酒。名古屋の風土に合わせて続けてこられた金虎酒造の酒造りは、慎重に味のバランスをとる事で、呑みやすさを保ちつつも味の広がりが感じられるお酒として磨き上げられました。味わいがしっかりした料理が多い名古屋の食にも合う大吟醸です。

フローラルな百合のように品格のある香りと、バナナのような吟醸香に、味わいはほのかで柔らかな甘みと控えめな酸味があり、スッキリとキレる絶妙なバランス。ややコクのある大吟醸が飲みたいという方におすすめです。

・店頭価格(720ml)
2,750円(税込)

・蔵元、酒蔵 公式サイト
金虎酒造株式会社(外部サイト)

「会津ほまれ 大吟醸酒」(福島県)

■特徴・おすすめポイント
各種コンテストでも大活躍で今や日本酒を語る上で欠かせない福島県の地酒。

その中でも安定した酒質に定評がある「会津ほまれ」

酒米の王様「山田錦」を贅沢に39%まで磨き、杜氏の技術と精魂が凝縮された逸品。
大吟醸ながら香りはあえて控えめに、キレの良さと深い味わいで、いろいろな料理に合わせられるのがおすすめポイント。

蔵がおすすめするおつまみは中トロ。旨味が同調したあと、キレの良さで中トロの脂を流してくれます。

・ほまれ酒造オンラインショップ価格(720ml)
3,850円(税込)

・蔵元、酒蔵 公式サイト
ほまれ酒造株式会社(外部サイト)


「文楽 大吟醸」(埼玉県)

「文楽 大吟醸」(埼玉県)

画像提供:北西酒造株式会社

■特徴・おすすめポイント
世界最大級のコンテスト「IWC(インターナショナルワインチャレンジ )」2021の日本酒部門大吟醸カテゴリーにて「文楽 大吟醸無ろ過原酒 中汲み」が最高賞のトロフィーを受賞。世界が認める大吟醸を造る北西酒造。

贅沢に磨き上げた山田錦を低温でじっくり醸してつくりあげられた大吟醸。 手をかけることを惜しまずにつくりあげられたお酒は、 口をつけるとやわらかな甘味と気品あふれる香りが広がり、 繊細な味わいを存分にお楽しみいただけます。 飲み終わりには凛とした切れ味を伴い、均整の取れた秀逸な味わい。大吟醸が持つ魅力が凝縮された一本。

・北西酒造オンラインショップ価格(720ml)
3,432円(税込)

・蔵元、酒蔵 公式サイト
北西酒造株式会社(外部サイト)

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回紹介させていただいた大吟醸酒以外にもたくさんのおすすめ銘柄があります。

近年はあまりお米を削らずに味わいをしっかり出した純米酒なども支持が高いですが、造り手さんの技術や思いが詰まった蔵の看板ともいえる大吟醸酒もぜひ飲んでみてください!一つの酒蔵でも純米酒と本醸造酒、大吟醸酒では香りも味も違うものです。

僕は刺身ではマグロが大好きなのですが、「今日はいいことがあったから贅沢に大トロ!」「普段は赤身がいいよね」みたいな感じで大吟醸や純米酒を飲み分けています。そんな風にシーンごとに日本酒を飲み分けできると大人の呑兵衛の仲間入りです!
(文/にほんしゅ 北井一彰)
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