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日本酒に賞味期限はある?未開封時の賞味期限と開封後の保存方法【きき酒師が教える日本酒】
【文・監修者プロフィール】
にほんしゅ(あさやん・北井一彰)
あさやん(左)
・きき酒師・国際きき酒師
北井一彰(右)
・きき酒師・国際きき酒師・日本酒学講師・焼酎きき酒師
コンビ揃って「きき酒師」の資格を取得している世界で唯一の漫才師。
《食卓には呑む日本酒。話題には漫才師にほんしゅ。》を目標に、オンラインも含めて全国各地の日本酒イベントや蔵開きに出演している他、初心者向けの日本酒講座「日本酒ナビゲーター認定講座」を定期的に開催しており、2021年5月現在では800名以上の生徒を誕生させ、きき酒師や日本酒ナビゲーターの資格認定団体、NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)から特別功労賞を与えられた。
■HP にほんしゅ公式WEBサイト(外部サイト)
日本酒に賞味期限はある?
※1)食品表示法等(法令及び一元化情報) | 消費者庁 食品表示基準統合版 P62・P63 参照(外部サイト)
■賞味期限がない理由
賞味期限がない理由は日本酒には比較的高い度数のアルコールが含まれており、開封しなければ健康を害するような腐敗をすることがまずないためです。
■消費期限はある?
消費期限も賞味期限同様ありませんが、家での保管だと少しずつ香味が変化していきますので、お酒のタイプを見極めて「この銘柄の日本酒は芯のある濃い味わいだから2年ぐらい、、、いや5年ぐらい寝かせてみても味わいがのっておいしいだろう!」という自己判断ができるような上級者の方以外は基本的には購入後できるだけ早めに飲むのが無難でしょう。
■ラベルに書いてある日付は何?
日本酒のラベルには賞味期限や消費期限の代わりに、「製造年月」が義務として必ず記載されています。これを賞味期限や消費期限と間違う方もいらっしゃるのでご注意ください!
日本酒に記載されている「製造年月」は文字通り、その日本酒が製造された年と月を表示したもの!ですが、ここでちょっと注意するべきポイントは製造年月に記載されている日付は「お酒をしぼった日(お酒として誕生した日)」ではないということです。
日本酒は通常、しぼってからろ過、火入れ、貯蔵・熟成などという過程を経て瓶詰めされます。日本酒の製造年月とは「瓶やパックなどの容器に詰めた日(商品として完成した日)」のことを指すんですね!
開封後どのくらいの期間ならおいしく飲める?
「吟醸」「純米吟醸」や「大吟醸」「純米大吟醸」など「吟醸」というワードが書かれた日本酒は購入後は早めに飲むことが望ましいです。吟醸系のお酒はお米を贅沢に磨き、低温でゆっくりと丁寧なアルコール発酵をさせることによりフルーティな香りと上品な味わいが特徴です。
その上品な香味を変化させないために開封前も開栓後も冷蔵保存が望ましく、開封後はできれば2〜3日以内に飲みきるとほぼ香味に変化がなく飲めます。長めにみても1週間ほどで飲みきることが望ましいでしょう。
●おいしく飲める期間:開封後2〜3日 長めに見ても1週間
■「純米酒(特別純米酒)」「本醸造(特別本醸造)」と書かれた日本酒がおいしく飲める期間
「純米酒(特別純米酒)」「本醸造(特別本醸造)」と書かれた日本酒は吟醸酒よりは香味の変化のスピードが遅い傾向があります。吟醸酒と比べると香りや味わいに落ち着きがあるものが多く、開栓後冷蔵保存をすれば10日〜2週間ほどは大きな変化がなく楽しめるものが多いです。
お燗酒でも楽しめるようなしっかりした味わいに仕上げられたタイプの純米酒や本醸造酒は開栓後1ヶ月ほどすると味わいがよりまろやかになったりもしますよ!少し日本酒に飲み慣れてきたらテイスティングをして「お!この日本酒はしっかり濃醇な旨味がある!」と思ったら慌てて飲み切らずに3日後、1週間後、1ヶ月後と香味の変化を楽しんでみるのもアリです!
●おいしく飲める期間:1ヶ月 (10日〜2週間ほどは大きな変化がなく楽しめるものが多い)
■「生酒」はできるだけ早めに!
