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ガンプラ売り場で売れ残る“やられ”モビルスーツに魅せられたモデラーの決意「不遇なグスタフ・カールを最強の機体に仕上げる」

 ガンプラモデラーは、それぞれがこだわる「ライフワーク」を持っている人が多い。旧キットにこだわる人、アニメ塗を極める人、if設定で“専用機”を作り続ける人などそのこだわる「シリーズ」は人それぞれ。人気モデラーのル・クルーゼさん(@le_creuset3)は、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する量産型のモビルスーツ(MS)であるグスタフ・カールのカスタムを「ライフワーク」とし、これまでにさまざまな仕様の同機を作り上げてきた。ガンプラ売り場でも売れ残る“不人気MS”に魅せられた理由とは?

どこの店でも売れ残り…、よく見ると「重装甲でかっこいいのでは!?」

――「フルアーマーグスタフ・カール サンダーボルトバージョン」がSNSで賞賛されたほか、4月に行われた「模Q展in若松DAYBREAK」のコンテスト部門で金賞を受賞しました。率直な感想をお聞かせください。
ル・クルーゼ参加者や一般観覧客の皆さんの投票で選ばれたのでとても光栄でした。こういったコンテストで優勝したのは初めてで、とてもうれしく今後の模型活動の励みとなりました。皆さんから「違和感がない」「重武装がマッチしてかっこいい」「JAZZが似合うグスタフ・カール」などうれしいお言葉を頂きました。また、「いつもどこからグスタフ・カールのキットを手に入れるんですか???」という質問(?)もいただきました(笑)。

――グスタフ・カールは、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する量産型MSです。ご自身はライフワークのように同機のカスタムを行い、発表されていますね。
ル・クルーゼはい。私とグスタフ・カールとの出会いは、まだコロナ前で模型売場の商品棚に潤沢にガンプラがそろっていた頃。第一印象は「なんで片方のアンテナが折れてるんだろう?(笑)」で、どこのお店に行っても売れ残っているグスタフ・カールを見て「人気ないんだな〜」といつも哀れみの目で見ていました。どのシリーズに出ていたのかも知らなかったし、見たことなかったのでいつもスルーしていました。

――いつから気になる存在になったんですか?
ル・クルーゼある時、グスタフ・カールをよく見てみたんです。すると量産っぽいフェイスの割には重厚感のあるボディ、どっしりとした下半身で「重装甲で圧倒的な火力と防御力を持つ、ダブルオーガンダムのヴァーチェみたいでカッコいいのでは!?」と感じました。
 しかし実際の劇中では、量産機ならではの“やられメカ”で、活躍する場面がなく不遇な機体。ポテンシャルは高そうなのに活躍できない…。せっかくなのでヴァーチェとのミキシングで自分好みの最強のグスタフ・カールを作ろうと思いついたのが、現在のグスタフ・カールシリーズの始まったきっかけでした。

――そこからさまざまな機体とのミキシングが始まったわけですね。
ル・クルーゼそうですね。「不遇なグスタフ・カールを最強の機体に仕上げる」をコンセプトに掲げ、これまでに、ヴァーチェ、ラファエル、GP-02、ガンキャノン、スタークジェガン、リゼルなどとのミキシングを行いました。
 ミキシングする機体の選定は「どっしりとしたスタイル」「重武装」「キャノン」「巨大なバックパック」などグスタフ・カールのわがままボディに負けない重装備を持つ機体を選んでいます。しかしいつも同じHGのキット同士だとなぜかサイズが小さく貧相なのでMGのパーツを使います。そのほうがサイズぴったりでより迫力が出ていると思います。

『サンダーボルト』に次世代機として登場「どちらかというと拠点防衛向き」

――本作は、「サンダーボルトバージョン」と銘打たれていますが、実際の『サンダーボルト』に同機は登場しません。
ル・クルーゼ登場しませんね(笑)。『サンダーボルト』は一年戦争末期のお話なので、グスタフ・カールが登場するのはまだまだ先の時代ですね。

――ではどういったイメージで制作されたのですか?
ル・クルーゼ先述の通り、グスタフ・カールには「重武装」「巨大なバックパック」が似合うと思っています。フルアーマーガンダムのそれはまさに理想的で絶対にマッチすると確信していました。そしてちょうど『水星の魔女』シーズン1と2の間に『サンダーボルト』のテレビエディションが放映され、フルアーマーガンダムのカッコよさに心奪われ、一気に制作意欲が高まりました。
 『サンダーボルト』の劇中には、ブルGというグスタフ・カールに似たどっしりとした体形の機体が出てきますし、ゼータやマークU、百式という次世代機も登場したのでパラレルワールドで、サイコザクとの戦いでガンダムを失ったイオ・フレミングにアナハイムから取り寄せた次世代機というのもありかなと思いました。

――素晴らしい考証&設定ですね。本機は4つのシールドが印象的ですが、どのような特徴を持っているのですか? 
ル・クルーゼイオのライバルであるダリルのサイコザクは、多くの武装を積んでおり、フルアーマーガンダムもボロボロになり敗れました。それに対抗するため重装甲のグスタフ・カールに4枚シールドを持たせ、さらに鉄壁な防御としました。攻撃力もフルアーマーガンダムと同様で申し分ありません。ただし機体が重いため、素早い動きと正確な射撃の腕を持つダリルの格好の的になってしまうかもしれませんね(笑)。どちらかというと拠点防衛向きですね。

――制作時のこだわりを教えてください。
ル・クルーゼこだわったのは圧倒的迫力の4枚シールドの展開と武装類の移植です。各種ミサイルポッドも開閉可能でフルバースト状態を再現できるようにしました。またフルアーマーガンダムの独特なボディのカラーである黒っぽいブルーを表現するのに、ガイアカラーのプリズムブルーブラックを使ったところです。とてもきれいなカラーでイメージ通りのカラーリングとなりました。また、両肩と両足のスラスターとミサイルポットの移植は、形状が合わなくて違和感なく接続するのが大変でした。

――その苦労を感じさせないクオリティはさすがですね。今後やってみたいグスタフ・カールカスタムの構想はありますか?
ル・クルーゼまだまだプランはたくさんあります。次に考えてるのはAOZシリーズのヘイズル・アウスラのギガンティック・アームユニットとのミキシングですね。グスタフ・カールのどっしりボディに巨腕の組み合わせはとても似合うんじゃないかと妄想しています。これはネタバレですね(笑)。

――次作も楽しみです。では最後に、今後の目標をお聞かせください。
ル・クルーゼ前回インタビューしていただいた際に、「コンテストで賞がもらえるような作品が作りたい」とお答えしていたのですが、いきなり夢が叶いました(笑)。
 しかしまだまだ工作が苦手なのでスジボリやプラバン、パテを使ったディテールアップに挑戦して、さらにレベルアップに励みたいです。そして県内外の展示会に積極的に参加してモデラーさんたちとの輪を広げていきたいですね。もちろん大好きなグスタフ・カールもネタとキットが尽きるまで作り続けます(笑)。

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