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社会貢献を“ゲーム化”、ごみやポイ捨て問題も楽しみながら解決できる取り組みが活発化
ユニクロとのコラボも、“甲子園”も行われた『スポGOMI』の競技性とエンタメ性
この動きは、ボランティア活動などが盛んな海外から盛り上がり、さまざまな実例がある。例えば『NYC Haunts』は、プレイヤーがゴースト探偵となって実際にニューヨークを歩き回り、街の歴史から階級感格差、ホームレス、先住民・移民問題、環境汚染まで、ゴーストの声を通して様々な問題を学んでいくゲーム。『Kid Power Bands』は肥満問題に着目し、バンドを装着して運動し、専用アプリ上のミッションをこなすとポイントをゲット。貯めたポイントの分だけ、途上国の栄養失調の子どもたちに栄養価の高い食料が届けられる仕組みになっている。
日本でも話題となったのが、昨年秋にユニクロともコラボした『スポGOMI』。ごみ拾いにスポーツの面白さをプラスし、頭と体をフルに使って街をキレイにするという日本発祥の競技だ。もともと、2008年に一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブが提唱。昨年には高校生ごみ拾い日本一を決める『日本財団「海と日本プロジェクト」スポGOMI甲子園』が開催され、各地で地方大会も行われた。背景には、街で捨てられたごみを拾うことだけでなく、「海洋プラスチックごみ問題を考えるきっかけになってほしい」との思いがあるようだ。一方、CBCテレビで芸人たちが川や海でごみを拾う『スポGOMI』対決を行う番組を放送したこともあり、エンタメ性や競技性、メッセージの届けやすさにも注目が集まっている。
マンホールの蓋を撮影して、社会のインフラ危機を救う?
ほかにも、2019年にスタートした『actcoin(アクトコイン)』は、日常のなかで社会貢献活動することで、オンライン上の同時コインがもらえるサービス。なかでも地域とのつながりを見える化するプロジェクトは、2021年よりNTTデータ経営研究所も加わり、内閣府の「令和3年度関係人口創出・拡大のための中間支援モデル構築に関する調査・分析業務」として採択された。
“たばこのポイ捨て”問題に解決の糸口、データから「喫煙所を作るべき場所」を編み出す
また、写真とともに吸い殻モンスターに名前を与えるネタ性も取り入れられている。例えば、根本を噛んだ後がある吸い殻には「ストロー噛男」、まるで突風に煽られたように曲がった吸い殻に「体当気象士」、葉の部分が寝癖のごとくボワボワになっている吸い殻に「田中、今起きたってよ」などなど。プラットフォームに投稿後はTwitterなどでも拡散でき、SNS大喜利のような展開に。獲得した「いいね」によってランキング化され、上位にはプレゼントが贈られるキャンペーンも開催している。
『ポイ捨て図鑑』主催者である、株式会社コソドの山下悟郎氏(代表取締役CEO)は、前述の『マンホール聖戦』に影響を受け、「たばこのポイ捨て問題でもこれができないか」と考え、プロジェクトを立ち上げたという。
「もともと当社は、民間喫煙所である『THE TOBACCO』を運営するなど、喫煙問題に取り組んできました。中でも見過ごせないのが、やはりたばこのポイ捨てです。これまで、“たばこが売れた場所”のデータはあっても、“たばこ吸われた場所”のデータはない。たばこがそこで吸われ、そしてポイ捨てされた。その位置情報が可視化できれば、喫煙所を作るべき場所、また清掃を行うべき場所がわかる。この情報は私たち喫煙に関わる企業はもちろん、街や自治体にもきっと役に立つはずだと考えました。さらに、ポイ捨てや喫煙禁止区域での喫煙は良くない、受動喫煙についてもっと考えてほしいという意識付けをする目的もあります」