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SDGsのその先は? “義務”や“ファッション”では続かない、「未利用資源ハンター」が冷凍食品最大手と手を組んだ理由

「SDGsです!」と大上段にアピールするよりも、面白パッケージで親しみを

 アップサイクルの第一弾の材料として『焼おにぎり10個入』がチョイスされたのは、油分や具材などが入っていないシンプルな商品だったから。またワンハンドで食べる商品であり、ウエットティッシュとの相性もいい。

 工場のラインからこぼれたごはんや形が崩れた規格外のおにぎりを、ファーメンステーションの発酵技術でエタノールに精製。それを使用して除菌ウエットティッシュが作られる。さらに、発酵粕はニワトリの飼料へと余すことなく活用される。


 「個人的に一番こだわったのは、『焼おにぎり10個入』をそのまま流用したパッケージです。大上段に『SDGsです!』とアピールするよりも、面白いパッケージにすることで親しみをもっていただけるのではないかなと。ファーメンステーションさんのプロダクトはナチュラルでオシャレなパッケージが多いので、酒井さんに怒られないかと心配だったのですが(笑)」(吉野さん)

 一方の酒井さんも「最高です!」と、出来栄えに自信を覗かせる。

 「面白さとSDGsのストーリーを両立できたパッケージだと思います。重要なのは、お客さまに選んでいただくことです。アップサイクル商品は、どうしても敷居が高いイメージがあるのも課題の一つ。面白さ、共感といった要素はとても大切だと思います」(酒井さん)

 酒井さんが言うように、SDGsの取り組みを阻む課題はまだまだ多い。その理由の一つに、こうした商品を取り扱う店が少なく、消費者にとっては価格が高いイメージもある。

 「価格が高くなってしまうのは、市場がないから。そして市場を作るためには、より多くの企業が参入する必要があります。今は多くの企業が『SDGs推進室』などを設置していますが、本来の事業とSDGsの取り組みが完全に分かれている印象があります。しかし、真に持続可能な活動にするためには、事業のすべての意思決定の根本にSDGsの観点を取り入れたほうがいいはず。そうすることで、事業性をより高める企画やアイデアも生まれやすくなるのではないでしょうか」(酒井さん)

企業同士のマッチングと手の届きやすさ、“継続的な” SDGs活動目指して

 企業にとって、利益を追求するのは当然のこと。一方で、社会貢献活動は「企業の社会的責任」として、ややもすると“義務”に駆られていたところも否めない。しかし、ようやく始まった歩みが、今後はさらに進みそうな明るい兆しも見られるという。

 「最近は『うちの会社に未利用資源があるのだが、活用できないか』と相談してくださる企業が増えています。一方で『未利用資源から商品を作りたい』という企業も増えていますので、今後はファーメンステーションがハブとなって企業同士をマッチングする活動もしていきたい。そして、やがては未利用資源からアップサイクルされた商品が生活の中にごく当たり前に存在する、そんな社会の姿を目指していきたいですね」(酒井さん)

 SDGsへの取り組みを流行やファッションで終わらせないためには、企業による事業としても成立し、消費者が魅力的だと感じる商品として届けることが重要だ。

 今回の『「焼おにぎり」除菌ウエットティッシュ』は、環境配慮型商品の品揃えを強化する、生活雑貨店ロフトの23店舗(渋谷ロフト、銀座ロフトほか)にて、7月19日(火)より先行限定販売予定だそうだ。企業にも消費者にも価値のある“継続的な”SDGs活動が、これからさらに増えることを望みたい。

(文:児玉澄子)

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