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原作者も称賛した“シャア専用”ではない「赤いザク」…ガンプラモデラーが1年かけたハイクオリティ『サイコザク』

 「赤いザク」というと多くは「シャア専用機」を、少し“あまのじゃく”なファンは「ジョニー・ライデン専用機」を思い浮かべるだろう。モデラーのMADさん(@77sakiya)は、2月にテレビエディションが放映され話題となった『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場する「サイコザク」に魅せられ、約1年をかけ、深紅のボディに巨大なバズーカを配した凶悪なサイコザクを制作。フォロワーはもちろん、作者・太田垣康男氏からも称賛された。MAD氏が、“シャア”でも“ジョニー・ライデン”でもなくサイコザクを選んだ理由とは?

機体のリアルな設定とパイロットのキャラクターに惹かれ制作を決意

――サイコザクは、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場します。なぜサイコザクを制作しようと思われたのですか?
MADそもそも、ガンプラで一番好きな機体が、ザクなんです。そのザクのなかでもサイコザクは、「あれほどの高機動な動きをするのであれば、それなりの燃料を必要=大型のプロペラントタンクを装備」など、今までにないほどリアルな設定になっている。機体構造への説得力に魅力を感じて制作しようと思いました。

――なるほど。一般的に「赤いザク」というと、シャア専用機やジョニー・ライデン専用機を思い浮かべる人が多いなか、サイコザクに行くところにこだわりを感じますね。
MADもちろん、シャア専用ザクも大好きです。ただ、MSV(モビルスーツバリエーション=『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツのなかで、本編に登場しなかった機体を取り上げた企画)に出てくるジョニー・ライデン専用機をさらに洗練させたようなサイコザクの機体を初めて見た時は「あっ!! これだ」って思ってしまいました。
 また、『サンダーボルト』に出てくるサイコザクのパイロットのダリル・ローレンツは、体が不自由で、シャアのような華やかさもないのですが、特別な強い使命感を持っており、そのキャラクターの魅力に惹きつけられた部分もあります。

――本機は、どのような物語をイメージして制作されたのですか?
MAD本来ならサンダーボルト中域で登場するのですが、自分が制作したサイコザクは、1年戦争の末期の「ア・バオア・クー」の戦いで登場する設定。その為、動力パイプの形状が本来の物とは違い、シャア専用機のような感じに仕上がっています。

ミキシングせずに、プラ板とスジ彫りのみにこだわって制作「何回もやり直しました」

――ここまでのディテールに仕上げるには、相当な苦労やこだわりがあったかと思いますが、特に目を引くのが色味です。色に対するこだわりを教えてください。
MAD赤についてはかなり悩んで、『フィニッシャーズ』のものを使用。3色の赤系で塗り分けして情報量を増やしました。あと、グレーなんですがNAOKI氏がプロデュースする『NAZCA』のグレーを3色使用して、赤を引き立てました。

――細部にまでこだわりを感じますね。色以外でのこだわりはどんなところですか?
MAD自分の改修イメージの通りに仕上げたかったので、他のキットを一切使用せずプラ板とスジ彫りにこだわりました。ディテールは、実際にあるような構造をイメージし、見ていただく側にも説得力が出来るよう心がけました。例えばふくらはぎの内側ですが、下にバーニアがあるので「その上にはエアインテークがあるはず」など。想像して作りました(笑)。
 一番苦労したのはフロント、サイド、リアスカート全ての下側の端に幅0.4ミリ、長さ1.7ミリの筋彫りをした部分です。初めてこのような細部に筋彫りを試みましたが、何回もやり直しして完成しました。

――これらの苦労が報われるかのように、フォロワーさんからは絶賛の声が上がりました。
MADたくさんのいいね、コメントをいただき、本当に全部うれしかったです。SNSで進捗状況をアップしていたので、特にずっと見ていただいていたフォロワーさんのコメントはうれしいものでした。

――SNSを通じて、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』を手がけた太田垣康男先生からも「完成おめでとうございます。素晴らしい作品に感激しました!」と賞賛のコメントが届いておりました。
MAD『MOONLIGHT MILE』というマンガから太田垣先生のファンだったので、素直にとてもうれしかったです。構想、イメージから1年かけた作品に、まさか作者ご本人様からお言葉をいただくことになるなんて、夢にも思いませんでした。

――ガンプラモデラー冥利に尽きますね。ご自身がガンプラ制作する際、一番大切にしていることはどんなことですか?
MAD工作を楽しむことですね。自身のオリジナルディテールを作るのも好きなんですが、ガンプラの世界観のなかにある構造やパネルラインを取り入れることも好きなんです。いろいろなキットのディテールや内部フレームなどをじっくり観察して、それらを取り入れることで自身が楽しめていると思います。

――ガンプラライフを謳歌されていますね。最後にMADさんにとって「ガンプラ」とは?
MAD自分にとっては、趣味でもあり、“ロボット愛”でもあります。その一方で、ガンプラを通じてSNSで同じ志を持った方とコミュニケーションを取れることで、心地よいライフスタイルを送れるツールにもなっている。これからもマイペースに作っていこうと思います。

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