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”柿の種”入りの「パスタストロー」、老舗メーカーが100%食品素材でSDGs「茹でれば食べられなくはないです」

 環境問題への意識の高まりとともに、ストローの脱プラスチック化が進んでいる。プラスチックが問題視されるのは、ポイ捨てされると半永久的に自然に還らないことが大きい。海洋に流れつき環境を汚したり、体内にプラスチックを蓄積した魚を人間が食べることへ懸念が寄せられている。こうした事情を背景に、紙や竹材などさまざまな素材のストローが普及するなか、100%食品素材の「パスタストロー」が目下、開発中だ。取り組むのは「柿の種」の製造元としても有名な老舗の米菓メーカー・阿部幸製菓。一体どんなストローなのか、商品化に尽力する営業部部長の中村さん、開発部の羽鳥さんに話を聞いた。

『柿の種』のロス部分も使用した100%食品素材、「遊び心をきっかけに、SDGsへ気づきを与えられれば」

――「パスタストロー」は、どんな素材から作られていますか。

羽鳥さんパスタを製造する小麦原料に、「柿の種」製造時にでる破片やB級品などのロス部分を細かく砕いた粉を入れることで耐久性を維持しています。

――100%食品素材から作られているとのことですが、食べられますか。

羽鳥さんこのままでは食べられないですが、茹でれば食べられなくはないです。ただ、基本的に食用としては考えていないですね。

――近年、SDGsへの意識の高まりとともに非プラスチック製のストローが注目されていますが、「パスタストロー」もそうした想いがあるのでしょうか。

中村さんもともと“遊び心”から開発をスタートさせた商品なので、今のところはまだ、パスタストローに対する驚きやワクワクをきっかけに、SDGsなどへの気づきを与えることができたらいいなといったレベルですね。完全に環境問題だけを目的にするというよりも、もしかしたらそこに繋がっていく可能性を秘めているのではないかという、まだ途中の段階です。

――「なぜパスタなのか、なぜ『柿の種』が入っているのか」という驚きからプラスチック廃棄や食品ロスへの気づきに繋がるということですね。実際に、「パスタストロー」は環境問題にどう貢献できると期待していますか。

中村さん100%食品素材のストローなので、プラスチックの削減には貢献できると思います。あと、生分解性が高いので、微生物によって分解されるという特徴を持ちます。そのため、万が一ポイ捨てをされて海に流れてしまったとしても海洋への影響は少ないと思われます。

試験運用はあえて“水”で挑戦、使用感には「紙よりも使いやすい」という声も

――現在、関連会社であるベトナム料理店「フォーミン下北沢店」と新潟県の直営の惣菜屋「食泉フレッシュネス」にて期間未定にて試験運用中とのこと。お客さんの反応はいかがですか。

中村さん200人以上のお客様にアンケート取らせてもらい、使い心地や抵抗感、飲み物の味の邪魔をしなかったかなどを聞いたのですが、みなさんから概ね高評価を得ています。なにより驚きの声が多かったですし、「紙ストローよりも使いやすい」という意見も見られました。

――具体的にはどういったところに、みなさんは使いやすさを感じていたのでしょうか。

中村さん紙ストローだと飲んでいるうちに唇にくっついてしまうことがありますが、パスタストローはくっつきづらい特徴があります。あと、パスタや小麦粉の味がしないか、あえて無味無臭の水でも試してもらいましたが、みなさんにさほど大きな抵抗感なく飲んでもらえましたね。

羽鳥さんやはり、唇につかないようにするという点にはこだわりました。パスタに細かい筋が入れてあって、それが唇につかない効果を生み出しています。最初は平面にして作ったのですが、すごく唇にくっついたので、でこぼこの形状にして口に当たる面積を減らし、“口当たり”の良さで差別化を図っています。開発から試験運用まで、1年くらいの年月をかけて実現しました。

きっかけは幼い時の“遊びごころ”、『鏡餅』の知見を活かし保存期限を1年に

――パスタストローは羽鳥さんの「子どもの頃の思い出」が開発のきっかけになっているそうですね。

羽鳥さん阿部幸製菓では、元々『パスタスナック』といったパスタ商品も作っています。新たな商品開発を行っていくなかで、あるとき穴の開いている形状のパスタを見つけたんです。その瞬間に「マカロニをストロー代わりにしたい」という昔の思い付きが蘇って、「これでコーヒーとか飲めるんじゃないか」と思ったのがきっかけでした。

――それがそのまま企画に?

中村さんそういった“遊び心”や“いたずら心”で作っているのを見て、面白いなというところから話が盛り上がり、とりあえずやってみようという流れになりました。新しいことにチャレンジしていくという社風なので、「抱えていても仕方がないのでまずはスタートさせよう」という感じでしたね。

――食品ではない商品の開発は、これまでにもありましたか。

羽鳥さんこのパスタストローが初めてです。ただ、食品ですが正月飾りでもある商品として『鏡餅』を製造しているので、その経験や知見は活かしました。保存がきく商品の製造を行う上での強みは持っていたというか。

――このパスタストローの保存期限はどれくらいを想定されていますか。

【羽鳥さん】水分量を10%以下にしたので、カビが生えることはまずありません。ただ、衝撃で折れる可能性はあるので、そこは注意が必要です。現状では少なくとも1年はもつので、大体の飲食店で消化しきれるだろうと思います。

プラスチックにもいい面ある、「用途に合わせて使い分けができるように」

――試験運用によって見えてきた、「パスタストロー」のメリットを教えてください。

中村さんメリットは、今までに体験したことがないものをその場で感じてもらえたということで、取り組みも含めて驚きを与えられたことですかね。SNSで発信してくださっている方もいらっしゃったので、次にも繋がっていくかなと。

――では、課題に感じている点は?

中村さん小麦アレルギーの課題があるので、小麦を使わずに代替パスタのような素材で作って、アレルギーをお持ちの方にも安心して使ってもらえるようなものにするといった考えも必要ですかね。あと、ストローにしてはちょっと太いのでもう少し細くしたり、強度を高めたりなど、これからまだまだ研究の余地はあります。

――いきなりすべてを変えるのは難しいですからね。

中村さんプラスチックはプラスチックでいい面がたくさんあるので、なんでもかんでもというわけではなく、用途に合わせて使い分けができるようになったらいいなと思っています。

――今後、パスタストローの商品化の予定は?

中村さんご協力いただいたアンケート結果をもとに、新しいチャレンジの第一歩の芽が出たところなので、この企画を進めていきたいということを会社に対して提案していきます。チャレンジの先に新しい何かが生まれることを期待して、どんどん進めていきたいと思います。

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