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旧キット『タコザク』が“ガンプラ仲間”の協力で驚きの大変身、「スターウォーズのキット」を流用し、よりメカメカしく

 『ジオング』の元になったといわれ、その独特のフォルムから、モデラーからも人気が高い『タコザク(機体名:サイコミュ試験高機動型ザク)』。モデラーのほりきちさん(@GanpraWeeei)は、近作として、旧キットのタコザクを大変身。この完成には、自身の技術だけでなく、仲間モデラーとの厚い友情を感じさせる出来事があったという。SNSでつながったガンプラ仲間の絆とは?

バリエーションがあるザクでも「タコザクは唯一無二」、そこに惹かれる

――SNSでタコザクが話題となりましたが、そもそもなぜこの機体を制作しようと思ったのですか?
ほりきち参加予定の展示会で、「旧キット」を題目としたコンペがあり、それに向けて制作しようと思ったのがきっかけです。旧キットといっても数が多く、何を作るか迷いましたが、「参加する以上は入賞を狙いたい!」「入賞するには自分の持ち味を活かした作品に仕上げたい!」と思いながら検討。そんな時、タコザクを目にして、従来のザクとは全く異なるSFチックなデザインに「これだ!」と感じ、決めました。
 作品名は『TAKO ZAKU』です。製作期間は約2ヵ月、1/144 MSバリエーション高速機動型ザクのキットを使用しました。

――モデラーさんの間でも、タコザク人気って高いですよね?
ほりきちそうですね。通常のザクは、ベース機は同じでも細部やカラーリングの違いで仕様が分かれますが、タコザクは設定上、恐らく唯一無二なので独特のデザインが私も含めてウケているのだと思います。

――どのような方向性で制作しようと思われたのですか?
ほりきちストーリー的なものはあまりイメージしなかったのですが、タコザクは試作機的な設定にあるので、メカ部を露出させたりハッチディテールを追加したりしてそれっぽさを強調してみました。
 タコザクの特徴的な能力は、ジオングにも受け継がれている有線式アームによるビーム砲。それに加えて、推進力増強のために脚部に備え付けられた大型ロケットエンジンもタコザクならではのもの。それが上手く伝わるよう、脚部を主張した動きのあるポージングに有線アームが可動している状態でも展示が出来るようにしました。

――本作制作時にこだわったところ、苦労したところを教えてください。
ほりきち一番のこだわりは『実物をどの角度から見ても隙がないように仕上げる』という点です。SNS用に見せたいアングルで綺麗に撮った写真と異なり、展示会で他者視点で実物を見ていただくことが前提でしたので「写真だと綺麗でも実物は粗さがあるなぁ」と思われないよう丁寧に仕上げること。アーマー裏など隙間から覗ける箇所も、きちんとディテールを入れて作り込むことに注力しました。
 苦労したのは『ディテール密度の塩梅』です。本作ではよりメカメカしさを強調したかったので『スターウォーズ』のキットを流用してディテールパーツとして各所に取り入れています。ですが、元キットのディテール密度がまったく異なるため、これを違和感なくタコザクに落とし込むために試行錯誤しながら制作しました。

SNSでのつながりで、“ひとり”だった世界が変わった

――本作制作にあたり、ガンプラ仲間の協力が非常にありがたかったと伺いました。
ほりきちはい。そもそもキット自体が入手困難でして、ネットで流通している物でも定価の何倍もする状況でした。そんなやり取りをSNSでしていたところ、それを見かねたフォロワーさんがキットを譲ってくださると大変ありがたい声掛けがありました。

――品薄なガンプラを快く譲ってくださった。
ほりきちそうなんです。おかげでタコザクの制作に着手できました。その他にも、別のフォロワーさんからデカールをお譲りいただいたり、販売されているオリジナルパーツを使用させていただき、自分の理想とするタコザクの完成に至ることが出来ました。

――昔に比べ人間関係が希薄になったといわれる現代ですが、一方で、SNSを通じて同じガンプラを愛する人々とつながり、助け合うことは本当に素晴らしい文化だと思います。
ほりきち人と人とのつながりはとても温かいものだと日々感じています。今まで周りにガンプラ制作を趣味とする方がおらず、正直、ひとりで黙々と制作してきました。そんな私が、SNSを通じて多くの方々と趣味を共有できたことによって、世界が一変したと言っても過言ではありません。自分の作品へリアクションをいただけたり、他の方の素晴らしい作品を拝見できたり、展示会やコンペへ参加し交流を深めたり。本作のように助けをいただいたりと、ひとりでは決して得ることの出来なかった経験を多くさせていただいております。SNSには良い面も悪い面もあるので使用方法には十分注意をすべきではありますが、日々を充実させるためのツールとして今後も適切に使用していきたいと思います。

――こうしたつながりのなかで完成したタコザクには、多くの賞賛の声が寄せられました。
ほりきち自己満足を追求して制作したものに多くの反響をいただけて大変喜ばしい限りです。なんだか、作品を通じて自分の制作技術が認められたような感覚です。いただいたコメントは注力したディテールに関するものが多かったのですが、中には塗装表現に関するコメントもありました。本作では普段と異なる塗装表現で仕上げたため、完成直後は「これで良かったのか?」と正直不安を感じていたのですが、結果的に良いリアクションをいただけたのでホッとしています。

――素晴らしい仲間、フォロワーに囲まれて理想的なガンプラライフですね。ご自身がガンプラを作る上での信条を教えてください。
ほりきち自己満足出来る作品に仕上げることを大切にしています。そのために「丁寧に仕上げる」「自分がカッコ良いと思える」ということを意識しています。見た目重視なので機能的な点で見ればおかしな箇所があるかもしれませんが、自分がカッコ良いと思えればそれでいいのであまり細かい設定は気にしないです。プロポーションを変更してディテールを追加する作風が多く「ここにこのディテールを追加すれば見栄えがいいな」なんてことを考えながら感覚的に制作しています。

――最後に、ご自身にとって『ガンプラ』とは?
ほりきち自己表現のひとつです。自分の思考や好みが作品にそのまま反映されているので、私の人間性がガンプラに如実に表れていると思います。ただ、最近はこの作風のせいか実年齢よりわりと高齢に思われていることが多く、実際お会いした時に驚かれることが度々あります(笑)。

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