気をつけるべきワードは「生酒」!通常の日本酒ではしぼった後に「火入れ(低温加熱殺菌)」をして品質を安定させるのですが、生酒は火入れをしない分、新鮮な風味を楽しめます。
しかしその分香味の変化が早い(香りがトーンダウンしたり、味わいが甘くだれていくなど)ので開封後も冷蔵保存で吟醸酒と同様に早めに飲みきっていただくことが望ましいです。「フレッシュなお刺身は早目に食べよう!」という感覚で生酒は取り扱ってください。
●おいしく飲める期間:開封後なるべく早めに飲み切る(お刺身の感覚で)
■長い期間開封したお酒でも熱燗にすればおいしく飲めるのか
開封後に日数が経っていても熱燗にすれば美味しく飲めるかどうか?は非常に難しいところですが、前述した通り生酒ではない純米酒や本醸造酒などは開栓後数日で急激に香味が変化するものは少ないので開封後2週間後、1ヶ月後などに熱燗にしても問題なく美味しく飲めるものが多いでしょう。
吟醸酒などフルーティな香りのお酒が開封後10日ほど経って香りが少しトーンダウンした時には思い切ってぬる燗(40℃)ぐらいにしてみるのもアリかと思います。「吟醸酒」や「生酒」は冷酒で飲むのが一般的です。燗酒にするとフルーティな香りはほぼ無くなりますが「あぁ、やっぱりお米でできたお酒なんだなぁ」という優しい気持ちになった経験も数多いです。冷酒で飲んだ時にはなかったホッとする旨味を燗酒で感じられるのも日本酒の魅力です!
未開封の場合はどのくらいまでなら飲める
とはいえ室温が高い夏季を除けば半年ほど台所の下など冷暗所で保管しても味が壊れず美味しく飲める日本酒もたくさんあるので全てのお酒に過保護になりすぎる必要はありません。
熟成酒とは?
実は日本酒の「熟成酒」を名乗るための法律的な基準はありません。一般的には3年以上熟成されてから「熟成酒」として商品化されるものが多いです。10年熟成ぐらいまでの商品はわりと簡単に手に入りますが20年熟成を超えるようになるとかなり流通しているものは限られます。通常の日本酒にはない琥珀色の美しい色調と濃醇、複雑な香味が特徴です。ブルーチーズやドライフルーツなどによく合いますよ!
日本酒の保管方法
「日本酒の香味をできるだけ変化させない」という一点を考えるとどんなタイプの日本酒でも冷蔵保存が良いでしょう。しかし「生酒」や「吟醸酒」「大吟醸酒」など品質変化が大きい日本酒でなければ台所の下など冷暗所保管(室温が25度を超えるような夏季はどんな日本酒も冷蔵保存推奨)でも大丈夫でしょう。
ここで、保管をする際の大事なポイントについてお教えします。
【日本酒を保管する際に大事なポイント1】
日本酒の保管で1番気を付けなければいけないのは実は「紫外線」です!太陽光はもちろんのこと蛍光灯の光にも要注意です。紫外線の影響を強く受けてしまった日本酒は焦げた木のような香りや獣臭が出てしまいます。そういった意味でも箱入りの日本酒なら箱入りのままの保管が望ましいです。
【日本酒を保管する際に大事なポイント2】
日本酒の保存はワインのように横向きにする必要はありません!逆にキャップ部分が錆びたりカビが生じるリスクがあるので冷蔵庫で立てて保存するのがベターです。
■保管に使える便利グッズ
ワインでもよく使われるバキュバンで空気を抜いて保存をするとコンディションキープ力がかなり上がります。
同じ吟醸酒で開封後バキュバンをしたものとしなかったものの飲み比べをしたことがありますが、1週間で香りがかなりトーンダウンする吟醸酒もバキュバンをすればほぼノーダメージ!という感じでした。
1500円程度で購入できるのでワインや日本酒好きの方は買って損はないと思います。酸化は相当お酒への影響が大きいです。酸化をできる限り防ぐという意味では残ったお酒を小瓶に移し替えるのも有効ですよ!
開封後に長時間が経った日本酒の活用術
活用術の一番手はやっぱり料理です!そもそも料理本のレシピに書かれている「お酒」とは食塩などが入っている料理酒ではなくシンプルに日本酒のこと。僕は鍋物にドバドバ入れます。出汁や鍋スープなどがなくても鶏肉と塩でシンプルな出汁を取り、醤油とたっぷりの日本酒で絶品の寄せ鍋のベースができますよ!
魚の生臭みを消しますし、肉や魚を軟らかくします。炒め物に少し足すだけで旨味やこくが出ますしどんな料理に入れても邪魔することはまずありません!
■活用術2
飲む以外も活用できる!「日本酒風呂」に「化粧水」!日本酒の原料である米麹の成分にあるアミノ酸には保湿・保温効果があり、泣けてくるほど贅沢ですが日本酒(純米酒が理想的)を3〜4合お湯に注いで浸かると体が芯から温まり、お肌がしっとりツヤツヤになります!
小さなスプレーボトルに日本酒(純米酒が望ましい)を入れて化粧水がわりにするのも良いと思います。化粧水として僕も使っていますが唯一の難点は朝、顔や手に振りかけた時点でもうお酒が飲みたくなることです。
※お肌に異常が生じていないかよく注意して使用してください。
まとめ
日本酒は「紫外線」「高温」が大敵ですので家庭では冷蔵庫や冷暗所での保存が望ましいですね!そして開封後は1週間程度を目安に(しっかりした酒質のものは開栓後一ヶ月以上してもおいしいものある)飲みきると香味に大きな変化がなく楽しめるかと思います。そして明らかに香味が落ちてしまったかなぁという日本酒は料理やお風呂に!適切な管理をすることで日本酒ライフがより充実します!
それでは今夜も日本酒でかんぱ〜い!!
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