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「ジオング」×「ドム」でジオン軍最強の“ラスボス”誕生? 「旧キットには“遊びしろ”がたっぷりある」
「いそうでいないMS」をコンセプトにシリーズ化「ラスボス的存在を作りたい」
ToMoS多くの反響をいただけて大変うれしく思います。コメントを読ませていただくのがとても楽しくモチベーションになっています。制作途中に「何だか変わったデザインですね」とコメントいただいた方から、完成後に「すごくかっこいいし違和感ないです!」と言っていただけたのがとても印象に残っており、すごくうれしかったです。
――ミキシングというと、ベースのMSをスタイリッシュにする使い方をする人が多い中、本作は完全にオリジナル機体に昇華されています。
ToMoSありがとうございます。私の作品の中で【なんちゃってMSV(モビルスーツバリエーション)】というシリーズがあります。このシリーズは旧キット同士をミックスして、「いそうでいないMS」をコンセプトに新たなMSを誕生させています。このシリーズが増えていくにつれて、「ラスボス的な存在を作りたい」と思ったのが誕生のきっかけです。
――確かに、ラスボスといえばジオングのイメージがありますね。
ToMoSですよね。ジオングのプロトタイプにサイコミュ試験用ザク(タコザク)やザクZタイプがありますが、ザクベースではなくドムベースに試作機を作ってもいいんじゃないかと思いました。
――だから正式名称を『サイコミュ高機動試験機ジオンム』とされているんですね。本機は、どのような形で物語に登場するイメージですか?
ToMoSIf設定はあまり考えてませんが、ジオングにはない脚がある分、勝るところがあるようなないような(笑)。特殊能力は機体名のとおりですが、物語ではザクレロの様な「コイツは何だかヤバそうなヤツだ」と登場するが意外とあっけなくやられてしまうような最後がいいですね(笑)。
――ザクレロ的(笑)。それはいいですね。本作制作時、どんなところにこだわりましたか?
ToMoS機体サイズに差があるジオングとドムを違和感のないバランスでミックスしたところにこだわりました。同時に、ドムの頭を使うと胴体がドムなのでドム感が残ってしまい、ジオングの頭を使うとサイズが大きすぎてアンバランスになってしまうところに非常に苦労しました。そこで考えたのがジオングの頭を使うが下半分はドムのような雰囲気で胴体に埋めてしまう策でした。これでジオングの頭のボリュームをかなり抑えることができました。
旧キットは構造が単純で改造しやすく安価「切り刻んで失敗してもショックを受けない(笑)」
ToMoSありがとうございます。実はガンプラの“古きよき時代”に自分は生まれてないのですが、旧キットをベースに作っているとそれに合った仕上げを求めたくなります。その結果ちょっと懐かしい雰囲気の仕上がりになっていると思います。
コロナ禍でガンプラ制作を再開したころは、シンプルにプロポーション改修だけをして楽しんでました。今でもその作業は好きで続けていますが、SNSで多くのミキシング作品を拝見しているうちに「自分でもやってみたいな」と思うようになりました。初めてミキシングした作品はアッグとズゴックをミックスした『アッグック』という変な名前の作品です(笑)。
――旧キットの魅力はどのようなところにありますか?
ToMoSかわいいところと安価なところです。旧キットには最近のガンプラにはない手作り感と、洗練されてない不完全なところがあるように感じられて、それが妙に愛おしく思えるんです。シンプルに旧キットの見た目がすごく好きで、構造が単純で改造しやすく、洗練されていない部分に「もっとこうしたい」という遊びしろを感じるからです。あとは価格も300円からと安価なので、切り刻んで失敗してもあまりショックじゃないのも魅力です(笑)。
――ガンプラは誕生から40年以上の時を経て大きく進化しました。最新のものは、可動域も広く、色などの仕様も細かく作られていますが、それらについてどのように思いますか?
ToMoS最新のガンプラは改造しなくても充分スタイリッシュで、色分けも完璧。設計がすごく進化して、可動範囲も広く迫力あるポーズもできる。すばらしいと思います。でもやっぱり旧キットの方が、好みなんですよね。車で例えるなら、最新のガンプラは最新型のスーパーカー。旧キットは昭和の大衆車のようなイメージです。スーパーカーが高性能でかっこいいのはすごくわかるのですが、後者の方が自分的には愛着が持てるんですよね(笑)。
――なんかすごく分かる気がします。そんな旧キット愛があるToMoSさんが、ガンプラ制作時に信条にしていることをお教えください。
ToMoSいつも気にしていることですが、旧キットのかわいらしさはなるべく残したいと思ってます。そのためにリアルになり過ぎない塗装やディテール表現にしています。あとは全体の“塊感”と重量感ですね。全体がバラバラに見えないようなシルエット作りや、中にメカが詰まってるようなずっしりとした感じは出したいと思ってます。これにこだわった結果、可動域がほぼなくなりました(笑)。
――可動域を捨てても自身の表現を追求する。それも見事な“ガンプラ道”だと思います。それでは最後に、ToMoSさんにとって「ガンプラ」とは?
ToMoS自分を童心に戻してくれる素敵なものです。今後もマイペースに作り続けられればそれだけで幸せですね。そのために旧キットを再販し続けてほしいと切に願います(笑)。ついでにMSVの再販もよろしくお願いします、バンダイさま(笑)。